2021年放送、隠れた名作アニメ一挙振り返り 裏番組が強力すぎて目立たなかった不運も
マグミクス / 2022年1月22日 19時40分
■注目度は低かったけれど印象的だった2021年放送のTVアニメ
2022年になって早くも1か月経とうとしています。TVアニメも新作ラッシュの真っ最中ですが、ここで2021年に放送されたアニメを振り返ってみましょう。
ただ話題作を振り返るだけでは、『呪術廻戦』(2020年10月3日~2021年3月27日)、『東京リベンジャーズ』(4月11日~9月19日)、『鬼滅の刃 無限列車編』(10月10日~11月28日)といった超人気作品ばかりになってしまうので、あまりランキングに出てこない筆者のおススメ作品についてご紹介したいと思います。
まずは『蜘蛛ですが、なにか?』(1月8日~7月3日)。最近ではジャンルとして定番化した異世界転生ものですが、最初から主人公に破格のステータスがあるわけでなく、ただの蜘蛛のモンスターに転生、血みどろの努力をして成り上がっていくという物語です。
大人気小説が原作ですが、勉強不足の筆者はアニメになるまでその存在を知りませんでした。TVアニメになった時も大々的な告知がなく、知ったのは主演である声優の悠木碧(ゆうき・あおい)さんのTwitterがきっかけです。
個人的にツボだったのが、この悠木さんの演技力でした。出番のある場面で延々しゃべり続ける「私」のキャラは悠木さんあってのもの。途中で人格が4つになってからは、ボケもツッコミも悠木さんがひとりで演じていて、これでもらえるギャラはひとり分なんだろうなぁ……と変な心配をしてしまうほどの熱演でした。ちなみにハイテンション&早口で難易度の高いエンディング曲も悠木さんによるものです。
本作はキリのいいところで終了しましたが、まだ原作でアニメ化されていない部分も残されているので、第2期の制作を期待したい作品でした。
人気作だった『SSSS.GRIDMAN』の続編として製作されたのが『SSSS.DYNAZENON』(4月2日~6月18日)。共に原典は特撮番組『電光超人グリッドマン』です。原典に登場したダイナドラゴンをモチーフにした合体ロボ「ダイナゼノン」を主役メカに、その初登場になる18話「竜の伝説」が物語のベースになっていました。
正直、1話を原作にどうするんだろう? ……と思っていましたが、アニメスタッフの絶妙なさじ加減で前作に負けず劣らずの名作となっています。特に前作であまりクローズアップしていなかった人間関係に踏み込んで、チームと言う違った魅力を存分に見せてくれました。
物語の展開もオモチャ販売を意識したかのような展開が多く、普通に子供が見る時間帯に1年間やってほしいと思わせるものだったと思います。これはあえてスタッフが意識してそうしたそうで、子供の心を持つ大人向けといったテイストだったのかもしれません。
本作も前作同様多くのファンを生んだことから、新プロジェクトとして完全新作劇場版『GRIDMAN×DYNAZENON』(仮称)の製作が発表されています。
このほかにも『ゴジラ S.P <シンギュラポイント>』(4月1日~6月24日)が一応の完結を見せながらも、2期を思わせるような含みの終わり方で余韻を残しました。筆者個人的には、このやり逃げ感が好きです。また、原作マンガでは未完作品だった『ゲッターロボ アーク』(7月4日~9月26日)も圧巻のアニメ化でした。ただ、原作を知らない人には「ポカン」だったようです。
■裏番組との激烈な視聴率争いがあった作品たち
『魔入りました!入間くん』 (C)西修(秋田書店)/NHK・NEP
もちろん印象的だったのは、深夜帯のTVアニメだけではありません。2021年の作品で筆者がイチオシしたいのが『魔入りました!入間くん(第2期)』(4月17日~9月11日)です。
最初は原作マンガも読んでいなかったのですが、第1期放送中の年始一挙放送で見て、1日でファンなりました。以降、原作マンガも追っています。
作品の舞台が魔界。主人公の鈴木入間以外の登場人物は全員悪魔なので信じられないかもしれませんが、内容は正当な学園ものです。設定が単なる舞台装置で、悪魔でもメンタルは普通の人間と変わりません。そして、ドタバタコメディのなかに時折ド直球の感動が飛び込んでくるいい作品です。
本作は第1期、第2期共に2クールの放送でしたが、同時間帯に放送されていた作品が人気作『僕のヒーローアカデミア』だったことから、あまり注目されていなかったかもしれません。第3期の制作がすでに決まっているので、次回こそ『ヒロアカ』の裏番組でないことを祈っています。
定番のコンテンツとして誰もが知る「プリキュア」シリーズ。その第18作『トロピカル~ジュ!プリキュア』(2月28日~放送中)です。毎回、異なったモチーフになっていますが、本作は「海」と「コスメ」でした。その結果、人魚が登場する南国をイメージした海辺の街が舞台となっています。
長期にわたってシリーズを続けているので固定ファンも多く、二世代コンテンツとしてメジャーなタイトルですが、それだけに作品ごとのクオリティは一定していません。それでも本作は多くのファンの期待に応えた良作だったと思います。
特に1話から登場していた人魚のローラが仲間たちとの絆を強くしていき、人間へのあこがれからプリキュアに変身できるようになる流れは、4クール作品ならではの丁寧さと納得感のあるストーリーでした。特に調子のよい自信家と言う嫌われやすいタイプのローラを、見事に愛されるタイプのキャラとして昇華している点は素晴らしいのひと言に尽きます。
長期シリーズと言えば、「デジモン」シリーズの新作である『デジモンゴーストゲーム』(10月3日~放送中)も注目です。個人的には近年のシリーズで、もっとも好みの作品になりました。こちらも裏番組が『仮面ライダーリバイス』という強敵です。
科学的な要素であるデジモンという存在を、妖怪や怪奇現象に置き換えている点が秀逸。正直、設定だけ聞いた時は不安要素だと思いましたが、見事な融合ぶりで作品の雰囲気にグイグイ引き込まれてしまいました。しかも、ストーリーテラーとも言えるナレーターが俳優の竹中直人さんというのも意表を突く起用です。
筆者が作中のキャラで注目しているのが、東御手洗清司郎(ひがしみたらい・きよしろう)とジェリーモンのコンビ。お互いを「ジェリーモン様」「ダーリン」と呼び合う奇天烈な関係は、これまでのデジモンとパートナーでは例のない形で大注目。担当声優の石田彰(いしだ・あきら)さんと嶋村侑(しまむら・ゆう)さんの演技が絶品です。
以上、筆者が2021年に注目したTVアニメ作品でした。ほかの注目作品は何らかの形でネット上で記事として読んだこともありますが、前述の作品はあまり見たことがありません。人によって好みはさまざまですが、筆者と感性が近い人には面白いと思っていただける作品だと思います。みなさんにもあまり取り上げられなかったけれど、誰かにおススメしたい作品ってありますよね?
(加々美利治)
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