2021年に花澤香菜が演じたアニメキャラ5選 ゴリラが進化した美少女、吸血女帝も

■「主体性のない女」が見せてくれた極上のドラマ

　人気声優の花澤香菜さんは、癒やし系の声を持つ美少女キャラクターのイメージを持つ人もいるかもしれませんが、近年はそこから外れたキャラクターを演じることも増えています。そして2021年はその傾向がさらに増した感のある、はっちゃけぶりも見せてくれました。そんな彼女が演じた2021年のアニメキャラクターのなかから、特に印象的だった5人を振り返ります。

●『ゲキドル』榊原かをる

『ゲキドル』は、3Dホログラムを使った演劇「シアトリカルマテリアルシステム」のステージに立つことを目指す少女たちの物語。演劇＋アイドルものかと思いきや、そこにSFや百合、サイコサスペンスなどの要素もからめて、とんでもない方向に突っ走った意欲作でした。そのなかで、花澤さんは主人公たちの先輩役となる演出家兼女優、榊原かをるを演じています。

　デビュー当時から知っている美少女声の女性声優さんが、先輩役やお母さん役を演じ始めると感慨深くなるのは「アニメファンあるある」だと思いますが、特筆しておきたいのは『ゲキドル』のアフレコは数年前に収録されていたという点です。主人公・守野せりあ役の赤尾ひかるさんによると、初主演作にして「事務所に入って初めてのアフレコ」だったそう。つまり、当時から花澤さんがそうしたポジションにいたと想像するとグッときます。

　また本作の重要キャラクターであるドール役を演じたのはM・A・Oさんです。花澤さんとは2021年の『舞妓さんちのまかないさん』でもメインキャラクターとして共演していたのが記憶に新しく、こうしたつながりを発見できるのも楽しいですよね。『ゲキドル』はdアニメストア、Amazon Prime Video、U-NEXTなどで観ることができます。

●『セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-』エレン

花澤香菜さんがエレンの声を担当した、アニメ『セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-』ビジュアル　(C)Netmarble Corp.& Netmarble Nexus Inc.・セブンナイツ製作委員会

『セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-』のエレンは、「私は主体性のない女ですから」が口癖。彼女は英雄の力を持つ少年少女たちを育む「グランシード学園」の生徒会長・ファリアを側で支える友人です。

　そんな、言わば「従」のキャラクターであるエレンですが、物語が進むごとに意外なキャラクターとの関係が明らかになります。終盤から最終回にかけては主人公であるネモとファリアに勝るとも劣らない存在感を見せる名脇役でした。『セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-』は、dアニメストア、U-NEXT、バンダイチャンネルなどで観ることができます。

■ゴリラなどハジケたキャラクターもすごかった！

●『恋と呼ぶには気持ち悪い』松島有枝

花澤香菜さんが松島有枝の声を担当した、アニメ『恋と呼ぶには気持ち悪い』ビジュアル　(C)もぐす・一迅社／恋きも製作委員会

　花澤さんがバイプレイヤーとなった役といえば、『恋と呼ぶには気持ち悪い』の松島有枝も欠かせません。アリエッティこと有枝は、主人公の女子高生・有馬一花の恋のライバルとなるOL。一花にアプローチをかけまくるサラリーマンの天草亮に、同僚として迫ります。

『かげきしょうじょ!!』の先輩である野島聖もそうでしたが、花澤さんは最近、少し腹黒いところがあるキャラクターもハマっています。しかし、アリエッティはある種社会人らしからぬ純粋な恋心を貫いた姿が多くの視聴者の心を打ちました。『恋と呼ぶには気持ち悪い』は、Amazon Prime Video、U-NEXT、バンダイチャンネルなどで観ることができます。

●『進化の実～知らないうちに勝ち組人生～』サリア〈進化後〉

花澤香菜さんが進化後のサリアの声を担当した、アニメ進化の実～知らないうちに勝ち組人生～』ビジュアル　(C)美紅/双葉社・「進化の実」製作委員会

　2021年の花澤さんが演じたメインヒロイン役では、12月現在放送中の『進化の実～知らないうちに勝ち組人生～』のサリアを忘れてはいけません。ただメインヒロインの美少女といっても、演じているのは進化後だけ。進化前の雌ゴリラ形態での声は、なんと『僕のヒーローアカデミア』のエンデヴァーなどで知られる稲田徹さんが担当しています。

　この美少女とゴリラというギャップの妙を、多くの美少女キャラクターを演じてきた花澤さんの声がさらに引き立てていました。近年の作品では珍しいかもしれない、明るく朗らかな彼女の美少女声を堪能できるのもありがたいところです。といってもゴリラですが……。『進化の実～知らないうちに勝ち組人生～』は、dアニメストア、Amazon Prime Video、U-NEXTなどで観ることができます。

●『吸血鬼すぐ死ぬ』月光院希美

花澤香菜さんが月光院希美の声を担当した、アニメ『吸血鬼すぐ死ぬ』ビジュアル　(C)盆ノ木至（秋田書店）／製作委員会すぐ死ぬ

　最後は、今回紹介するなかではいちばんの脇役ではあるものの、花澤さんが強烈なインパクトを残した月光院希美（げっこういんまれみ）を紹介します。第6話で初登場した彼女は、個性的すぎる吸血鬼や吸血鬼ハンターが次々に登場する『吸血鬼すぐ死ぬ』のなかでは数少ない、ふくよかなだけの一般の女子大生です。

　しかし想い人にアグレッシブに迫りまくった末に、やがて「吸血女帝」と呼ばれる存在になります。多くのベテラン声優が怪演をしている本作のなかでも、強烈な存在感を放ちました。『吸血鬼すぐ死ぬ』は、dアニメストア、U-NEXT、バンダイチャンネルなどで観ることができます。

　花澤さんはほかにも『ゾンビランドサガ リベンジ』の楪舞々や『白い砂のアクアトープ』の竹下先生など、決してメインキャラクターではないものの、少し出てくるだけでも嬉しい脇役も多く演じていました。そこに花澤さんの存在感のある声や的確な演技は確実に貢献しているでしょう。最近ではアニメや吹き替え以外に、バラエティ番組や風邪薬のCMなどでも見かける花澤さんですが、2022年も引き続きアニメのフィールドでの活躍に期待できそうです。

（はるのおと）