悪役から味方になったジャンプキャラたち 「人柄のよさ」が見出された人物も?
マグミクス / 2022年1月8日 8時10分
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■性格を見出されて仲間になった悪役もいた
「週刊少年ジャンプ」といえば、「友情・努力・勝利」の3つのキーワードが有名です。このうちの「友情」で盛り上がるパターンのひとつが、以前、戦った敵が仲間になること。「ジャンプ」マンガの王道パターンといえるでしょう。
「ジャンプ」の人気バトルマンガのほとんどが、前シリーズの強敵が仲間になるというパターンを採用しています。もちろん、敵のすべてがというわけではありませんが、あれほど強かった敵が頼もしい味方になるというパターンは、やはり物語を進行させるのに重要なファクターなのかもしれません。しかし、なかには「まさかアイツが?」……というキャラクターもいました。
有名な例としては『ドラゴンボール』のベジータでしょうか。あれだけ悪いことをしたのに、最終的には家庭を持って味方側キャラナンバー2ともいえる存在になりました。しかし、そこに至るまで紆余曲折あり、作品内での行動に無理のない形で仲間になったと思います。
そんな敵から仲間になるのに色々あったキャラたちで、筆者が印象的だった3人にスポットを当ててみましょう。
まずは、「ジャンプ」で友情といえば最初に思いつく作品『キン肉マン』から、7人の悪魔超人のひとり「バッファローマン」です。
当初は怪獣と戦っていた『キン肉マン』は、超人オリンピック編以降は超人たちがマット上で戦うというスポーツ的な方向にシフトしていきました。そこへ新たに登場した悪魔超人という勢力は、スポーツものとは少し違うデスゲーム要素に近い雰囲気を与えます。
それまでも戦って死んだことはいくつかありましたが、ギャグ的要素が強く、どこかクスッとさせる雰囲気も時にはありました。しかし、悪魔超人は登場からマスコット的存在だったミートをバラバラにして人質に取り、対戦したアイドル超人たちを惨殺するという暴挙に出ます。前シリーズでキン肉マンのライバル的存在として登場したウルフマンが、見せ場もないままバラバラにされたシーンはトラウマになるような衝撃でした。
そんな完全な悪役、悪魔超人のリーダーであるバッファローマンは、当時キン肉マンに次ぐ実力者だったウォーズマンを圧倒、その10倍のパワーを誇る「超人強度1000万パワー」であることを明かします。
こういった絶望的ともいえるバッファローマンの実力を次々と読者に見せながら、キン肉マンとの最終決戦が始まりました。必殺技のキン肉バスターを破るなど、数々の能力を使ってキン肉マンを苦しめますが、最終的にバッファローマンは敗北し、サタンの制裁によって命を絶たれます。
しかし、次のシリーズで復活したバッファローマンは正義超人の仲間入りを果たし、以降は頼もしい味方として活躍することになりました。
実はこのバッファローマンは当初、悪魔超人のまま退場する予定でしたが、担当編集者が言った「バッファローマンはいいヤツだと思う」という言葉から、ゆでたまご先生が悩んだ末に改心させたという逸話があります。結果的にこの悪役を改心させるというパターンの確立により、アシュラマン、ネプチューンマンなどの悪役も仲間になる展開に流れをつなぎ、本作の展開を盛り上げる一因となりました。
確かに正義超人になってからのバッファローマンを見ていくと、人の良さがにじみ出る行動が多いと思います。それもまたバッファローマンの魅力なのでしょう。
■悪役時代のイメージを払拭して頼もしい仲間へと転身
筆者が『ジャンプ』で敵から味方になって一番驚いたキャラが、『幽☆遊☆白書』の「飛影」です。
その理由は初登場のころ、後から仲間を倒して霊界の三大秘宝をすべて手に入れる、雪村螢子を妖怪に変えると脅迫するなど、行動パターンが小悪党としか思えなかったからでした(ファンの皆様すみません)。最初の戦いを振り返って見ても、その後とつながらないというか、浮いている感じです。特に邪眼の力で変身した姿は不評だったようで、その後は使っていません。
逆に、一緒だった蔵馬は仲間フラグが即立ち、飛影との最初の戦いで主人公である浦飯幽助を助けています。それゆえに「飛影が再登場した時は裏切るのでは?」とも思っていました。
ところが、実は妹の雪菜を探していたという設定が明らかにされて以降、作中での扱いが急に「優遇」へと変わります。そして、暗黒武術会で邪王炎殺拳の使い手になってから、言動はあまり変わっていないのに、その言葉が頼もしい味方のものとしてとらえられるようになりました。
『幽☆遊☆白書』がアニメ化されるようになった最大の要因は、この飛影と蔵馬の人気によるものだったと思います。その人気は担当声優の檜山修之さんのブレイクにも一役買っていました。
余談ですが、『幽☆遊☆白書』はジャンプマンガでは珍しく、前シリーズのラスボスが仲間にならなかった作品です。そう考えると、飛影と蔵馬だけが仲間入りをしてキャラをしぼったことが結果的に有効だったのかもしれません。
最後は、読者から「どうせ仲間になるんでしょう」と言われて、ギリギリまで仲間にならなかった『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』の「四乃森蒼紫」です。作者の和月伸宏先生は、「おかげでただでさえ長い「京都編」がさらに長くなった」と後にコメントしていました。
そのコメントの通り、蒼紫の迷走は作品自体の迷走でもありましたが、結果的に「京都編」の根強い人気の要因のひとつになっています。
緋村剣心に敗れ、部下である御庭番衆を武田観柳に皆殺しにされた蒼紫。剣心を倒して「最強」の二文字を部下たちの墓前に供えるため、修羅になることを決意します。おそらく本来の予定では「京都編」で剣心と戦うことを先延ばしにして、十本刀と戦っていたのでしょう。あえて安直にその展開にしなかったことが、結果的に作品の完成度を上げたと思います。
続く「人誅編」では、剣心が立ち直るきっかけに気づくなど、頼もしい活躍を見せました。剣心の呼び方も(人斬り)抜刀斎から緋村に変わるなど、さりげない距離感の縮め方もよかったです。
この他にも、敵から味方になったキャラは大勢いますが、みんなそれぞれ魅力的な仲間入りをしていました。あなたの印象に残っているキャラは誰でしょうか?
(加々美利治)
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