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『鬼滅の刃 遊郭編』第2話・注目したい3シーン 制作陣渾身の作画と演出

マグミクス / 2021年12月15日 17時40分

『鬼滅の刃 遊郭編』第2話・注目したい3シーン 制作陣渾身の作画と演出

■コミカルなのに、作画は凄まじかった一話

 いよいよ本格的に、物語の舞台である遊郭への潜入が始まった『鬼滅の刃 遊郭編』。いつもいつも視聴者を驚かせる作画や演出がめじろ押しのアニメ『鬼滅の刃』ですが、2021年12月12日放送の第2話「遊郭潜入」には特に遊郭に関する作画や演出のこだわりがたくさん見られました。そのなかでも、特に注目したい3つのシーンをご紹介します。

●吉原の街並み

 遊郭の起源は16世紀頃までさかのぼれますが、江戸幕府により公認された遊郭は3つあります。「大阪新町」と「京都島原」、そして「遊郭編」の舞台である「吉原遊廓」です。そんな遊郭のアニメ本編での外観や内装の描き込みは、すさまじいものがありました。

 なかでも目を引いたのが、冒頭に登場した大きな門ではないでしょうか。吉原への入り口に設置された「吉原大門」は、明治時代より木製から鉄のアーチへと装いを変えたと言われています。門の上に置かれた像は、仏神である弁天様こと弁財天です。弁舌や技芸を司る神として、遊女たちの信仰の対象となっていたのでしょう。

 アニメ本編には、当時の資料が丁寧に反映されており、美しい作画に留まらない、制作陣の歴史へのリスペクトを感じられます。

●花魁の独特な歩き「八文字歩き」

 遊郭の女性たちのなかで、最も位の高い遊女「花魁」が登場するシーンが、アニメでも描かれました。そのときに見られたのが「八文字を踏む」という独特の歩き方です。30cm以上の高下駄を履く花魁は、自分の前に男衆を立たせ、彼らの肩に手を乗せてバランスを保ちます。

 とはいえ、高下駄を履きながらまっすぐ歩くのは至難の業です。そのため、アニメのように足を大きく前へ振り出し、足首をひねるようにして一歩を踏み出していました。足の運びを上から見ると八の字に見えたため、「八文字」と名付けられたそうです。

 ちなみに、作中に登場した歩き方は吉原で好まれた「外八文字」というもの。京都島原では、歩法の異なる「内八文字」が好まれていたと言われています。この歩き方をマスターするのに、3年かかると言われていたとか。芸事にも精通していた、当時の遊女の一端を感じ取れるシーンです。

●迫力の三味線

 場面は代わり、炭治郎、伊之助と潜入先が決まるなか、「ブサイクだから」と残ってしまった善逸(あれ、半分以上化粧が原因なので、宇髄天元のせいとも言えそうですが……)。ようやく引き取られた店の屋敷にて、彼は三味線をかき鳴らします。

 本編とは関係ないシーンなのに、ここの描写もすごかったですよね。善逸の表情はコミカルなのに、運指(弦を押さえる指の動き)はかなりなめらか。三味線がアップになったシーンでは、ちゃんと一の糸・二の糸・三の糸の太さがバラバラで描かれていますし、弦の震え方もものすごくリアルです。

「遊郭編」はアニメ本編がスタートする前、その歴史的背景から映像化に反対の声もありました。しかし筆者は、表現すると決めた部分を細部まで描き切ろうとする制作陣の姿勢に、感動すら覚えました。こうした背景の美麗さがあるからこそ、これから本格化する「遊郭編」の物語の美しさ・儚さがさらに際立つのでしょう。本編がますます、楽しみになってきました。

(サトートモロー)

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