『シン・ウルトラマン』公開前に観るべき? 斎藤工主演の配信ドラマ『8日で死んだ怪獣』
マグミクス / 2021年12月21日 17時40分
![『シン・ウルトラマン』公開前に観るべき? 斎藤工主演の配信ドラマ『8日で死んだ怪獣』](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_72792_0-small.jpg)
■新しいヒーロー役で注目の斎藤工
庵野秀明(企画・脚本)×樋口真嗣(監督)のコンビが放つ特撮映画『シン・ウルトラマン』の2022年公開を楽しみにしているファンは多いと思います。まだ全貌は明かされていませんが、斎藤工さん演じる主人公は変身アイテムの「ベータカプセル」を持ち、名前は「神永新二」であることが分かっています。庵野監督の人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の主人公・碇シンジと同じ「シンジ」という名前であることから、『シン・ウルトラマン』と『エヴァ』はリンクする部分があるのかも気になるところです。
2019年に実写パートの撮影が終わっていた『シン・ウルトラマン』は、当初は2021年7月に劇場公開される予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で完成が遅れ、2022年5月13日(金)公開に延期されています。現在も仕上げの作業が続いているようです。
公開が待ち遠しいファンがチェックしておきたい作品があります。斎藤工さんが主演した配信ドラマ『8日で死んだ怪獣の12日の物語』です。樋口監督らが発案したリレー動画「カプセル怪獣計画」から派生した作品で、2020年5月に配信が始まったショートムービー集です。現在もYouTube上で無料配信されており、誰でも視聴することができます。
■通販で買った「カプセル怪獣」の飼育記録
斎藤工さんが「サトウタクミ」として登場する『8日で死んだ怪獣の12日の物語』は、12本のショートムービーで構成されたSFドラマです。『花とアリス』(2004年)や『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016年)などで知られる岩井俊二監督が脚本・監督・造形を務め、コロナ禍によって緊急事態宣言が出された時期にリモート撮影を行っています。
外出できず、自室に籠もっているサトウタクミ(斎藤工)は、コロナウイルスを退治するために通販で購入した「カプセル怪獣」を育て始めます。その様子をビデオに撮って配信するという、フェイクドキュメンタリー形式の作品です。サトウタクミは「カプセル怪獣」の育ち具合に一喜一憂することになります。出演者は斎藤さんの他には、先輩役で武井壮さんがリモート出演するだけです。コロナ禍で全国がロックダウンされていた日々をリアルに思い出させます。
「カプセル怪獣は敵に勝ったことがない」「(ウインダム、ミクラス、アギラの他に)カプセル怪獣は実はもう1体いるらしい」。「カプセル怪獣」が活躍した『ウルトラセブン』(TBS 系)をはじめとする特撮ドラマや人気アニメの小ネタがいろいろと盛り込まれており、ついつい最後まで観たくなるショートムービーとなっています。
各回のエンディングに流れる音楽は、特撮ドラマのマエストロこと冬木透=蒔田尚昊氏が作曲した「ピアノとオーケストラのための協奏的小品ニ長調」です。特撮ファンが楽しめる要素がいっぱいです。
■「ヒーローとは何か?」を問いかける最終話
『8日で死んだ怪獣の12日の物語』は、『ウルトラセブン』に登場した「カプセル怪獣」から着想を得て製作されている。画像は「ウルトラ怪獣シリーズ42 ウインダム」(バンダイ)
ネット上で気軽に楽しめる『8日で死んだ怪獣の12日の物語』ですが、タイトルに記されている8日めで、「カプセル怪獣」に異変が起きます。日ごとに形状が変化していた「カプセル怪獣」が、凶悪星人を思わせる姿に成長してしまったのです。これ以上「カプセル怪獣」を部屋で育てることに危険を感じたサトウタクミは、ある決断をします。命あるものを育てることの責任の重さを感じさせる回となっています。
シビアなシーンが『8日で死んだ怪獣の12日の物語』にはあるものの、最終日となる12日めには予想外の結末が待っています。サトウタクミを演じた斎藤工さんがカメラに向かって「ヒーローとは何か?」を語りかけるシーンもあり、最後まで見終わった後は決して嫌な気分にはなりません。
ネット上で好評を博した『8日で死んだ怪獣の12日の物語』は、2020年7月末から『8日で死んだ怪獣の12日の物語 -劇場版-』としてミニシアターでの上映も行われました。劇場版には斎藤工さん、武井壮さんに加え、のんさん、穂志もえかさん、原案者でもある樋口真嗣監督も出演しています。
岩井俊二監督は、庵野監督が故郷の山口県宇部市でロケ撮影した実写映画『式日』(2000年)に主演しており、庵野監督を連想させる「カントク」を演じていました。岩井監督は、庵野監督、樋口監督とほぼ同世代でもあり、ウルトラシリーズとともに育った世代ならではの「怪獣愛」を感じさせる作品に『8日で死んだ怪獣の12日の物語』はなっています。
■「ウルトラマン」世代のハートをつかむ過去作
端正なルックスの斎藤工さんは、これまでに数多くの映画に出演してきました。なかでも特撮ファンにおすすめなのは、阪本順治監督が撮った『団地』(2016年)です。大阪の団地を舞台にした実写ドラマですが、斎藤さん演じる真城は非常にユニークなキャラクターです。真面目な顔で「準備万端、バルタン星人」などと微妙なダジャレを連発するおかしさがあります。後半で明かされる真城の意外な正体にもびっくりさせられます。
往年の人気時代劇『赤影』へのオマージュ感あふれる特撮アクション時代劇『虎影』(2015年)、人気マンガをミュージカル映画にした『愛と誠』(2012年)など、斎藤工さんは「ウルトラマン」世代が気になる作品でインパクトのあるキャラの数々を演じてきました。「齋藤工」名義での監督・出演作『ブランク13』(2018年)も、捻りの効いた見応えのある作品です。
イケメンながら、斎藤工さんは「面白い映画を作ることが大好き」な俳優&クリエイターとして知られています。庵野&樋口という特異な才能たちと斎藤さんとの化学融合によって、『シン・ウルトラマン』もファンの想像を上回る特撮映画になっているのではないでしょうか。どんな新しいヒーロー像を見せてくれるのか、とても楽しみです。
(長野辰次)
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