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アニメ『シャーマンキング』41話 人間を憎む「ハオ」の原点が明らかに

マグミクス / 2022年1月27日 18時30分

アニメ『シャーマンキング』41話 人間を憎む「ハオ」の原点が明らかに

■わかりやすく映像でまとめられた、島内各所での重要な出来事

 2022年1月27日(木)に放送されたTVアニメ『シャーマンキング』第41話は怒濤の展開でした! 重要な話題が積み重なり、最後はついに麻倉葉の新型オーバーソウル、「スピリット オブ ソード 白鵠(びゃっこう)」が飛び出しました! 前回からエンディングテーマも変わり、さらに物語は盛り上がりを見せています。

 筆者は2021年最後の連載記事(第54回)で、「アニメは原作をわかりやすくまとめている」と書いたのですが、今回もまさにそうだったと感じます。

 今回は島の各所でさまざまな状況が同時に発生していました。中心にあるのはデンバットたちによるハオ暗殺計画の実行です。その時マルコやジャンヌは車で移動中、麻倉葉たちは「新型」の修行中にサティが現れ、戦おうとしていたところでした。

 これらはデンバットの天使・ラファエルが宇宙からレーザー兵器を放った影響を受けて、一気に話が進みます。もちろん原作もそう描かれていましたが、アニメは主にふたつの点で原作と異なります。

 まずは花組とマジカルプリンセスの戦いが描写されていない点です。魔女たちの小者っぷりをアニメでも観てみたいところでしたが、レーザー兵器の影響とほぼ関係のない描写なので、これをいさぎよくカットしたことで出来事の関係性がよりわかりやすくなりました。

 もうひとつは、地獄編の開始まで1話で一気に描いたことです。原作では数話にわたる展開を凝縮したことで、連載作品にありがちな「話が細切れでよくわからない」という現象が起きずに済んだわけですね。

 それでは、それぞれの話を掘り下げていきたいと思います。

 まずマルコたちのエピソードですが、マルコにしろジャンヌにしろ態度が大きく変化しています。ひと言で表せば柔らかくなり、他人に気持ちを向けられるようになったということですが、その思い自体は以前から心に浮かんでいたはずで、口に出せるようになった点が変化なのだと思います。

 X-LAWSが掲げていた正義は、マルコの個人的な恨みを正当化するためのものでした。マルコはその後ろめたさと後に引けない覚悟から自分を厳しく律していましたが、もうそこにこだわる必要はありません。ジャンヌは自分の役割を信じていたので、甘いことは口にできなかったのでしょうが、そのしがらみもありません。

 ふたりとも、もともと思慮深い性格なのはこれまでに描写されているので、今後を期待させる描かれ方でした……が、道蓮やチョコラブと同様に過去が彼らを許しません。いくら反省しても、これまで犠牲になった者には関係ないのです。

■ハオが流した涙の意味と「やったらやり返される」の呪縛

アニメ『シャーマンキング』41話では、ハオが人間を恨む原点となる出来事も明らかにされた (C)武井宏之・講談社/SHAMAN KING Project.・テレビ東京

 そしてデンバットたちです。まずポーフが見たハオの涙の意味についてですが……。ハオはホロホロが狼の子孫だと伝承されているのを知って、遠い平安の過去を思い出したのです。麻倉葉王の母は「見える」人でした。そのためキツネが化けていると言われ、葉王は鬼の子、キツネの子だと迫害されます。しまいには役人の手で母は殺され、家も焼き払われました。

 人間を恨むハオの原点はここです。この葉王の物語は、『SHAMAN KING KC完結版』27巻(講談社)に「麻葉童子」というタイトルで収録されています。

 次に、ここで彼らが元軍人だと判明します。試合に参加したX-LAWSのメンバーは、ハオに殺されたミイネ、ケビン、ブンスターも含めて元軍人です。そして戦場でハオと出会い、部隊や仲間を失うなどの大きな被害を受けています。それが、ブンスターらがハオを恨んでいる理由です。

 しかし、ハオが戦場にいたのはスピリット・オブ・ファイアに食わせる魂を効率よく集めるためでした。その魂は殺し合いをしていたデンバットたちが生み出したようなもの。他人の命や大切なものを奪ったのは彼らも同じであり、「どこまで奪えば気が済むのか」とハオを責める資格も、大切なものを奪った相手を恨む資格もないというのが、ハオの理屈です。結局彼らにも、間接的に「やったらやり返される」が降りかかってきたといえるでしょう。

 最後に、葉とサティの戦いについて掘り下げます。新型を披露しようとした葉でしたが対戦は叶わず、サティによって強制的に地獄に送られてしまいます。この時サティが唱えていたお経は、原作では8行からなるものでした。最初の4行を「開経偈(かいきょうげ)」次の4行を「四弘誓願(しくせいがん)」といいます。

 私たちが仏事などで耳にするお経は、いくつかのブロックに分かれています。宗派で多少の違いはありますが、ザックリ言えば「これからお経を本格的に唱える」ことを宣言するオープニングのお経が「開経偈」で、「四弘誓願」は仏教を信じる者がまず誓う4つの基本的なものとして、読経中どこかのタイミングで挿入されるブロックです。意味は長くなるので割愛しますが、それぞれの言葉で検索すれば簡単に見つかるので、興味のある方はぜひ調べてみてください。

 こうして葉は恐山で出会った大鬼と再会し、500年前にハオを倒したという葉の祖先・麻倉葉賢と戦うことになります。この地獄編については、次回に解説したいと思います。

 それでは今回はこの辺で。またよろしくお願いします!

●タシロハヤト 
美少女ゲームブランド「age(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。

(タシロハヤト)

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