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妙に親近感がわく、マンガの「地球外生物」たち 地球を満喫しすぎ?

マグミクス / 2022年1月24日 11時50分

妙に親近感がわく、マンガの「地球外生物」たち 地球を満喫しすぎ?

■常識も地球外ゆえにドタバタ満載

 マンガの世界に登場する地球外生物たちは、人間世界の常識が通用しなくてもOKなため、物語を広げるには欠かせない存在です。漫画家にとっては創造力のみせどころ。限りないアイデアで驚きの地球外生物を生み出しては、私たちを楽しませてくれています。

 なかには、地球に居着いて地球生活を満喫する生物たちも。この記事では、近くにいたらなんか楽しそうだなぁ……とも思える、印象深い地球外生物を紹介します。

●セクシーなおしかけ婚約者「ラムちゃん」

 2022年、36年ぶりのTVアニメ化が発表された高橋留美子先生のデビュー作『うる星やつら』。1978年に連載が始まって以来、44年も愛されている国民的人気作ですが、その魅力はなんといっても、ヒロインである鬼っ娘のラムちゃんにあるでしょう。

 物語は主人公の高校生・諸星あたるが、地球侵略を企む宇宙人・鬼族との鬼ごっこ一騎打ち代表に指名されたことから始まります。地球を賭けた戦いが鬼ごっことは、なかなかにぶっ飛んだストーリーですが、そのポップさが作品の軽妙なテイストを表しています。

 そして、あたるの鬼ごっこの相手こそが、ラムちゃん。戦い中にあたるは恋人への思いを叫ぶのですが、ラムちゃんはそれを自分へのプロポーズと勘違いしてしまい……以来、ラムちゃんはあたるの押しかけ婚約者として地球に住み着くことになったのです。

 頭に小さな2本のツノを生やし、虎柄のビキニを着たグラマラスなラムちゃんは、まわりのみんなが認める美少女なのですが、あまりパッとしないあたるにゾッコン。あたるが浮気心を見せるたびに電撃攻撃はするものの、一度「ダーリン」と決めたら脇目も振らずに尽くす姿は、男性にとっては理想の女性像ではないでしょうか(……なんて言ったら、この時代、怒られてしまうかもしれませんが)。

 語尾に「だっちゃ」や「ちゃ」をつけるラムちゃん言葉もかわいくて、連載やアニメを見てマネした人も多かったことでしょう。実はこの言葉、作者の高橋先生が好きな小説『青葉繁れる』(井上ひさし)に出てくる仙台の言葉を使ったのだそうですが、グッと親近感を感じさせてくれました。新作アニメで、またラムちゃん言葉が聞けるのが楽しみですね。

■衝撃のビジュアル…なのに抜群の「地球なじみ」感

●ビジュアルも言動もコミカルな「ニコちゃん大王」

 鳥山明先生の連載デビュー作『Dr.スランプ』は強烈キャラの宝庫ですが、なかでもビジュアル的に群を抜いて強烈なのが、宇宙海賊のニコちゃん大王です。顔に手足が生えたような身体のため、初めて見たアラレちゃんには「カオばっかし!」と言われてしまいます。

 頭にあたる部分がお尻(アラレちゃんワールドでは「おケツ」)で、触角は鼻。だから、うかつにおならをすると自分でもくさくてたまらないという、小学生大喜びの爆笑体型です。しかも、しゃべる言葉は鳥山先生の地元の名古屋弁。これはきっと先生お気に入りのキャラに違いないと思って調べてみると、案の定「最も僕の好きなくだらないキャラの代表格」「個人的には最高のキャラかも」との言葉がありました。

 そんなニコちゃん大王は、なんでも食べるガッちゃんに宇宙船を食べられてしまい、家来とともに地球に滞在するハメになりました。実はニコちゃん大王、数々の星を占領してきて100個めの星として地球を狙っていたはずなのですが、いざやってくると観光客状態。アラレちゃんから、道端に落ちているのがウンチだと教えられると、「こ、これははじめてみるな」と感動し、お土産として大事に持って帰ろうとしたりします。

 ムダに高いプライドをもちながらも、「地球」を「チタマ」、「火星」を「ヒボシ」と読んでしまうなど間違いを連発する大王は、サインをねだられると自分のことも「宇宙の玉者」「ニコちゃん大玉」と書いてしまうほどの抜けっぷりで、もう、愛さずにはいられない地球外生物です。

●非道な悪役から良きパパとなった「ベジータ」

 鳥山明作品からもうひとり(一体?)。『ドラゴンボール』シリーズに登場するベジータも、愛すべき地球外生物です。もちろん「え、ベジータ?」と思う向きもあるでしょう。なにしろ初期のベジータは、フリーザの手下として異星を侵略しまくっており、地球にやってきたのも、永遠の若さと命が手に入るドラゴンボールを求めて……という極悪非道なヤカラなのですから。

 その非道ぶりは、ともに戦ってきた仲間であるはずのナッパが瀕死になると、「うごけないサイヤ人など必要ない!!!」と躊躇なくとどめをさしたり、ナメック星のツーノ長老の村でドラゴンボールを渡すのを拒否されると「じゃあ死ね!」と、村を壊滅状態に追い込んだりと、惚れ惚れするほどの悪役ぶりです。

 そんなベジータが地球に居着いて、愛すべきキャラにまでなってしまうとは誰もが驚く展開でしたが、そこには、愛妻ブルマと息子トランクスの存在がありました。父性に目覚めたベジータは良き父となり、息子トランクスに家族旅行の約束までするほどのナイスパパぶり(コミックスでは叶えられませんでしたが、アニメでは実際に家族旅行に出かけていました)。

 まるで、若い頃ヤンチャの限りを尽くしたくせに、家庭をもったとたん、ひと一倍まっとうな人生を歩み始めたヤンキーがごとく。これをストーリー展開上のご都合主義と感じる人もいるかもしれませんが、人間(いや、ベジータは人間ではないのですが)、心がけ次第で周囲の人も驚くほどに変われるものなのです。

 たとえば相撲界では、お調子者でやらかし物件だった阿炎関。元横綱の北の富士勝昭さんがコラムで「わずか三場所の謹慎で別人になった」と褒め称えるほど、真面目に生まれ変わりました。

 ともあれ、地球で妻子を得て変わったベジータは、その変貌ぶりからもインパクト大。悪役だった時から人気が高かったのですが、親近感がましてますます人気を高めることとなりました。

 ちなみに、穏やかになったベジータは、かつて自らが壊滅状態に追い込んだナメック星について「ナメック星には迷惑をかけた過去があってな これ以上数を減らすわけにはいかないんだ」と言っていますが、あれは迷惑レベルの話じゃありません。「どの口が言う!」とは、全世界の『ドラゴンボール』ファンが思ったことでしょう。

(古屋啓子)

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