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『シャーマンキング』スマホゲームのオリジナルキャラに込めた原作者の思いとは?

マグミクス / 2021年12月30日 18時30分

『シャーマンキング』スマホゲームのオリジナルキャラに込めた原作者の思いとは?

■TVアニメの脚本に武井先生が出した「数少ない要望」

 TVアニメが放送中の『シャーマンキング』について掘り下げる連載も、2021年最後の記事となりました。今回は、「蔵出し」的な情報とともに今年1年の総括をしてみたいと思います。

 4月のTVアニメ放映開始から8か月、物語も中盤を超えましたが、筆者なりにここまでアニメを掘り下げてきて、難しいテーマを分かりやすく伝える構成だと感じています。記事を書くにあたり、筆者は収録台本と原作を常に参照しつつまとめています。それらを比較してみると、基本的には原作に忠実ながらも情報の取捨選択が巧妙だとわかります。

 一例を挙げると……最近「ゴーレム編」が終わりましたが、同エピソードは「やったらやり返される」の解決がテーマです。そして「その覚悟があるならやって良い」という言い方をしてはいますが、作品全体として「憎しみの連鎖は断ち切らなければいけない」ということがあるので、複合して解釈すれば「やり返されてもいいだけの強い覚悟があるのなら、やらないという英断もできるでしょ?」という話になると思えるわけですね。

 実際にチョコラブは最初のうち「やったらやり返されたので、さらにやり返す」という気持ちでいましたが、最後は全てを受け入れています。特に、「笑いの風で吹き飛ばす」という言葉が実によくハマっていると思います。

 ただこれが原作では、チョコラブのコミューン巡りに見られるように、さまざまなキャラの経験や想いが密に描かれることで、内容が一時的に本筋から離れてしまい、その間に読者がテーマを忘れてしまうという問題が起きていたような気がします。あった方がもちろん良いのですが、全体を理解するための壁になっていた可能性は否めません。そこを上手くまとめていたアニメは、とてもわかりやすいものになっていたと感じるのです。

 実際に、武井宏之先生は「ゴーレム編」の情報を大胆に整理することを望んでいました。週刊連載時、やや冗長に描いてしまったので上手くまとめて欲しい……それが先生からの数少ない明確な希望だったのです。それだけでなく、スピンオフ作品の提供に意欲的なのも、自分ひとりで描いていると本筋から離れたときに主題の描写が止まってしまうという考えからでした。主題の裏で起きていることを同時並行で描写できたらその問題は解決します。

 そういったことを知る身としては、また毎回物語を掘り下げて考察する立場としては、アニメ脚本は実によくできていると感じるのでした。

■スマホゲームのオリジナルキャラはどのようにして生まれたのか?

リリースされたスマートフォンゲーム『ふんばりクロニクル』の特徴紹介画像 (C)武井宏之・講談社/SHAMAN KING Project.・テレビ東京 (C)Studio Z, Inc.

 ところでみなさん、スマートフォンゲーム『SHAMAN KING ふんばりクロニクル』はプレイされていますか? 3Dで動き回るキャラクターが魅力的で見入ってしまいますよね。ランキング的にも定番の強豪・実用アプリがひしめき合うなか、そこそこの順位をキープしています。年末年始休暇をはさむとさらに伸びる可能性はありますね!

 武井先生デザインのオリジナルキャラが登場する本作ですが、そこに至るまでには紆余曲折がありました。ファンでない方にもプレイして欲しいと考えると、ストーリーは原作を追いかけたものが無難です。そうしないと「アニメと違うぞ、ワケわからん」となるわけです。一方、アニメと同じ内容では「もう見た、飽きた」となるかもしれません。どちらも正しいのでどうするかは悩ましい問題です。筆者の経験からいっても、原作のあるアプリのシナリオは大抵最初にこの問題とぶつかります。

 さらに原作サイドの立場で考えると、これは世界観を広げるチャンスです。アプリ収録のシナリオを公式扱いとして、世界観がちゃんとつながっているオリジナルストーリーにしたらどうか? と思うわけです。

 原作の裏側や未来、過去、別の場所を描くといったことですね。しかしそれを作るには原作者の労力が膨大です。残念ながら理想と現実は違います。そういう想いを付き合わせた結果として生まれたのが、皆さんが見ているシナリオなのです。

 武井先生はデザインを頼まれたからササッと描いて渡したわけではなく、ストーリーの叩き台を読んで、先生なりに世界を構築して生み出したキャラたちです。ぜひ今後の展開にも注目しつつ、プレイしていただければと思います!

 さて、この2021年には出雲で「シャーマンキング展」が開催されました。そこで築いたご縁で、2022年1月1日から31日まで「メラ旅in神々の国出雲」と題するイベントが開催されます。スタンプラリーやグッズなどオリジナル企画が盛りだくさんで、ぜひとも訪れて取材したいところです……が! 残念ながら叶わないので、行ける方はどうか筆者の分も楽しんできてくださいっ!

 その代わりといってはなんですが、2022年2月に京都で開催される原画展には行く予定です。

 このように「シャーマンキング」コンテンツは年明け早々から元気です! 連載タイトルにもある「30周年」に向け、筆者も微力ながら情熱を持ってこれからも関わり続けていこうと思いますので、来年もよろしくお願いします!

 それでは今回はこの辺で。皆様、良いお年をお迎えください!

●タシロハヤト 
美少女ゲームブランド「age(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。

(タシロハヤト)

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