『テイルズオブデスティニー』に盛り込まれた4つの試み 爽快な戦闘モードは後継作にも
マグミクス / 2021年12月23日 7時10分
■「テイルズ オブ」シリーズの礎を築いたPS時代の名作
「運命を解き放て」。
上記は1997年12月23日に発売されたPlayStation(以下、PS)用ソフト『テイルズ オブ デスティニー』(以下、デスティニー)のキャッチコピーです。2021年で生誕26周年を迎えた人気RPG「テイルズ オブ」シリーズの第2作目として作られた『デスティニー』は、後続タイトルの礎(いしずえ)というべき要素がふんだんに盛り込まれたほか、「リオン・マグナス」(CV.緑川光)や「スタン・エルロン」(CV.関智一)といった、シリーズ全体を通して人気が高い名キャラクターが生まれた作品でもありました。
今回は、『デスティニー』で実装された「テイルズ オブ」シリーズ初の試みを4つ紹介し、本編内の扱われ方を含め、後続タイトルにもたらした恩恵について解説します。
●よりアクション性を深めた「E-LMBS」
「テイルズ オブ」シリーズの代名詞とも言えるサイドビュー形式の戦闘システムは、前作『テイルズ オブ ファンタジア』(スーパーファミコン)ですでに採用されていましたが、『デスティニー』はサイドビュー形式をベースとしつつ、各キャラクターがよりアグレッシブに戦えるよう、ゲームシステムを大胆に深化させました。
本作に実装された「E-LMBS」(エンハンスト・リニアモーションバトル)により、プレイヤーはキャラクターの攻撃アクションをコントローラーの各ボタンに割り振ることができるようになったのです。それまではパーティーメンバーと敵モンスターの距離に応じて技が自動で切り替わることもありましたが、『デスティニー』は距離の問題で技を勝手に変えられることなく、好きな攻撃アクションで思うがままにダメージを叩き込めました。
そのほか、「特定の技をつなげて攻撃時の硬直を減らす」といったテクニックを含め、基本的な仕様は続編の『テイルズ オブ エターニア』へと受け継がれています。
●複数人で戦闘が楽しめるマルチプレイ
戦闘システムの大々的な変更に伴い、複数人で協力プレイも行えるようになりました。通常のストーリー進行(フィールド探索など)はシングルプレイ専用ですが、特殊アイテム「チャネリング」を装備させると、プレイヤー側でスタン以外のキャラクターを自由にコントロールできます。
プレイヤーが操作する関係上、NPCが操作する場合と比べて技の連携もつなげやすく、「一緒に協力して強敵を倒す」「複数人でしかできないコンボを見つける」といった新たな楽しみが「テイルズ オブ」シリーズに生まれました。
●主題歌と一緒に流れる美麗なオープニングアニメーション
「テイルズ オブ」シリーズでオープニングにアニメーションが使われたのも『デスティニー』がはじめて。「プロダクションI.G」が手掛けた2分間の映像には、主人公のスタンをはじめ、世界の命運を握るソーディアン・マスターの面々が生き生きと描かれています。本編のオープニング映像は発売当時のテレビCMでも引用され、「テイルズ オブ」シリーズの知名度を高める大きな要因となりました。
そんなオープニング映像にさらなる彩りをもたらしたのが、音楽バンド「DEEN」の13thシングル「夢であるように」。こちらの楽曲は本作を象徴する主題歌として、2006年に送り出された『デスティニー』のリメイク版(PlayStation 2)でも変わらずに収録されました。
ちなみにDEENは本作だけでなく、シリーズ第8作目『テイルズ オブ ハーツ』(ニンテンドーDS)で「永遠の明日」、スマートフォンアプリ『テイルズ オブ ザ レイズ フェアリーズ レクイエム』でも「ミライからの光」と、同シリーズのために計3曲を書き下ろしています。
●キャラクターの会話劇が楽しめる「アクティブパーティーウィンドウ」
『デスティニー』ではフィールド移動中に操作を止めると、キャラクター間で繰り広げられる何気ない会話劇を楽しむことができました。
道に迷って途方に暮れる、譲れない信念をかけて意見をぶつけ合う、重大な一戦を前に覚悟を決める……など、いずれも声優陣によるキャラクターボイス付きでイベントが進行。作中にて「アクティブパーティーウィンドウ」(APW)と呼ばれた本作の会話劇はその後「スキット」へと名前を変えつつ、「テイルズ オブ」シリーズの世界観を掘り下げる目玉システムとして今もなお生き続けています。
(龍田優貴)
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