初代『ゴジラ』の監督が「円谷英二」ではなかった理由 背景には「特撮」が起こした変革が…
マグミクス / 2022年1月9日 7時10分
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■「特技監督」という未曾有のポジションが誕生
日本が世界に誇る大スターであるゴジラ。終戦から10年を待たずに公開された1954年『ゴジラ』に始まるシリーズですが、2016年に庵野秀明監督による『シン・ゴジラ』が社会現象となり、2021年のコロナ禍においてもアダム・ウィンガード監督による『ゴジラvsコング』が世界規模で公開されました。まさに原点にして頂点というべき存在でしょう。
さて、そんなゴジラの生みの親といえばどなたでしょうか。少しでも特撮に触れたことのある方であれば「特撮の神様」こと円谷英二氏を思い浮かべることでしょう。
無論、それは決して間違いではありません。では映画『ゴジラ』(1954年)の「監督」といえば誰でしょうか。それも当然、円谷英二氏……ではありません。クレジットには本多猪四郎監督の名前が記載されています。では制作(プロデューサー)はというと、そこには東宝の田中友幸氏の名前が。
円谷英二氏の名前は「特殊技術」としてクレジットされています。特撮ファンからすればまったくもって当然の話かもしれませんが、しかしライトなファンからすれば若干の違和感を禁じ得ないでしょう。
いったい、なぜ円谷英二氏は監督ではないのでしょうか。
昨年2021年に生誕120年を迎えた円谷英二氏の役職から、日本における特撮の勃興と変遷を振り返ってみたいと思います。
●初代『ゴジラ』における円谷英二氏の立ち位置は?
初代『ゴジラ』の制作は、東宝の田中友幸氏がプロデューサーとなり、極秘プロジェクト「G作品」として企画されました。その際に「本編」監督として本多猪四郎氏、特殊技術担当として戦記映画のミニチュア技術で手腕を発揮していた円谷英二氏がそれぞれ起用されました。この「本編」と「特殊技術」という分担こそ、当時の特撮業界を端的に示しているといえるでしょう。
本編監督とはいわば「特撮以外」の部分の監督。『ゴジラ』においてはストーリー部分を本多監督が担当していました。初代『ゴジラ』に漂うあの緊迫した雰囲気、役者陣のあまりにもリアルな恐怖の表情などは間違いなく本多監督の演出の賜物。『ゴジラ』の映画作品としての土台を完成させたのが 「本編」監督の仕事でした。
では特殊技術は何をしていたのか。これは今日でいうところの特撮(特殊撮影)担当を意味します。何せこの『ゴジラ』こそが日本初の本格怪獣映画であり、「特撮」なんて呼称もありません。残念ながら当時の映画業界における「特殊技術」というポストは必ずしも今日のような評価を得ていたわけではなかったようです。
そして、その認識をぐわりと変えてしまったのが円谷英二氏に他なりません。
●『ゴジラ』空前の大ヒット 次回作でついに「特技監督」のクレジット
初代『ゴジラ』は観客動員数960万人。当時の日本の人口の約1割以上が『ゴジラ』に足を運んだことになるのですから、まさに空前の大ヒットでした。公開当初、いわゆる映画評論家の声は厳しく、また東宝内部も特撮をゲテモノ扱いしていたそうですが、そうした批判をはねのけ、多くの日本人の魂を揺さぶったのが円谷英二氏の生み出した圧倒的な特撮映像であったことは間違いありません。実際、円谷英二氏は同作で第8回「日本映画技術賞」を受賞しています。
この『ゴジラ』の大ヒットからすぐに続編となる『ゴジラの逆襲』(1955年)が制作されることになります。同作においても「監督」は円谷英二氏ではなく小田基義氏。しかしながら、円谷英二氏の肩書きは「特殊技術」から「特技“監督”」に。日本映画史においても類をみない役職が与えられます。いかに円谷英二氏の前作『ゴジラ』における仕事ぶりがエポックメイキングであったかが如実にうかがえます。
では円谷英二氏は最終的に「監督」になったのでしょうか。そんな素朴な疑問が浮かんだ方もいらっしゃるでしょう。少なくともゴジラシリーズにおいては否です(それゆえ本多猪四郎監督とのコンビネーションが際立つのですが)。
その後、円谷英二氏は1963年に円谷プロダクションを設立しテレビ業界に進出。後進を育成しつつ、「特技監督」として特撮の、ひいては映像の可能性を拡げ続けました。生涯を通じて特撮に没頭研究した、まさに特撮の神様であったのです。
ちなみに『ウルトラマン』ではどうかというと、ここでも円谷英二氏は監督ではなく「監修」となっているのですが、その理由に関してはまた別の機会に譲ることにいたします。
(片野)
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