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ラムちゃんが死んだ? アニメ『うる星やつら』で賛否呼んだエピソード 現代では高評価に

マグミクス / 2022年1月20日 6時10分

ラムちゃんが死んだ? アニメ『うる星やつら』で賛否呼んだエピソード 現代では高評価に

■ときどき暴走モードに突入した、アニメ『うる星やつら』

 2022年、アニメ『うる星やつら』(原作・高橋留美子)が36年ぶりに完全新作で復活、フジテレビ「ノイタミナ枠」などで放送されます。期間は4クールで、原作から選び抜かれたエピソードも放送されるとのことです。

●急展開! 笑いなしの完全ミステリー

 アニメ第1期の放送は1981~86年の4年半というロングヒットでした。当然、名作と語り継がれるエピソードはたくさんありますが、ファンの間で「名作か愚作か」と今でも賛否が分かれるエピソードがあります。それが、第98話「そして誰もいなくなったっちゃ!?」です。

 タイトルを見た視聴者は、アガサ・クリスティのミステリー小説「そして誰もいなくなった」のパロディでドタバタがはじまるのか、と思ったでしょう。というのも、これは原作マンガにはないアニメのオリジナルだったからです。このころ制作スタッフは若手へ入れ替わりが多く、新しい感性に任せた、攻めた内容が目立ち始めていました。この作品は、攻めの姿勢を明確にする最初のオリジナルだったかもしれません。

●さくらが面堂がラムが、次々に殺されていく……

 では、「そして誰もいなくなったっちゃ!?」を振り返りましょう……。あたるやラム、面堂、しのぶといった仲間11人が孤島に集まります。届いた招待状の差出人は不明でした。ここで1週間過ごすことになりますが、大きな屋敷に部屋は10室、つまり招かれざる客がひとりいることになります。食堂で流れてきたオルゴールの曲は「Who killed Cook Robin(誰が駒鳥を殺したか)」でした。

 一夜明けると悲劇が。チェリー(錯乱坊)が食べものを口いっぱいに頬張ったまま死んでいるのが見つかります。手には弓矢が握られていました。

 そのあと地下室で、スコップを持ったまま死んでいる角刈り、角刈りから流れる血を皿で受け取るパーマ、メガネは白目をむいて、チビの首には太い針が刺さったまま、それぞれ死んでいました。温泉マークが気づきます。「これはマザーグースのクックロビンに見立てた殺人事件だ」。歌詞からひもときます。

(歌詞)
「誰が駒鳥を殺したか? それは私とスズメが言った。弓と矢で私が殺した」、「誰が駒鳥死ぬのを見たか? それは私とハエが言った。小さな目玉で私が見ていた」、「誰がその血を受けたのか? それは私と魚が言った。小さな皿で私が受けた」、「誰が経帷子(きょうかたびら)を作るのか? それは私とカブトムシ。針と糸とで私が作ろう」、「誰が墓穴掘るだろう? それは私とフクロウ言った。ピックとシャベルで私が掘ろう」。

 脅えるあたるは島を出ようと提案しますが、面堂のトランシーバーは何者かに壊され、電話は不通、ラムもここからではUFOが呼べないと言います。翌日、大木に張りつけられて殺されたさくらの姿が。木の下には聖書が落ちていました。「誰が牧師を務めるか? それは私とカラスが言った。小さな聖書で私がなろう」。

 崖のあたりで、体に松明を巻かれて倒れている面堂、棺の傍らに倒れたしのぶが死んでいました。「誰が松明持つだろう? それは私と紅雀。すぐに戻って取り出そう」、「誰が棺を担ぐのか? それは私とトビが言う。夜でないなら私が担ごう」。

●「殺しはしない。だって…」

 残るは3人。天井から漏れてくる水を不審に思い、あたるが2階へ駆け上がると、ラムがバスタブで死んでいました。「誰が覆いを捧げ持つ? それは私とミソサザイ。夫婦で一緒に持ちましょう」。身体は布で覆われていました。ついにラムまで犠牲になってしまいます。

 ラムをベッドに寝かせ泣き疲れて眠っていたあたるは一発の銃声で目覚めます。ベッドの上で温泉マークが胸から血を流して死んでいました。足下には木の枝が数本ありました。「誰が賛美歌を歌うのか? それは私とツグミが言った。小枝の上のツグミが言った」。

 最後に残ったあたる。崖にそびえ建つ塔から何者かが鳴らす鐘の音が響きます。「誰が鐘を鳴らすのか? それは私と雄牛が言った。なぜなら私は力持ち、私が鳴らしてあげましょう」。

 怒りに震えるあたるが塔を登ると目の前に人の後ろ姿が。銃をかまえるあたる「お前が犯人か! 俺も殺すつもりならそれもよかろう! だが1人では死なん、お前に地獄までの道案内をしてもらう!」。ゆっくりと振り向いたその人物は……。

 ……結末は伏せておきます。ここまで笑いがないミステリードラマでした。

 放送後、「登場人物を殺すな」、「斬新な試みだった」など賛否両論。リアルタイムで見ていた筆者は、キャラクターたちが次々殺され、その殺人が歌になぞらえている、しかも正味24分程度のスピードで完結させるとは、エンタメ性が凝縮された名作だったと今でも思います。

 ファンの間で度々話題になっていた「そして誰もいなくなったっちゃ!?」について「有りか無しか」という論争は、2019年にNHK-BS「るーみっくアニメ大投票」の『うる星やつら』好きなエピソード第2位にランクインしたことで一応の決着を見たのかもしれません。今年2022年に放送予定の新しい『うる星やつら』でも、視聴者が激論を交わすようなエピソードはあるでしょうか、楽しみですね。

(石原久稔)

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