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歴史を変えた、『宇宙刑事ギャバン』と戦隊の共演 東映コラボ作品が続々と開花

マグミクス / 2022年1月21日 6時10分

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■歴史的偉業だった「戦隊と宇宙刑事の共演」

 10年前の2012年1月21日、『海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が公開されました。この作品は戦隊シリーズだけでなく、後の東映ヒーロー作品に影響を残した記念すべき作品でした。

 本作は当時放映中だったスーパー戦隊シリーズ第35作『海賊戦隊ゴーカイジャー』の世界観に、宇宙刑事シリーズおよびメタルヒーローシリーズ第1作で当時30周年だった『宇宙刑事ギャバン』がクロスオーバーすることで、ダブルメモリアルとも言うべき作品になります。

 通常、この時期に公開される「スーパー戦隊VSシリーズ」は放送時の当年度と前年度の戦隊が共演するものでした。しかし、『ゴーカイジャー』の前作である『天装戦隊ゴセイジャー』とは、前年2011年6月11日に公開された『ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦』が、実質的にスーパー戦隊VSシリーズに相当する内容でした。そのため、別の作品とのコラボが検討され、本作の制作が決まったわけです。

 スーパー戦隊シリーズと宇宙刑事シリーズとの映像でのコラボは本作が初めてでした。他の作品で考えた場合、1978年3月18日に公開された『ジャッカー電撃隊VSゴレンジャー』で写真という形で、他シリーズのキカイダー、仮面ライダーV3、仮面ライダーアマゾンと共演していた過去があります。

 また、前年2011年4月1日に公開された『オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー』では、他作品の主人公であるキカイダー、キカイダー01、イナズマン、ズバットが共演していて、この当時の東映ヒーロー作品は他作品とのコラボが積極的に行われていた時期と言えるのかもしれません。

 この流れで、2012年4月21日公開の『仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦』という仮面ライダーシリーズとスーパー戦隊シリーズの本格的コラボ作品が制作されました。宇宙刑事シリーズも新たな試みとして、二代目ギャバンが登場する『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』が2012年10月20日に公開されています。

 そして、これまでのヒーローを単にコラボ出演させるという方向から、現代風にデザインを新しくするという方向性がこの後に起こり、2012年8月4日公開『仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!』では『宇宙鉄人キョーダイン』や『大鉄人17』、2012年12月8日公開『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』では『イナズマン』、『アクマイザー3』、『美少女仮面ポワトリン』がリデザインされて登場しました。

 この流れはやがてリブート作品と呼ばれる、2014年5月24日に公開された『キカイダー REBOOT』を生み出します。実は、同時期に公開された海外映画『アベンジャーズ』に着想を得た東映は、これら石ノ森章太郎先生原作ヒーローが集結する『石ノ森アベンジャーズ』を企画していました。それに伴い坂本浩一監督などの働きかけで上記のような流れになっていたのです。しかし、残念ながらビジネス面を考慮して、この着想は最終的にお蔵入りしてしまいました。

 ただ、この流れとは別に宇宙的警察ヒーローつながりで、『特捜戦隊デカレンジャー』と宇宙刑事シリーズのコラボである『スペース・スクワッド』シリーズを生み出し、スーパー戦隊と宇宙刑事の夢の共演は現在へとつながります。

■ファンから喝采された、宇宙刑事・大葉健二氏の一人三役

ギャバンと大葉健二さん演じる一条寺烈がジャケットに描かれる、「宇宙刑事ギャバン ベストヒット曲集&オリジナル・サウンドトラック」(日本コロムビア)

 本作の魅力を語る時、往年のファンが必ずと言っていいほど口にするのが、一条寺烈/ギャバン役の大葉健二さんの年齢を感じさせないキレのある演技力でしょう。

 TV放送当時、『ギャバン』がヒットした要因も大葉さんによるところが大きいものでした。それまでのヒーロー役者にはなかった、コミカルな演技と激しいアクションを同時にこなす実力。それは『バトルフィーバーJ』(1979年)の曙四郎/バトルケニア役、『電子戦隊デンジマン』(1980年)の青梅大五郎/デンジブルー役と、立て続けにレギュラーのヒーロー役を演じたことからも立証されています。

 それゆえ、ひとりで戦隊メンバー全員と肩を並べることができる存在感ある役どころを演じることができたのでしょう。そして、27年ぶりだというのに当時と変わらぬ変身ヒーローを演じるというのも、並の役者ではできない偉業だったと思います。

 一方のゴーカイジャー側のメンバーも、負けず劣らずの活躍で本作を盛り上げていました。特にキャプテン・マーベラスの少年時代にあったギャバンとの過去の出来事から来る現在の展開は、本作の見どころのひとつです。

 この二大ヒーローを迎え撃つ敵役が、宇宙警察総裁ウィーバルに化けていた魔空監獄獄長アシュラーダで、演じるのは佐野史郎さんでした。スーパー戦隊シリーズでは本作が初出演となる佐野さんですが、ゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダーのシリーズに出演したことがあり、数少ない特撮4大シリーズ出演コンプリートを果たしています。

 もう一体の敵であるギャバンブートレグも、ギャバンの能力をコピーしたロボット戦士で、声を発しないという設定と相まって強敵感を生み出していました。ちなみにブートレグとは「海賊版」という意味で、今作のコラボに相応しいネーミングだったと思います。

 そして今回の見どころのひとつが、監獄にいた過去にスーパー戦隊と戦ったことのある悪役たちでした。放送当時の役者や声優の再結集は、メモリアル作品ならではのゴージャス感があります。比較的、それまでにも過去のヒーローの集結はありましたが、悪役たちの再集結はあまり例がありません。

 また、本作での大葉さんは前述した3大ヒーローをひとり3役で演じていました。しかも、合成ではありますが3人が共演し、同時変身をするというシーンを最後に用意しています。往年のファンには懐かしい光景ですが、これは『宇宙刑事シャイダー』最終回「3人の宇宙刑事 ギャバン シャリバン シャイダー大集合!!」にあった3大宇宙刑事同時変身のパロディで、謎の天の声のセリフまで再現していました。

 どうしても過去の作品とのコラボと言うものは「コレジャナイ感」があるものですが、本作はあまり違和感のない、ファンにとってまさに「夢の共演」が見られた傑作だったと思います。昨年公開された『テン・ゴーカイジャー』のように、これからも可能な限りヒーローのその後が見られるといいですね。

(加々美利治)

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