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『エヴァ』『コナン』『竜そば』…2021年の劇場アニメ&実写化作品を興収とともに回顧

マグミクス / 2021年12月31日 18時30分

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■さよなら、全てのエヴァンゲリオン。

 2020年は人気アニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が国内の映画興収記録を19年ぶりに更新したことが、コロナ禍に見舞われて低迷した映画界の話題を独占しました。

 東京オリンピック&パラリンピックが開催された2021年も、非常事態宣言が秋まで断続して続く厳しい状況でしたが、そんななかで興収102.8億円のメガヒットを記録し、年間の映画興収ランキング第1位となったのが庵野秀明監督の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』です。

 二度の公開延期の末に3月8日、月曜という平日に封切られた『シン・エヴァンゲリオン』は、上映時間2時間35分のなかで碇シンジ、綾波レイ、式波アスカ・ラングレー、葛城ミサトらメインキャラクターたちのそれぞれの「落とし前」がきっちりと描かれました。1995年~96年の『新世紀エヴァンゲリオン』(テレビ東京系)のTV放送から数々の謎を残してきた「エヴァ」シリーズですが、TV版、旧劇場版のファンも納得できる壮大なフィナーレとなっていました。

 小冊子やミニポスターなどの入場者特典も、リピーターを動員する上で大きな効果がありました。庵野監督に4年間密着取材したドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀「庵野秀明スペシャル」』(NHK総合)、その完全版となる『さよなら全てのエヴァンゲリオン 庵野秀明の1214日』(BS1)も反響を呼びました。

 スタジオジブリは、宮崎駿監督が制作現場を、鈴木敏夫プロデューサーが興行や宣伝をそれぞれ仕切るという分業制で『千と千尋の神隠し』(2001年)や『風立ちぬ』(2013年)などの大ヒット作を生み出してきました。その点、「エヴァ」シリーズは、スタジオ「カラー」の一枚看板である庵野監督に負うところが多い作品です。その「エヴァ」シリーズが、四半世紀を経て無事に完結したこと、難解さがあるにもかかわらず最終作が100億円を突破したことは、現実世界に起きた奇跡のようにも感じられます。

■評価が割れた『竜とそばかす姫』

 FBI捜査官の赤井秀一ら「赤井ファミリー」が大活躍する『名探偵コナン 緋色の弾丸』は、年間興収ランキング第2位となる76.5億円でした。2020年公開予定だった『緋色の弾丸』は1年遅れでのGW公開となり、前作『名探偵コナン 紺青の拳』(2019年)の興収93.7億円こそ下回る結果となりましたが、大都市のシネコンが休業していた状況でのこの成績はむしろ大健闘です。

 2022年GW公開の新作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』は、シリーズ初となる100億円の大台が射程距離に入っているのではないでしょうか。

 細田守監督の新作アニメ『竜とそばかす姫』は7月に公開され、65.3億円の大ヒットに。年間興収ランキングの第3位です。細田監督は『バケモノの子』(2015年)の58.5億円が最大のヒットでしたが、それを更新することに成功しました。細田監督の出世作『サマーウォーズ』(2009年)と同じく仮想空間を舞台にしており、「U」と名付けられたカラフルなネット世界のビジュアルは、劇場に足を運んだ人たちを圧倒しました。

 主人公となる女子高生・すずを演じたシンガーソングライター・中村佳穂さんの歌唱力、人気アーティストの常田大希さん(millennium parade)が作詞・作曲を手掛けたテーマ曲「U」をはじめとする楽曲のよさも、劇場で楽しむのに最適な作品でした。12月31日(金)放送の『NHK紅白歌合戦』には、「millennium parade×Belle」として中村さん、常田さんが出演することが決まっています。

 ディズニーアニメ『美女と野獣』(1991年)を彷彿させるミュージカル仕立てとなっていた『竜そば』ですが、ストーリー面の弱さを指摘する声もネット上では目立ちました。「U」の世界と同じく、ユーザーが参加することで完成する物語なのかもしれません。評価が割れたものの、細田監督はネットユーザーたちにとって目が離せない存在になっていることは確かなようです。

■実写映画のトップを取ったのは『東リベ』

『東京リベンジャーズ』は2021年のマンガ原作映画で大きな興収をあげた。画像は『東京リベンジャーズ 公式ビジュアルBOOK』(講談社)

 実写映画では、和久井健氏の人気マンガ『東京卍リベンジャーズ』を原作にした『東京リベンジャーズ』が7月に公開され、44.7億円を記録しています。年間興収ランキングの第4位、実写映画のトップとなる数字です。

 北村匠海さんのほか、NHK大河ドラマ『青天を衝け』に主演した吉沢亮さん、6月に公開された『ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち』でも好演した山田裕貴さんら若手俳優たちの思い切ったヤンキーぶりが注目されました。

 北村さん演じる冴えないフリーターのタケミチが、『東リベ』の主人公です。タケミチはタイムリープして高校時代を何度もやり直すことになりますが、10年後の世界は思ったとおりのものにはなりません。自分自身が変わらなければ、世界は何も変わらないというストーリー展開は、若い世代の胸にストレートに響いたようです。

 佐藤健さんが主演した「るろうに剣心」シリーズの完結編となる『るろうに剣心 最終章 The Final』は42.4億円(興収ランキング第5位)、『るろうに剣心 最終章 The Begnning』は24.1億円(同第12位)という興収結果となりました。『The Final』での剣心役の佐藤健さんと宿敵・雪代縁役の新田真剣佑さんとの壮絶な殺陣シーン、『The Begnning』での剣心の妻・雪代巴を演じた有村架純さんの静謐な演技は、コロナ禍でなければもっと評価されていたように思います。

■アニメ界に残された大きな課題

 2021年12月10日、アニメ制作会社「ユーフォーテーブル」(ufotable)の近藤光社長に対し、東京地裁は法人税法違反などの罪で有罪判決を下しました。この裁判の過程で、アニメ制作の過酷な実態も明らかにされました。『鬼滅の刃』や『Fate』などの人気アニメを手掛けてきた「ユーフォーテーブル」ですが、アニメ制作だけでは経営は難しく、同社が経営するカフェの収益やグッズの販売で黒字を生み出していたそうです。

 摘発された脱税事件は『鬼滅の刃』の制作以前に起きたものですが、「ユーフォーテーブル」ほどの人気アニメ制作会社でも経営が不安定だったという事実は、多くの人に衝撃を与えました。もちろん脱税は許されないことですが、アニメ作品の制作費が低すぎるというアニメ業界の古くから続く構造的欠陥は「ユーフォーテーブル」一社だけの問題ではありません。アニメーターたちの生活が保証される、健全なビジネスモデルが一刻も早く確立されるべきでしょう。

 コロナ禍の厳しい状況下を懸命に、1日1日を過ごしたというのが、2021年の年末を迎えた人たちの実感ではないでしょうか。アニメ界、エンタメ界が心から「おめでとう」と言える新しい年を迎えられることを願うばかりです。

(長野辰次)

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