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炭治郎vs善逸 破壊力満点の「変顔」対決4番勝負!

マグミクス / 2021年12月22日 11時50分

炭治郎vs善逸 破壊力満点の「変顔」対決4番勝負!

■笑ってしまう! 本気なのに「変顔」になっているシーン

 2021年12月5日から放送がスタートしたTVアニメ『鬼滅の刃 遊郭編』では、炭治郎、伊之助、善逸の3人と音柱・宇髄天元との予想のナナメ上を行くやり取りをはじめ、いくつもの「笑えるシーン」が盛り込まれています。しかしそれは、こらから始まる厳しい戦いの序章にすぎません……。

『鬼滅の刃』では、シリアスなシーンのなかに、「笑えるシーン」が盛り込まれており、それが視聴者や読者の感情の振り幅を自然と大きくしています。普段は生真面目で石頭な炭治郎と、ことあらば叫んで逃げまわっている善逸の変顔は「笑えるシーン」の定番です。

 一般的に「変顔」とは、「見た人を笑わせるように、おかしな表情をしてみせること」を言います。この記事では、炭治郎と善逸本人は笑わせようとしていなくても、見た人が笑ってしまうような表情をしているシーンを「変顔シーン」と位置づけ、炭治郎vs善逸の4番勝負としてご紹介します。

●鬼気迫る変顔vsつらい変顔

 まずは、「遊郭編」の「変顔」シーンからご紹介します。

 遊女屋の店主と女将さんをたじろがせた炭治郎、伊之助、善逸の女装は、けっして「変な顔をしよう」として「変顔」になっているわけではありません。悪意すら感じられる化粧と髪型で、かわいらしさも消し去られ、伊之助にいたっては舌まで出ていて悪い意味で近寄りがたくなっています。

 なんとか遊女屋に潜入した善逸は、天元への恨みつらみを三味線にぶつけ、鬼気迫る「変顔」。「見返してやる あの男……!! アタイ絶対 吉原一の花魁になる!!」と、歯を喰いしばって涙を流す姿は、花魁を目指す女の子にはとうてい見えません。

 一方、「素直そうだし」という理由で善逸より一歩早く遊女屋に雇われることに成功した炭治郎は、天元の妻・須磨の情報をやっとつかみかけましたが、鯉夏花魁に警戒されてしまいます。汗だくになりながら、なんとかごまかそうとした炭治郎は、須磨が自分の姉であるとウソをつくのですが……。

 正直者で融通がきかない石頭の炭治郎は、シレっとウソをつくことできないのでした。八の字眉毛に眉間のシワ、目はグルンと上向きになり、唇をかみしめていて、花魁たちに衝撃を与えるほどの変顔に……。ウソをつくのと同じくらい、この顔をするのも炭治郎にとってはとてもつらいのでしょう。

 どちらも破壊力満点の変顔ですが、善逸の方は迫力に感心している人もいるので、衝撃のみを与えた炭治郎の勝ちと言えそうです。

●本気すぎて変顔vs限界超えしそうで変顔

 続いては少しさかのぼって蝶屋敷での「変顔」です。

 那田蜘蛛山の戦いで傷を負った炭治郎、伊之助、善逸の3人は、蝶屋敷で治療を受けた後、体力を戻すための「機能回復訓練」に励むことになります。すると、先に訓練を始めた炭治郎と伊之助が身も心も疲れ果て、精も根も尽き果てたといった風情でゲッソリやつれて帰ってくるのです。鬼の血鬼術でクモになりかけたため、治療に時間がかかっていた善逸は、そんなふたりを見て怯えますが……。

 参加するにあたり、蝶屋敷の女の子たち(カナヲ、アオイ、きよ、すみ、なほ)のもとで行われる訓練の説明を受けた善逸は、炭治郎と伊之助を外に連れ出すと、変顔さく裂で怒りを爆発させます。たとえ訓練であっても、「女の子に触れる」ということは、善逸にとっては「女の子とキャッキャキャッキャしてた」のと同じ意味を持つことであり、そんな訓練を喜びもせず、やつれた顔を見せていたふたりが許せなかったのです。「天国にいたのに地獄にいたような顔してんじゃねぇぇぇぇぇ!!」と、叫ぶ善逸の眼は血走っていて、むき出しになり、はちきれんばかり。人を笑わせようとしてなった「変顔」ではありませんが、「女の子に触れるんだぞ」をはじめ、のちに蝶屋敷の女の子たちに引かれることになるほど心の声をありのままに叫びながら、ますます目を見開き、炭治郎に詰め寄る善逸の顔は、「本気すぎて変な顔」の方の「変顔」であり、非常に彼らしい変顔だと言えるかもしれません。

 一方、ここでは炭治郎もまた、「超」が付くほど生真面目な彼らしい「変顔」を見せてくれます。全集中の呼吸をし続ける練習をしていた際、苦しすぎて、肺や耳に痛みを覚えた炭治郎は思わず自分の耳を抑え、「びっくりしたー!!! 今一瞬 耳から心臓出たかと思ったー!!!」と涙目になります。一生懸命すぎて限界を超えそうになった「変顔」でした。

 本能からの善逸の変顔と、努力からの炭治郎の変顔。気持ちとしては、炭治郎に1本をあげたいところですが、炭治郎や伊之助を黙らせる迫力と女の子にかける熱いすぎる思いをくみ取って善逸の勝ちとしておきましょう。

●タヌキvsネズミ

 無限列車で下弦の壱・魘夢(えんむ)の血鬼術によって眠らされた伊之助が見た夢には、子分としてタヌキ化した炭治郎の「ポン治郎」とネズミ化した善逸「チュウ逸」が登場します。広い意味で、これも変顔とみなしてそれぞれのポイントを見てみましょう。

 ポン治郎の特徴は、目の周りが茶色く、丸い耳、シマシマのしっぽ、頭に乗せた葉っぱと「~ポンポコ」の言葉です。快活でかわいさを感じさせます。

 一方のチュウ逸は、目が垂れていて、出っ歯で言葉の最後に「チュー」が付き、なぜだかズル賢そうな印象です。ポン治郎の耳はタヌキの耳だけですが、チュウ逸にはネズミの耳と人間の耳の両方が付いています。聴覚に優れた善逸の名残りかもしれませんが、それがかえってインチキくささを倍増させているのではないでしょうか? かわいさで言えば断然、ポン治郎ですが、「変顔」で選ぶならチュウ逸にはかないませんね。

※これ以降、まだアニメ化されていないシーンの記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。

■炭治郎が柱稽古で見せた危機的「変顔」

●いつもの変顔vs命の危機の変顔

 鬼の始祖・鬼舞辻無惨との最終決戦を前に、鬼殺隊では柱たちによる強化訓練「柱稽古」が行われます。厳しい訓練の合間に、仲間たちと一緒にご飯を食べ、語らう、つかの間の楽しいひと時を過ごした炭治郎と善逸でした。

 岩柱・悲鳴嶼行冥のもとを訪れた善逸は、ネガティブで弱腰な性格が全開になります。訓練の内容を聞いただけで気を失って魚のような顔になり、正気を取り戻すために川につけられて鼻水と涙を大放出して叫び、巨岩を押して進む悲鳴嶼に憧れの視線を送る炭治郎に血走った眼をむき、「なれてたまるか!!」という言葉と同時に、口から「たまるものかァ」と本音をほとばしらせます。悲鳴嶼の柱稽古では、チュン太郎から、ある手紙を受け取るまで、善逸は登場するたびに目をむいて叫んでいるので、ナチュラルにずっと変顔です。

 一方の炭治郎は、米を炊くのがうまいと褒められてドヤ顔をしたり、同期の不死川玄弥が教えてくれた「反復動作」という言葉に極上にかわいい顔できょとんとしたりする程度。しかし、課題であった大岩を押して1町先まで運ぶ修行を終えた時、力を使い果たしたうえ、脱水時症状を起こしてしまった炭治郎は、目が飛び出し、滝のような汗を流しながらヨダレもタレ流しているというヒドイ状態に陥ります。これは変顔というより、本気のピンチです……。

 善逸のもう見慣れた感のある変顔と、炭治郎の危機的変顔となれば、ここでは炭治郎に軍配が上がりそうですね。

* * *

「遊郭編」の今後の放送ではシリアスなシーンが続きそうですが、その隙を突くように笑えるシーンが挿入されてくるのかどうか、楽しみですね。

(山田晃子)

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