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誰もが乗りたくなかったMS「ボール」 意外なほど活躍したガンダム作品は?

マグミクス / 2021年12月26日 11時50分

誰もが乗りたくなかったMS「ボール」 意外なほど活躍したガンダム作品は?

■本当にボールは「動く棺桶」だったのか

丸くって、真ん中に目があって2本の腕が生えていて、頭の上に申し訳程度に180ミリキャノン(120ミリ、90ミリ説もあり)が一門だけ搭載されている、子供心にもひと目で「やられ役」だと分かるデザイン。実際に「ガンダム」作中でも、ザクに蹴られて破壊され、味方のジムを巻き込んで爆散する始末。ソロモンに突入したパイロットがビグザムに遭遇し、「新型は1機だけのようだ。あとはザクとリック・ドムばかりだ、やるぞ!」と攻撃を仕掛けたときは、「なんでボールのくせにそんな強気なの?」と戸惑ったことを思い出します。TVでガンダムを見ていた子供にとって、連邦軍の量産型MS「ボール」はそんな存在でした。

 もし筆者が子供のころに、『機動戦士ガンダム』に登場する機体のなかで何に乗りたいかと聞かれたら、間違いなく「RX-78ガンダム」だと答えたでしょう。大人になった今は安全な距離から撃てる「ガンタンク」を希望しますが、少なくとも今も昔もボールに乗りたいと考えたことは一度もありません。実際に乗り込んだ連邦軍兵士からも評判が悪く「棺桶」扱いされており、戦闘で大きな被害を出したことも明らかになっています。

 そんなボールがなぜ戦場に送り出されたのか。そもそもなぜ生産されることになったのか。大きな理由としては、ジオン軍に対する反攻作戦において、多くの軍需品生産により工場の生産ラインがひっ迫していたことが挙げられます。そのため、民生品である作業用ポッドのラインを流用できる点がボールの量産を可能としたのです。また、コストもジムの1/4と安価だったことも見逃せない点でした。

 現実の軍隊でも、しばしば高価な兵器と安価な兵器を組み合わせて、質と量の双方を担保する「ハイローミックス(High-low mix)」編成が行われています。地球連邦軍も同様の構想で編成されており、高価なジムと安価なボールを組み合わせていたのです。

 諸説ありますが、『機動戦士ガンダム』36話ではジム1機とボール2機の組み合わせがしばしば登場しており、この3機が最小の戦闘ユニットとして運用されていたことが分かります。

 また、ジムが前衛を務めて敵の接近を防ぎ、後方からボールが弾幕を張る戦術も有効だったとされており、学徒動員により質が低下していたジオン軍に大きな打撃を与えています。ボールは決して無力な存在ではありませんでした。

■運用次第では恐ろしい存在に?

「ボール」は『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』にも登場、主人公シロー・アマダが搭乗し活躍した。画像は「機動戦士ガンダム 第08MS小隊 Vol.01 DVD」(バンダイビジュアル)

 特にボールの恐ろしさがクローズアップされた作品が、OVA『機動戦士ガンダム MS IGLOO -1年戦争秘録-』の第3話「軌道上に幻影は疾る」です。このストーリーの後半ではオデッサ作戦後に宇宙に逃げ延びたジオン軍のHLV(大気圏離脱艇)を6機のボールが襲撃し、一方的な戦果を挙げています。

 このシーンでは固体燃料ペレットを爆発的に燃焼させることにより、瞬間的に大推力を発生させる高機動バーニア・システムが効果的に運用された場合の機動性の高さも明らかになっており、簡単に撃破できる存在ではないことも示されました。

 OVA『機動戦士ガンダム 第08MS小隊』にも試作型を改造した「ボールK型」が登場しており、シロー・アマダが乗り込みアイナ・サハリン操る高機動試作型ザク1機と相打ちに持ち込んでいます。

 ここで改めてボールの性能について記してみましょう。全高は12.8メートル。実は5階建てビル並の高さがあります。人間ひとりが収まる程度の大きさを想像していた方もいると思いますが、ボールがもし現実に存在してたら、かなりの威容を誇ると思われます。

 全備重量(フル装備のときの重さ)は25.0トン。大きさの割には軽いような気もします。さらにマジックハンドとも呼ばれる作業用マニュピレーターが2本。武器は装備できないとされており、宇宙でのさまざまな作業に使用されていたようです。ソロモン攻略戦で破壊した内壁の除去などにかなりの威力を発揮したのではないでしょうか。

 そしてメインウェポンの180ミリ砲は、ザク程度なら簡単に破壊できる威力を持っています。

 ボール、意外と強いし役に立つのではないでしょうか。

 戦闘以外にも、機雷散布型として製造されたM型や、装甲を強化したF型など、さまざまなバリエーション機も登場されています。目立った活躍はなくとも着実に戦果を積み重ね、ダークホースとして勝利に貢献したのがボールだったのでしょう。

 ……でも、やっぱり自分では乗りたくないなあ。


 

(早川清一朗)

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