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『一緒に戦ってみたい『機動戦士ガンダム』の有能な指揮官たち【ジオン軍編】

マグミクス / 2022年1月6日 18時10分

『一緒に戦ってみたい『機動戦士ガンダム』の有能な指揮官たち【ジオン軍編】

■作戦家、勇将……情に厚い猛将も

『機動戦士ガンダム』には、地球連邦軍・ジオン軍双方で数多くの提督たちが登場しています。今回はそのなかでも、ジオン軍に所属し、戦場に散っていった3人の活躍と人となりを振り返ります。

●情は薄いが策略に優れた指揮官……マ・クベ大佐

『機動戦士ガンダム』第16話「セイラ出撃」で初登場したマ・クベ大佐は、その登場回数の多さとインパクトの強い行動の数々、そして2000年に亡くなられた故・塩沢兼人氏の熱演により、当時の子供たちに強い印象を残しています。

 キシリア・ザビ配下のジオン公国突撃機動軍で大佐の階級にあるマ・クベは、当初オデッサの基地司令として資源の採掘や輸送などを統括する任務にあたっていました。地球から採掘される鉱物資源を死活的に欲していたジオン軍にとっては極めて重要な任務であり、マ・クベが高い評価と信頼を得ていた人物であることがうかがえます。

 ただし、性格は狡猾(こうかつ)で情に薄いところがあり、政治的な策謀を好むがあまり「策士策に溺れる」傾向が強く、作中でも彼の行動によりジオン軍は多くの貴重な機会を逃しています。ガルマ・ザビの敵討ちに現れたランバ・ラル大尉に回すはずのドムを渡さず、結果ラル隊を全滅に追い込み、貴重な勇士を失った件などはその最たるものでしょう。

 しかし作戦能力の高さはジオン軍屈指であり、22話「マ・クベ包囲網を破れ!」では兵士たちに命じホワイトベースに爆弾を仕掛け、ミノフスキー粒子の射出口とECM発信機を破壊。その後のグフ・ドップの集中攻撃と地上に配置したメガ粒子砲で大打撃を与えています。最後、なぜ不時着し煙を上げるホワイトベースを見て退却したのかはわかりません。しかしこのときマ・クベがホワイトベース隊を捕えていれば、戦局は大きくジオンに傾いていたのは間違いありません。マ・クベに足りなかったのは、わずかな蛮勇だったのでしょう。

●堅実な戦略で挑んだが、相手が悪かった……コンスコン少将

 第33話「コンスコン強襲」で初登場したコンスコン少将は、猛将として知られるドズル・ザビの旗下において機動部隊を預かる有能な指揮官です。ドズルの命令によりチベ級重巡洋艦1隻とムサイ級軽巡洋艦2隻、そしてリック・ドム12機を率いてホワイトベース隊の攻撃に向かったコンスコンは、サイド6近辺でついに機会を得ます。

 中立コロニーであるサイド6近辺での戦闘は困難を伴いますが、戦闘禁止区域外にある浮きドックを破壊してホワイトベースの修理を妨害、戦力回復を許さず戦闘を優位に進めます。傷ついた強襲揚陸艦1隻にモビルスーツ2機(ガンダム、ガンキャノン)、重戦闘機2機(Gファイター)、軽戦闘機(コア・ファイター)に対し、コンスコンが率いる戦力は実に3倍。勝利を疑う要素は存在しないはずでした。

 しかし、連邦の白いモビルスーツは圧倒的な戦闘能力を見せ、3分も経たずに9機のドムを撃破。残りの3機も他のメンバーによりすべて撃破され、ムサイも1隻を失います。このときはシャアのザンジバルの介入で生きながらえたものの、第34話「宿命の出会い」で再度戦いを挑み、乗艦のチベ級と運命をともにしました。

 戦闘全体を通してコンスコンの作戦能力にほぼ問題はなく、ただ相手が悪すぎたための敗戦でした。仮に5倍以上の戦力で挑んだとしても、このときのアムロ・レイであればせん滅されていた……そんな気がします。

ランバ・ラルを説得するドズル・ザビのエピソードが描かれる、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN II』DVD(バンダイビジュアル)

●ドズル・ザビ中将

 ジオン公国を支配するザビ家のなかで、猛将として知られるのが三男のドズル・ザビです。ジオン公国軍宇宙攻撃軍の司令官をつとめ、コンスコン少将やランバ・ラル大尉、シン・マツナガ大尉、アナベル・ガトー大尉など多くの武人を従えていた人物です。

 特筆すべきはザビ家の政敵ジオン・ズム・ダイクンの家臣であるジンバ・ラルの息子、ランバ・ラルを配下に加えていた点で、政治的な要素よりも軍人としての力量を重視していたことがうかがえます。

 弟のガルマ・ザビを溺愛し、ガルマを守り切れなかったことを理由にシャア・アズナブルを左遷するなど感情的になる部分はありますが、現場を重視する性格のため部下からも慕われていました。

 実際に作戦指揮を執ったのはソロモン攻防戦となりますが、このとき戦力を出し渋ったギレン・ザビに対し放った「戦いは数だよ兄貴!」という台詞は、ドズルが極めてまっとうな戦術眼を持っていることを示しています。しかしながら、連邦軍の圧倒的な攻撃に苦戦するなか、キシリア・ザビへの増援依頼を出すか尋ねられた際に「物笑いの種になる」と一蹴しており、感情が作戦指揮に影響を与えていることも明らかになっています。

 ソロモンの戦いでも良く部下を鼓舞し善戦しましたが、連邦軍の圧倒的な物量と兵士の練度差、新兵器ソーラー・システムの前に敗北を余儀なくされます。最後は試作型モビルアーマー「ビグ・ザム」に搭乗し、部下や家族を逃がし連邦軍主力のティアンム艦隊へと特攻。ティアンム中将やスレッガー・ロウ中尉など、多数の連邦軍将兵を道連れに戦死しました。まさに武人の最期でした。

(早川清一朗)

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