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子供たちが熱狂した「ダブルライダー」登場から半世紀 時代とともに定義も変化して…

マグミクス / 2022年1月1日 9時10分

子供たちが熱狂した「ダブルライダー」登場から半世紀 時代とともに定義も変化して…

■偶然が生んだ「奇跡の存在」だった?

 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 本日2022年1月1日からちょうど50年前の1972年に、『仮面ライダー』第40話「死斗! 怪人スノーマン対二人のライダー」が放映されました。このエピソードで初めて、ふたりの仮面ライダーが同時に登場します。それは歴史的な瞬間でした。

 もともと、主演の仮面ライダー/本郷猛役だった藤岡弘、さんが撮影中の事故で降板。その代わりに仮面ライダー/一文字隼人役として佐々木剛さんが、主演として番組を引き継ぎました。この偶然から、番組内にふたりの仮面ライダー、すなわち主役がふたり存在する作品になります。

 やがて藤岡さんのケガも癒え、まずは体調も見ながらゲストという形での復帰出演ということになりました。それが第40話(実質上は後編になる第41話も含まれる)だったというわけです。この時、実は藤岡さんのケガは完治しておらず、医者の反対を押し切って撮影に参加、撮影中に手術跡から出血までしていました。

 そういった複雑な事情も知らずに、筆者を含む当時の子供たちは1号と2号の「ダブルライダー」の共演に正月から興奮します。奇しくもこの前週、『帰ってきたウルトラマン』第38話「ウルトラの星 光る時」で、はじめてウルトラマンとウルトラセブンの共演が見られたわけですから、当時の子供たちにとって2週続けてのご褒美でした。

 そして、この第4クールの『仮面ライダー』では、外国から本郷が一文字を助けにやって来るという流れで、たびたびダブルライダーの活躍が見られることになります。このヒーローの共演劇が好評だったことから製作側は、第5クールの藤岡さん復帰以降もダブルライダーで行こうと考えました。しかし、佐々木さんが「藤岡さんが復帰するまでという約束」と、「自分がいては主演の藤岡さんを食ってしまう」という可能性を考えて番組を降板します。

 こうして藤岡さんが復帰して、第5クールの『仮面ライダー』が始まりました。そして、今度は外国から本郷を助けるために一文字がやって来るという形で、重要な局面にダブルライダーの活躍が見られるようになります。

 こういった事情から「ダブルライダー」というのは本来、1号と2号のことを指す言葉でした。しかし平成シリーズ以降、同一作品のなかで複数の仮面ライダーが出るようになってから、単純にコンビを組んだふたりの仮面ライダーを指す言葉に変わっていきます。同時に、主役の仮面ライダーを「1号ライダー」。その相棒となる仮面ライダーを「2号ライダー」という言い方をするようになりました。

 時代が変わることで、その言葉の意味も少しずつ変わっていった「ダブルライダー」。その変遷を振り返ってみましょう。

■「子供たちを興奮させた存在」に変わりはない?

平成シリーズ2作目『仮面ライダーアギト』から、複数のライダーがレギュラーとして登場するようになった。画像は同作ポスタービジュアル (C)2001 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

「平成シリーズ以降」と言いましたが、巻き戻って考えてみると『仮面ライダーV3』の仮面ライダーV3とライダーマンが、二代目のダブルライダーと言えるのかもしれません。そして、昭和ライダーで唯一、レギュラーの仮面ライダーがふたりいる作品でもありました。

 もっとも、V3とライダーマンをダブルライダーという人は当時ほとんどおらず、1号、2号、V3を「トリプルライダー」と言っていた人が多数だったと思います。

 複数の仮面ライダーが出るようになったのは、平成シリーズ2作目『仮面ライダーアギト』からでした。しかし、本作ではレギュラーライダーが3人だったこともあり、トリプルライダーと言われていた方が多かったかもしれません。

 続いての平成シリーズ3作目『仮面ライダー龍騎』ではライダーが13人。常に複数のライダーが入り乱れる展開な上に、怪人(ミラーモンスター)と戦うより、自分以外のライダーを倒すことが目的だったため、共同で戦うという要素はほとんどありません。ただし、仮面ライダー龍騎と仮面ライダーナイトはダブル主演のような流れがあったことから、ダブルライダーとも、平成の1号と2号というファンも少なからずいました。

 そういった流れのなかで、平成シリーズ8作目『仮面ライダー電王』が主役の仮面ライダー電王と、途中から登場した仮面ライダーゼロノスという平成初のダブルライダーだけで最終回まで迎えた作品となります。もっとも、この作品の場合、4人のイマジンの活躍でダブルライダー要素はかなり薄いものでした。

 これ以降、途中から敵サイドに仮面ライダーサガ、仮面ライダーダークキバが出た『仮面ライダーキバ』、プロトタイプが出て仮面ライダーバースがふたりになった『仮面ライダーオーズ/OOO』と言った変化球はあるものの、平成シリーズ14作目『仮面ライダーウィザード』までは、基本的にはダブルライダーがベースのシリーズが続きます。

 現在放送中の『仮面ライダーリバイス』は、ひとりからふたりの仮面ライダーになるという点で、このダブルライダーを発展させた新しい試みでしょう。

 もちろん、小ネタとしてダブルライダーをオマージュしたと思われるものは他にもありました。

『仮面ライダーBLACK』のシャドームーンが2号ライダーになるのではと妄想したファンもいましたし、前述の『アギト』の初期設定は、その前作『仮面ライダークウガ』と同じ世界観で登場の予定があったこと、マンガ『仮面ライダーSPIRITS』で1号が滝和也に「今夜はお前と俺でダブルライダーだからな」と言うセリフもあります。

……というわけで、現在ではダブルライダーという言葉は1号と2号にだけ与えられる称号ではなく、コンビを組んだライダーを指す言葉になりました。そうすると、前述のダブルバース、地獄兄弟やイクサ母娘(劇場版)も、現在の定義では立派にダブルライダーということになるでしょう。

(加々美利治)

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