「実は私も!」マンガを描いていたアイドル、芸人、文豪たち 意外だったデビューの経緯
マグミクス / 2022年1月16日 15時10分
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■みんなマンガを愛して大人になった……から描いた!
2021年に発表された「小中学生のなりたい職業」の堂々1位は「漫画家(アニメーター・イラストレーターを含む)」でした(「キッズ@nifty」調べ)。大好きなマンガを自分でも描いてみたいという想いは、子どもに限らず大人も胸に秘めているようで、本業で名を成した上に漫画家の顔を持つ有名人もいます。
たとえば、お笑いコンビ「カラテカ」の矢部太郎さんは、コミック『大家さんと僕』で手塚治虫文化賞短編賞まで受賞してしまいました。他にも、漫画家の顔をもつ意外な有名人をご紹介しましょう。
●荒木飛呂彦先生も絶賛の才能……中川翔子
まずは、マンガや特撮、コスプレなど、オタク文化好きを公言する「しょこたん」こと中川翔子さん。イラストの腕前はよく知られていますが、実は漫画家としてプロデビューもしているのです。デビュー作は2007年に太田出版発行の季刊誌「hon-nin」で連載したパニックホラーマンガ『脳子の恋』(原作:井口昇)で、単行本化された際の帯には荒木飛呂彦先生の「まさに妄想の恋愛。しょこたんが描くとエンターテインメントへと昇ります」との推薦コメントも寄せられました。
現在も女性向けサイト「telling,」でマンガエッセイ『中川翔子のナントカな日常。』を連載中。しょこたんは、小さい頃から絵を描くこと、特に好きな漫画家の作品を模写することが好きだったということで、マンガのなかには楳図かずおタッチ、藤子不二雄タッチ、美内すずえタッチなどのコマが挟み込まれ、絵達者ぶりとリスペクトが感じられて、思わずにやりとしてしまいます。
●少女漫画家は現役ジャニーズアイドル!……高橋海人
かのジャニーズ事務所にも、漫画家の顔を持つ現役アイドルがいます。「King&Prince」のメンバーで、ドラマなどでも活躍しているキラキラ王子さまの高橋海人さんです。
高橋さんが描くのはなんと少女マンガ。意外にも思えますが、たとえば『北斗の拳』のような漢マンガを描いていたとしたらまったくイメージが合いませんから、王子様的にはぴったりなのかも。なんでも、2才年上のお姉さんの影響で小さい頃から少女マンガが大好きだったのだそうです。高橋さんは少女マンガの魅力について、「恋に関して女の子の理想が詰まっているところ」だと語っています。
彼の漫画家デビューは意外な形で叶いました。高橋さんの少女マンガ好きを知ったマンガ雑誌「ベツコミ」が、漫画家になるためのノウハウを学ぶ連載「アイドル、ときどき少女まんが家」を企画。高橋さんはその連載で、1年間、現役漫画家の先生たちから、キャラ設定やネームの作り方などを学び、2019年に『僕のスーパーラブストーリー!!~王子と男子は紙一重!?~』で晴れて漫画家デビューを果たしたのです。
高橋さんは現在、『ジャニーズと僕』を連載中。この作品ではノンフィクションにこだわっているそうで、描かれる「King&Prince」メンバーのリアルな日常生活は、ファンにはたまらないでしょうね。
■小説より先にマンガを描いていた文豪も
子どもたちの無邪気なエピソードがほろりと泣けると評判の『パパは漫才師』(小学館)
●家族のほっこり話を描く関西芸人……「シャンプーハット」恋さん
関西で絶大なる人気を誇る漫才コンビ「シャンプーハット」の恋さん(2021年11月に「こいで」から改名)は、2018年から3年間、ウェブコミック配信サイト「サンデーうぇぶり」で『パパは漫才師』というマンガ連載をしていました。妻と3人の子どもたちとのほっこりとした日常が好評で、単行本全7巻にまとめられた大人気作です。
小さい頃からマンガが好きだった恋さん。漫才のネタをマンガにしたら面白そうだと出版社に持ち込んだところ、すんなり連載が決まったのだそうです。その際、出版社から提案されたのが、当初考えていたギャグマンガではなく子育てマンガだったのですが、実は恋さんには子どもネタのストックもありました。
大きくなったときに聞かせようと、子どもたちのエピソードもネタ帳に記していたそうなのです。そんな受け狙いではないほっこりエピソード満載のマンガを読んで、思わずほろりとする芸人仲間が続出。子を持つ親にとっては、子育てあるあるは、まるで我が子のことのように感じられるんでしょうね。
ちなみにマンガのアシスタントを担当したのは後輩芸人。背景はイラストの仕事も多い森本大百科さんが、トーンと色つけはお笑いコンビ「蛙亭」の中野周平さんが行っていたそうです。
●漫画家の顔も持つ文豪……筒井康隆
SFからスラップスティック、ジュブナイル、推理小説、実験小説など、幅広いジャンルの作品を発表し続け、俳優としても活躍する、多才すぎる文豪・筒井康隆さん。その多才の一角に、漫画家の顔もあります。
幼少期に田河水泡の『のらくろ』に熱中したという筒井さんは、小学生の頃から自分でもマンガを描いていたそうですから、小説執筆よりもマンガ歴の方が長いことになります。さらに中学生になると手塚治虫作品に夢中になり、マンガ雑誌「漫画少年」に投稿もしていたそうです。
「漫画少年」の投稿者には赤塚不二夫さん、藤子不二雄さん、楳図かずおさんなど、のちに漫画家になった人も数多くいます。また、小松左京さん、眉村卓さん、平井和正さんなど、その後筒井さんとともに日本SF界の礎を築くことになる面々も投稿者に名を連ねていました。「漫画少年」は、表現者たちの若い情熱が集まる場だったのでしょう。
そんな筒井さんの作品は、自身のSF小説をマンガ化した作品(逆にマンガが先でのちに小説化したものも)や、新撰組をとりあげた『わが名はイサミ』などの歴史モチーフものなど、味わいもさまざまで、小説同様すべて読み通してみたくなります。
大注目のマンガ界には、今後も他ジャンルから新しい才能が入ってくることでしょう。どんな作品と出会えるのか、ますます楽しみですね。
(古屋啓子)
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