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PS末期の名作『ヴァルキリープロファイル』 登場キャラの悲惨な運命が切ない

マグミクス / 2021年12月22日 7時10分

PS末期の名作『ヴァルキリープロファイル』 登場キャラの悲惨な運命が切ない

■戦乙女(ヴァルキリー)と人間の交わりを描いた名作2DアクションRPG

 突然の質問で恐縮ですが、読者の皆さまは「新作PlayStation用ソフトが最も多く発売された年」をご存じでしょうか。

 正解は1999年。専用ソフトの発売本数が400本を上回ったのは、PlayStation(以下、PS)の発売から2年が経った1996年からで、その3年後となった1999年には計620本近い新作ソフトが世に送り出されました。この年には『ファイナルファンタジーVIII』や『聖剣伝説 Legend of Mana』といった根強い人気を誇る人気シリーズタイトルが誕生したほか、2000年3月には PlayStation 2(以下、PS2)の発売も控えていたことで、PS市場はソフトラインナップを含めて大きな盛り上がりを見せていました。

 この記事でご紹介するPS用ソフト『ヴァルキリープロファイル』(以下、VP)もまた、1999年の暮れにリリースされた名作アクションRPG。ここからはストーリーの導入やゲームシステムの説明を交えつつ、本作が後世に語り継がれる名作たる所以について振り返ります。

『VP』は1999年12月22日に発売となったPS向けアクションRPGです。発売元はエニックス(現スクウェア・エニックス)ですが、実際に開発を担当したのは「トライエース」。同社は25年の歴史(2021年時点)を誇る「スターオーシャン」(以下、SO)シリーズの開発会社として実績があり、『VP』も「SO」と同じく2Dグラフィック主体のRPG作品として生み出されました。

 戦闘システムはターン制ですが、パーティーに編成した最大4名のキャラクターとそれぞれ対応した各ボタンを使い分けて戦うのが特徴です。ボタンをテンポよく押すことで小気味よく攻撃がつながるほか、各キャラクターの攻撃モーションを考慮したコンボ攻撃をうまく使いこなせば、より敵に大ダメージを与えることもできます。さらにコンボ継続後に発動可能な必殺技は、それぞれ声優陣によるキャラクターボイス付き。演出の見応えも十分に感じられました。

 本作は北欧神話をベースとしつつ、人間とは異質の存在である神々が住まう「アスガルド」(天界)、もう一方の人間たちが住まう「ミッドガルド」(地上界)といったふたつの世界を交えてストーリーが進行します。プレイヤーはヴァルキリー(戦乙女)のうち、最も神の資質に恵まれた次女「レナス・ヴァルキュリア」(以下、レナス)を操り、天界で勃発するであろう「ラグナロク」(神々の黄昏)を食い止めるべく、地上界で命を落とした人間たちの魂を天界へ導くことになります。

 レナスの任務は、戦力となりうる人間の魂(エインフェリア)を天界へ無事に送り届けること。ただし、何の工夫もなしに天界へ送り出しても、アスガルドの神族から良い評価を得ることはできません。まずは地上界のダンジョンをエインフェリアと一緒に探索。目的達成の道中でモンスターと戦闘を行い、彼ら(彼女ら)のステータス面をしっかりと成長させることで、ようやく天界へ送り出す準備が整うのです。

 とは言え、必ずしも見つけ出したエインフェリアを全て天界に送る必要はなく、場合によってはプレイヤー側の独断で「エインフェリアを天界へ送らずに仲間として側に置く」といった選択もできました。その反面、天界ではエインフェリアを供給しないレナスに対して厳しい評価が下されることになり、最悪の場合は「フレイ」(レナスのお目付け役)から厳しい制裁を受け、そのままレナス自身も封印されてしまいます。

 天界の評価を考慮しつつ、地上界における旅の進め方に頭を悩ませる。そして場合によっては天界から帯びた使命に疑念を抱き、エインフェリアやアーティファクト(神族に献上する特殊アイテム)をプレイヤー側で確保する……。これが『VP』の醍醐味と言っても過言ではありません。事実、本作はプレイヤーの行い次第でエンディングが3つに派生します。戦乙女の任務を入念にまっとうした者はBルートに到達、天界に背いてフレイに粛清された者はCルートに直行、天界と地上界の行く末を案じ、自らの信念で運命を切り開いた者はAルートへの道が開かれます。

■エインフェリアのやるせない境遇に切なさがこみ上げた

 ここまでは『VP』の基本的な流れをご紹介しましたが、名作のゆえんについて語るなら、作中でレナスが出会う個性あふれるエインフェリアの存在も欠かせません。その性質上、エインフェリアはレナスの仲間に加わった時点で肉体を喪失済み。戦闘中は果敢にモンスターへ戦いを仕掛けるも、人間としての生命は既に絶たれている状況です。

 王女という由緒正しき身分に生まれながらも、大臣の策略にはまって怪物へと変貌し、14年間の短い命を終えた「ジェラード」。そんなジェラードを自らの剣で殺めてしまい、彼女の無念を晴らすべく大臣を討ち取った後に自決した「アリューゼ」。家族の仇を取るために騎士団へ入るも、目的を成し遂げられずに散っていった「ジェイル」……などなど、各キャラクターがエインフェリアとなった経緯はさまざまです。かつ、ほとんどが悲惨な運命を辿っており、筆者は加入イベントをこなす過程で、切なくやるせない気持ちが自然とこみ上げてきました。

 とりわけて筆者の印象に残っているのは「ルシオ」という少年。彼はエインフェリアとしてレナス一行に加わるだけでなく、Aルートの物語になくてはならない存在、ひいてはレナスの運命を大きく揺さぶる重大な役目を担っているのです。ネタバレを避けるために明確な言及は控えますが、Aルートのクライマックス、レナスがルシオと口づけを交わす瞬間に発するセリフは、初回プレイから15年近く経った今もなお味わい深い余韻が残っています。

 PS用ソフトにはじまり、PS2、ニンテンドーDS、スマートフォンアプリとプラットフォームを越えて脈々と受け継がれてきた『VP』。22年目を迎えた本シリーズの原点は、世紀末のPS市場が生み出した名作として今後もゲーム史で語り継がれていくことでしょう。

(龍田優貴)

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