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スーパー戦隊を見れば「流行がわかる」は本当なのか 読み解くカギは「メンバー編成」に?

マグミクス / 2021年12月29日 11時50分

スーパー戦隊を見れば「流行がわかる」は本当なのか 読み解くカギは「メンバー編成」に?

■戦隊シリーズの「モチーフ」から当時のトレンドを考える

 ここ数年、スーパー戦隊シリーズには驚かされっぱなしですが、新作となる『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』が発表されたときには多くの戦隊ファンが度肝を抜かれたことでしょう。発表されたビジュアルにしても、サル、キジ、イヌに合わせてデフォルメされており、シルエットの縮尺も違い、果たしてどのような作品になるのか全くもって予想がつきません。

 しかも、2022年1月9日(日)放送の『機界戦隊ゼンカイジャー』の第42カイには、ドンブラザーズのレッド・ドンモモタロウが出演するというのです。もしかしたら同じ世界観なのかもしれない……ファンの間ではさまざまな憶測が広がっています。

 そんな憶測もあるなかで今回注目したいのが、『ドンブラザーズ』のモチーフに関するもの。桃太郎モチーフであることには変わりはないのですが、女性戦士であるオニシスターが鬼をイメージしていることから「妹が鬼、つまり『鬼滅の刃』(著:吾峠呼世晴)も意識しているのでは?」といった声がSNSで見受けられます。

 そんなのただの偶然……と、片付けられないのがスーパー戦隊シリーズの面白いところなのです。同シリーズでは盛んにその時のトレンドをモチーフに取り入れており、「スーパー戦隊シリーズを見れば、その時に流行っていたものがわかる」といった俗説が広がりつつあります。果たして本当にそうなのでしょうか? 制作陣の言葉も参考にしつつ、過去に遡ってみていきたいと思います。

●『ONE PIECE』『ハリー・ポッター』……影響を隠さないトレンド力

 大前提として、未就学児童が好きなもの、わかるものをモチーフに取り入れているスーパー戦隊シリーズ。ではそのトレンド力はどれほどのものなのでしょうか。分かりやすい例を見ていきましょう。

 例えば、2005年放送開始の『魔法戦隊マジレンジャー』は、ずばり魔法使いがモチーフですが、その前後には映画『ハリー・ポッター』シリーズが大ヒットを記録しています。また2011年放送開始で2021年に映画『テン・ゴーカイジャー』も公開された話題作『海賊戦隊ゴーカイジャー』は海賊モチーフ。これは『ONE PIECE』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』などの旬を取り入れたことをプロデューサーが明かしています。

 こうしたトレンド力を発揮した戦隊の元祖は1979年放送開始のシリーズ3作目にあたる『バトルフィーバーJ』までさかのぼることができそうです。本作は1978年公開の『サタデー・ナイト・フィーバー』の影響を受けたもの。さらに続く1980年放送開始『電子戦隊デンジマン』も当時のSF映画ブームの要素を取り入れ大ヒットしました。

 さらに1981年『太陽戦隊サンバルカン』は、続々とオープンした「群馬サファリパーク」「富士サファリパーク」の人気を反映させたと見て良さそうです。では1991年『鳥人戦隊ジェットマン』の時は「鳥」ブームだったのかといえばそうではなく、トレンディドラマブームの要素の方を作品内に取り入れていました。まさにトレンディだったのです。

●「モチーフ」ではなく「編成」に注目すると時代が見えてくる?

 長い歴史のなかで進化し続けたスーパー戦隊シリーズ。夢中になってはすぐ飽きる子供たちを毎年釘付けにするためには、当然ながら流行に対するアンテナは敏感である必要があります。他方、動物や恐竜、忍者などいわゆる子供受け抜群の鉄板モチーフを繰り返し用いることも少なくなく、そのなかで過去作にはない新機軸を取り入れて進化してきました。

 さて、そういう意味では「スーパー戦隊シリーズを見れば流行っていたものがわかる」という俗説はあながち間違ってもいないし、絶対に正しいものでもないといえるでしょう。実際、ごくごく最近の『魔進戦隊キラメイジャー』(2020年)のモチーフは宝石と乗り物。そこまで世相を取り入れたようには思えません。プロデューサーも「宝石自体に男児はさほど惹かれない」という認識は前提にあったようです。

 ここで少し見方を変えましょう。2017年放送開始の『宇宙戦隊キュウレンジャー』では「人間」以外の戦士がレギュラー出演、また2018年放送開始『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』では「悪」と「正義」という二元論からの脱却と、まさに「多様性」の時代におけるスーパー戦隊が立て続けに登場しています。

 つまり、「モチーフ」ではなく戦隊の「編成」には紛れもなく時代が反映されているのです。従って『ドンブラザーズ』で注目すべきは、キジブラザーが当たり前のように男性のピンク戦士であることなのかもしれません。

(片野)

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