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アニメ化してほしい筒井康隆作品4選 フェイクニュース(?)も生まれる期待度の高さ

マグミクス / 2022年1月31日 20時10分

アニメ化してほしい筒井康隆作品4選 フェイクニュース(?)も生まれる期待度の高さ

■筒井氏に指名された今敏監督の『パプリカ』

 夢から夢へ、そして夢から現実へ……。セクシーな夢探偵パプリカが大活躍するSFアニメ『パプリカ』が、2022年1月31日(月)の「映画天国」(日本テレビ)にて深夜2時9分より放映されます。2006年に製作された『パプリカ』は、ベネチア国際映画祭のコンペ部門にも選ばれた今敏監督の代表作にして、遺作となっています。

 夢と現実が入り乱れる『パプリカ』の原作者は、SF小説に限らず、さまざまなジャンルで先鋭的な作品を発表し続けている文学界の巨匠・筒井康隆氏です。映画好きでも知られる筒井氏が、今敏監督の『千年女優』(2002年)を気に入ったことから、『パプリカ』のアニメ化が実現しました。アニメ版『パプリカ』の出来栄えに、筒井氏は大いに満足したそうです。

 筒井作品のアニメ化といえば、『パプリカ』と同年に公開された細田守監督のブレイク作『時をかける少女』(2006年)も有名です。2020年には『富豪刑事 Balance:UNLIMITED』がフジテレビ系「ノイタミナ」枠でシリーズ放映されています。

 しかし、『ジャズ大名』(1986年)や『日本以外全部沈没』(2006年)などの実写化された筒井作品に比べると、アニメ化された作品はあまりに少ないように思います。シュールで、ぶっ飛んだ展開が待っている筒井作品は、アニメーション表現がぴったり合うのではないでしょうか。アニメ化してほしい筒井作品の一部を挙げたいと思います。

■完結編が観てみたい「七瀬シリーズ」

 筒井作品のなかで『時をかける少女』と並んで映像化されているのが、テレパス能力を持つ美女・火田七瀬を主人公にした『七瀬ふたたび』です。1979年に「NHK少年ドラマシリーズ」で多岐川裕美さん主演ドラマとして放送されて以降、水野真紀さん、渡辺由紀さん、蓮佛美沙子さんが七瀬を演じ、TVドラマ化されてきました。芦名星さんが主演した実写映画『七瀬ふたたび』(2010年)も公開されています。

 七瀬の家政婦時代を描いた『家族八景』は、多岐川裕美さん、堀ちえみさん、木南晴夏さんらの主演ドラマとしてテレビ放映されています。

 多くのファンから愛されている「七瀬シリーズ」ですが、その完結編となる『エディプスの恋人』はまだ映像化されていません。他人の心を読むことができる七瀬は、『家族八景』ではさまざまな家庭の問題、『七瀬ふたたび』では超能力者たちを抹殺しようとする巨大組織と対峙しましたが、『エディプスの恋人』は壮大すぎるスケールの存在と向き合うことになります。

 物語後半の映像化は容易ではありませんが、『劇場版 魔法少女まどかマギカ』三部作(2012年~2013年)などもあるので、決して不可能ではないでしょう。できることなら『家族八景』『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』三部作として、アニメ化してほしいものです。

■21世紀の『時かけ』となった筒井氏初のラノベ

筒井康隆氏によるライトノベル作品『ビアンカ・オーバースタディ』(KADOKAWA)

「わたしは知っている。わたしはこの高校でいちばん美しい、いちばん綺麗な女の子だということを。」

 超絶美少女のビアンカ北町がとんでもない騒動を巻き起こすのは、筒井康隆氏の初のライトノベルとして話題となった『ビアンカ・オーバースタディ』です。表紙&挿絵は『涼宮ハルヒの憂鬱』で知られる人気イラストレーター・いとうのいぢさんが手掛けています。

 女子高生のビアンカは、放課後の実験室で研究を重ねています。ウニの精子と卵子を受精させる実験を続けていたビアンカですが、ちょっとした好奇心からウニではない精子を手に入れ、驚愕の事態を招いてしまいます。美少女、放課後の実験室、繰り返される日常、そしてタイムリープ……。21世紀の『時をかける少女』と呼べる内容です。

 ビアンカの悪ノリした実験はかなり過激なため、地上波テレビでのアニメ化は難しいかもしれません。でも、クライマックスには実写映画『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997年)ばりの巨大生物たちとのド派手な戦闘シーンが待っています。有料配信でのアニメ化なら、SFアクションコメディとして大いに盛り上がる作品になるはずです。

■バラエティ番組で話題となった『残像に口紅を』

 刊行されたのは1998年ですが、近年になってベストセラー化しているのは『残像に口紅を』です。筒井氏と同じく同志社大学を卒業した、お笑い芸人のカズレーザーさんが『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「本屋で読書芸人」で紹介したことから人気が再燃しています。

 メタフィクションものを得意とする筒井氏ならではの実験的な物語です。50音が章を追うごとに少しずつ減っていき、その音を含む単語も世界から消えていくことになります。

 言葉が次々と消えることで、物体や概念も消滅します。さらには消えた音の入った名前の持ち主も消えていくことになります。主人公である作家は、家族との食事中に娘を失ってしまいます。記憶から消えゆく娘の残像に、せめて口紅をさしてあげようという父親の心情がせつなく描かれています。

 カズレーザーさんによると『幽☆遊☆白書』に『残像に口紅を』をモチーフにしたエピソードがあったそうですが、『残像に口紅を』そのものをアニメ化するとどんな作品になるのかも気になるところです。

■フェイクニュースが再ブームを呼んだ『旅のラゴス』

 細田守監督は『時をかける少女』をアニメ化した際、筒井氏と対談する機会があり、悩んだ末に『虚航船団』と『驚愕の曠野』を持参し、サインしてもらったそうです。この2作品は筒井作品のなかでも最上級にぶっ飛んでおり、映像化が難しい内容だと言えるでしょう。でも、細田監督はもう一冊、『旅のラゴス』もお気に入り作品に挙げています。

 SFファンタジー『旅のラゴス』は1986年に刊行された作品ですが、「スタジオジブリがアニメ化を打診した」というフェイクニュースがTwitter上に流れ、そのことから再ブームになっています。嘘(虚構)が現実世界に大きな影響を与えるあたりは、まるで筒井作品そのものです。諸星大二郎っぽい世界観の『旅のラゴス』のアニメ化は、実現性があるのではないでしょうか。

 筒井氏は自身の小説が映画化やドラマ化されるのは大歓迎、というのが基本的なスタンスです。今回ピックアップしたタイトル以外にも、アニメ化されれば面白い筒井作品はたくさんあります。また、自身の小説が活字以外の表現方法で、どうアレンジされた作品に生まれ変わっていくのかも筒井氏は楽しんでいるようです。勇敢なるクリエイターたちが、名乗り出ることに期待したいと思います。

(長野辰次)

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