『こち亀』心にしみる両さんの「名セリフ」3選 伏線回収の言葉に感動!
マグミクス / 2022年2月5日 9時10分
■「人生の教訓」になる! 両さんが“名言メーカー”すぎる!
秋本治さん原作の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。『こち亀』の愛称で老若男女に愛された国民的名作です。「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載されていましたが、2016年に惜しまれつつも終了。2021年に新刊コミックス第201巻が発売されたことで再び注目を集めました。
そんな同作といえば、主人公の「両さん」こと両津勘吉(りょうつ・かんきち)のダメダメ人間ぶりがいつも読者を笑わせてくれます。一方で、強く心に響く名セリフが両さんの口から飛び出すことも印象的でした。
この記事では、両さんの名セリフを3つピックアップ。「人生の教訓」にしたくなるような心に響く言葉を紹介します。
●「えらいやつってのは、始めからワルなんかにならねえの!」
まずはコミックス第42巻「仕事さがし!の巻」。ファン人気の高い両さんの名セリフを紹介します。
物語冒頭、公園前派出所に大原部長がパンチパーマで目つきの悪い「まさし」という男を連れてきました。以前、悪事を働いていた男でしたが部長は「今年の夏からちゃんと社会人になったんだ」と話し、更生して真面目になったまさしを中川や麗子は褒め称えます。
すると両さんは「こいつのどこが偉いんだ!」「えらいやつってのは、始めからワルなんかにならねえの! 正直で正しい人間がえらいに決まってるだろ!」「勉強もしないでやりたいことやって、それがやっと普通のレベルに戻っただけ」と言い、ハッとさせられるセリフを続けます。
部長は「そういう目で彼を見るからひねくれて…」と反論しますが「ごく普通に戻っただけなのにそれを偉い、立派だと甘やかしてるだけでしょうが」「同じ年で新聞配達などして頑張ってる少年の方が立派でしょうが」などと説きます。
元ヤンなどが更生して立派に働いている姿が、テレビ番組などでよくクローズアップされて美談のように報じられることが多くあります。両さんの言う通り、はじめからワルにならずコツコツ頑張ってた人の方がより称えられるべきだと改めて気付かされた名セリフでした。
■『こち亀』の神回、人情あふれる友情物語といえば…?
●「幸せの神様は泣き虫が嫌いなんだ」
続いては、1999年に公開された劇場版第1作目『こちら葛飾区亀有公園前派出所 THE MOVIE』から紹介します。
「弁天小僧」と名乗る爆弾魔が、シナトラ商会の関連施設を次々と爆発させる事件が発生。爆弾処理のエキスパートでFBIから派遣された星野リサと両さんが力を合わせて「弁天小僧」の爆弾から街を守ろうとするエピソードです。
アメリカから来たリサですが、もともと両さんと同様に下町で育った女性。子供の頃に男の子たちと工事現場でかくれんぼをして遊んでいた際、隠れていた穴に砂が入ってきて身動きがとれなくなってしまい、そのまま置き去りに。そんな時、シルエットのみで描かれた男性が手を差しのばしてリサを救助。安堵して泣きじゃくるリサに対して「幸せの神様は泣き虫が嫌いなんだ」「泣いてばかりいると、宝物が見つからなくなるぞ」と伝えました。リサはその淡い思い出を大切にしていました。
物語終盤、アメリカに帰ることになったリサはバディを組んでいた両さんとの別れを悲しみ、涙を流していたところ「リサ、泣くんじゃないぞ! 幸せの神様は泣き虫が嫌いなんだ」と言い、子供の頃にリサを助けてくれた男性が両さんだったことが判明。両さん自身もリサと「前にもどっかで会ったような気がする」と印象を話し、伏線が回収されました。
いつもハチャメチャな両さんですが、このようなカッコよすぎる名セリフや時折みせる男気満点な一面に、ハートを射抜かれてしまいます。
●「人生を投げた時点でお前の負けだ!」
最後は、ファンの間でも「神回」と評判のアニメ第110話「浅草物語」。コミックス57巻「浅草物語の巻」を題材にしており、香取慎吾さん主演のドラマ版でも描かれた名エピソードです。
物語のキーマンとなるのは、両さんの同級生・村瀬賢治(むらせ・けんじ)。ふたりは「賢ちゃん」「勘ちゃん」と呼び合う仲でしたが、村瀬はヤクザとなり逮捕されていたのです。村瀬は、自分を裏切った組(集英会)に殴り込みをかけようと護送途中にパトカーから逃亡。非番だった両さんですが、村瀬を探しに捜査に加わります。
浅草の裏路地を歩いて警察を撒いていた村瀬ですが、子供の頃に一緒に遊びまわっていた両さんは村瀬の行動パターンを読んだことで再会を果たしました。罪を重ねようとする村瀬を止めたい両さんは必死に説得。殴り合いに発展しますが「自首しろ、賢ちゃん。何があったか知らんが人生を投げた時点でお前の負けだ!」と村瀬を投げ飛ばし、両さんに軍配があがります。
実は、村瀬は中学時代に両親が離婚。エリート官僚だった父に引き取られるも汚職事件で逮捕されてしまいます。それがきっかけで、学校でいじめられるようになり、転落人生を送ったといいます。その話を聞いた両さんは「あまったれるんじゃねえ! 自分の人生を人のせいにするな! 自分の人生は自分で切り拓くもんだ!」と叱責。村瀬は自首して再スタートを切ることを決めるのです。
最後は、村瀬に手錠をかけず仲良しだった「賢ちゃん」と「勘ちゃん」の関係に戻って警察署へ向かう後ろ姿で幕を閉じます。この回は、名セリフが多く飛び出した感動エピソードとして知られることになりました。
* * *
以上、両さんの名セリフを3つピックアップしました。ほかにも、コミックス123巻「檸檬が泣いた日の巻」で飛び出したセリフ「親も教師も見放したこいつらを、だれが目を覚まさせるんだ!」など、まだまだ紹介したいセリフはたくさん存在します。皆さんの心に残っている、両さんの名セリフは何ですか?
(中島憲太郎)
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