『Pokemon LEGENDS アルセウス』には対人対戦がない！「1人RPG」の醍醐味とは？

■シリーズ最新作にして初のアクションRPG

　人とポケモンとの共存が未だ珍しかった時代、大自然が広がる「ヒスイ地方」を舞台に主人公は”ふしぎないきもの”ポケモンの調査を目的に冒険を進めていく……。2022年1月28日、Nintendo Switchソフト『Pokemon LEGENDS アルセウス』がリリースされました。

　世界中に熱狂的なファンを持つ「ポケットモンスター」の最新作ですが、シリーズに共通してきた常識が通用しないうえ、遊び方まで大きく異なる作品です。プレイヤーごとに、抱く感想も一様ではないようです。

　プレイヤーによって着目ポイントが異なる理由のひとつは、本作にシリーズで初めてアクション要素が採用されたことにあります。描かれる風光明媚なフィールドにNintendo Switchソフト『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』を思い出した人もいれば、襲ってくるポケモンに恐怖して「モンスターハンター」シリーズを連想させる声も多くあがりました。

　草むらにひそみ、背後から忍び寄ってモンスターボールを投げる一連の動作は「メタルギアソリッド」シリーズのようでもありますし、捕獲が失敗すれば「ポケモンバトル」が始まる……。

　説明をするために他作品が多く持ち出されることからも、本作は「ポケットモンスター」シリーズとしては、なんとも形容しがたいという特徴を持っていると言えそうです。

　また、長く「ポケットモンスター」と付き合ってきたファンにとっての衝撃は、対人対戦が存在しないことにもあります。正確には「カイリキー」や「ゲンガー」といった、交換を進化条件とするポケモンも登場するため、交換機能こそ実装されていますが、他プレイヤーと競うシステムは（2022年2月3日現在）一切発表されていません。

　これまでシリーズに熱狂してきたファンのなかには、ストーリークリア後、対戦用のポケモンを育て上げることに重きを置く人も少なくありませんでした。しかしながら、今回は旅を共にするパーティ、通称「旅パ」しか育成する必要しかないため、従来のやり込み要素すらも見直されています。

『Pokemon LEGENDS アルセウス』はシリーズ初のアクションRPGでありながら、自分だけが世界に没頭することを求められる……真の意味での1人用RPGとして“型破り”な作品に仕上げられていたのです。

■『ポケモン』初心者もベテランと同じスタートラインに立てる

交換こそ用意されているものの…他プレイヤーも別次元で同じ任務を遂行している　(C)2022 Pokemon. (C)1995-2022 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.

　従来の遊び方が見直され、通信対戦が存在しない『Pokemon LEGENDS アルセウス』は、プレイヤーがこれまでどれだけ「ポケットモンスター」シリーズのコンテンツに触れてきたかを問いません。

　初心者であっても、『ポケットモンスター赤・緑』いわゆる『初代』から遊び続けてきたファンにとっても、本作そのものが「未知」であることに変わりはないため、同じスタートラインに立つことができるのです。

　また、本作の主人公は、自然に息づくポケモンとの距離感をはかる目的のもとに敢行される調査を中心に冒険を進めます。ストーリーを通じて「ポケットモンスター」との距離感を再認識する点において、主人公とプレイヤー自身は共通するのかもしれません。

　他者を意識する必要がない本作の世界では、たとえば通信対戦における優劣や評価が存在しません。任務を一緒に遂行するポケモンたちにこだわり抜くのも良いですし、サブミッションをこなしながら自分のペースで重厚な物語を味わい尽くすプレイも歓迎してくれます。

　プレイしたその瞬間から「ポケモンとは一体何なのか」をプレイヤー個々人に問いかける本作は、「こうやってプレイする」と画一的な遊び方や進め方を強く提示しないようにもできています。

　もちろん、新しいポケモンバトルを期待していたファンにとっては、少し物足りなさを感じてしまうでしょう。ストーリーを終えたあと、Nintendo Switchソフト『ポケットモンスター ソード・シールド』のオンライン対戦に戻っていくプレイスタイルもまた、ひとつの「ポケットモンスター」との付き合い方なのかもしれません。

※ポケットモンスター・ポケモン・Pokemonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。
※Nintendo Switchのロゴ・Nintendo Switchは任天堂の商標です。

（ふみくん）