ウルトラマンだってつらいよ! 怪獣たちにひどい目に遭わされる、第2期の衝撃描写
マグミクス / 2022年1月14日 6時10分
![ウルトラマンだってつらいよ! 怪獣たちにひどい目に遭わされる、第2期の衝撃描写](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_75265_0-small.jpg)
■残酷映像の定番として紹介されることも
ウルトラシリーズでは毎回のように怪獣たちが倒されていますが、時にはウルトラマンが倒され、怪獣たちと同じようにひどい目にあうこともありました。あくまでも個人の主観ですが、第2期ウルトラシリーズではそのようなシーンが少なくありませんでした。今回は、ひどい目にあったウルトラマンたちのエピソードを振り返ってみましょう。
そのようなエピソードが初めて描かれたと筆者が思うのが、ちょうど50年前の今日、1972年1月14日に放送された『帰ってきたウルトラマン』第40話「冬の怪奇シリーズ まぼろしの雪女」です。
その原因は、この回に登場する「冷凍怪人 ブラック星人」の用心棒的存在である「雪女怪獣 スノーゴン」です。新ウルトラマン(以下、新マン。現在はウルトラマンジャックという正式名称がありますが、この文章内では第2期ウルトラシリーズ当時の名前で表記します)を冷凍ガスで氷漬けにして固めたうえ、素手で強引に引きちぎってバラバラにしてしまいました。
この時、バラバラにした時の効果音がまた生々しく、ファンには有名なトラウマシーンのひとつになっています。しかし、ウルトラブレスレットの力でバラバラの状態から元に戻った新マンは、逆にスノーゴンを冷凍にした上に投げ飛ばし、粉々にするという因果応報な方法で結果的に勝利しました。
このように一時的にショッキングなことが起こっても、その数秒後には何事もなく新マンが復活したので子供心にも恐怖心はあまりなかったのですが、近年ではこの場面だけ切り取って紹介することが増え、あらためてそのひどさについて考えたエピソードでもあります。
時代的にも第2期ウルトラシリーズは、第1期に比べてウルトラマンを神格化したイメージは薄く、一番ひどい目にあった時期なのかもしれません。
たとえば次作『ウルトラマンA』では、兄弟まとめて十字架に張りつけにされたり、コールタール漬けで固められたりと、リアクション芸人並みに身体を張ったウルトラマンたちを見ることができます。
この『A』のなかで印象的だったのが、第39話「セブンの命! エースの命!」に登場した「火炎超獣 ファイヤーモンス」との初戦でした。ここでウルトラマンAはファイヤーモンスが手にした炎の剣で胸を刺されて倒れてしまいます。
こう、あっさり書くと普通に思えますが、この炎の剣は刀身が本物の炎で燃えていました。これはCGなどの合成ではありません。実際に小道具として作られた剣が炎をまとっているのです。
それを振り回すのも相当ですが、最終的にこの剣は燃えたままAの胸に刺さるという恐怖映像を生み出していました。特撮史上、実際に燃えた剣でアクションをするという場面は少なくないのですが、モロに怪獣体形のファイヤーモンスに使わせているのが単純にスゴいと思わせる映像になっています。
■あらゆる方法でウルトラマンを襲う苦難の数々
ウルトラマンたちが倒される衝撃展開の18話「ゾフィが死んだ! タロウも死んだ!」を収録した、「ウルトラマンタロウ 5」DVD(バンダイビジュアル)
続く『ウルトラマンタロウ』では、これまで以上にウルトラマンたちの悲惨な姿が描かれました。
もっとも有名なのは「火山怪鳥 バードン」が登場した第17~19話でしょうか。ウルトラシリーズ初の3部作で構成されたエピソードですが、第18話のサブタイトル「ゾフィが死んだ!タロウも死んだ!」がすべて物語っていました。
しかもウルトラマンタロウもゾフィの倒し方も、シンプルにくちばしで刺し貫いて葬るというもの。これを人間で想像すると、さらに嫌な気分になります。
ちなみに、この話でゾフィの頭部に本物の火が燃え盛るという映像がありました。近年では「ミスターファイヤーヘッド」と笑い話にされていましたが、落ち着いて考えるほどヤバい状況ということに気づきます。しかし、これは事故でなく計算された演出だそうで、通常よりも多めの消火器を用意しての撮影でした。
この他にも、第14話「タロウの首がすっ飛んだ!」で、タイトルの通りに「えんま怪獣 エンマーゴ」に剣で首を切り落とされたタロウ。第52話「ウルトラの命を盗め!」で「泥棒怪獣 ドロボン」にカラータイマーを奪われてシオシオになった新マンなど、TV番組などで紹介される衝撃映像では定番となっています。
第2期シリーズの最終作品『ウルトラマンレオ』では、第1話「セブンが死ぬ時! 東京は沈没する!」から、とんでもない展開で始まりました。この話は、「サーベル暴君 マグマ星人」に引き連れられた「双子怪獣 ブラックギラス」と「双子怪獣 レッドギラス」対ウルトラセブン。3対1のハンディキャップマッチから始まっています。
ここでセブンの足はブラックギラスに折られ、以降は変身不能となりました。そのシーンを見ると強引に捻じ曲げて折られた演出に、いかにも折れたという効果音が加えられてショッキング映像となっています。この戦い以降、セブンの変身前のモロボシ・ダンは松葉づえなしでは歩けない姿にされるのですから、地味にトラウマの残る展開でした。
『レオ』では衝撃映像が多いとファンにも言われていますが、1話からこれですから当然と言えるかもしれません。
そんな中、筆者が『レオ』でもっとも印象深いのは第50話「レオの命よ! キングの奇跡!」に登場した「円盤生物 星人ブニョ」です。ブニョはウルトラマンレオを宇宙ロープで拘束、巨大化できない状態で凍らせ、意識のある状態でブラック指令がノコギリで刻むという猟奇的なシーンがありました。
このノコギリが、どう見ても本物のノコギリというリアリティさが怖さを増幅します。さらにバラバラになったレオの死体は野ざらしで放置され、翌日、それをレオのことを慕う梅田トオルが発見してしまうという展開でした。
その後、サブタイトル通りにウルトラマンキングの奇跡的な超能力でレオは復活を遂げますが、サブタイトルがネタバレになっていなかったら怖くなってチャンネルを変えた子供が続出したのではないかと思います。
ちなみに前述したエピソードのスノーゴン、エンマーゴ、ドロボン、ブニョの4作はすべて石堂淑朗さんの脚本で、第2期シリーズでもっともウルトラマンを悲惨な目にあわせた脚本家かもしれません。
以上が、筆者が第2期シリーズで悲惨な目にあったと思うウルトラマンたちでした。現在なら敬遠されていたような展開も、半世紀前は普通にできたんですね。
(加々美利治)
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