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「アカデミー賞」ノミネートのアニメ4本は今すぐ見られる 勢いあるネトフリ作品も

マグミクス / 2022年2月14日 20時10分

「アカデミー賞」ノミネートのアニメ4本は今すぐ見られる 勢いあるネトフリ作品も

■やはり強い? 5本中3作品がディズニー勢

 2022年2月9日に2022年のアカデミー賞の候補が発表されました。長編アニメ映画賞にノミネートされた作品のうち、アフガニスタンからデンマークへ難民としてやってきた男性の実話を描いた『Flee(英題)』以外は、配信などで見られる作品ばかり。今回は、すぐに見られるアカデミー賞ノミネートのアニメ4作品を紹介します。

●『ミラベルと魔法だらけの家』

 ディズニー長編アニメーション60作目となる『ミラベルと魔法だらけの家』は、南米コロンビアを舞台に、魔法にあふれた家に暮らす少女ミラベルが、家族の危機を救うため奮闘する姿を描いたミュージカルファンタジー。南米のヒロインであり、かつメガネをかけたヒロインというのはディズニー作品初となります。

 物語のなかでは、家族で唯一「魔法の才能(ギフト)」を授けられなかったミラベルの劣等感や、魔法の力を与えられたゆえに、女性らしさや完璧さを求められるプレッシャーに苦しむミラベルの姉妹たちにもスポットを当てており、ともに生きていくためにお互いを認め合う、家族のなかの多様性を描いたストーリーとなっています。

 音楽もラテンポップやバラードとさまざまな音楽で構成されており、「秘密のブルーノ」は、ディズニー・アニメーションの音楽としては1993年の『アラジン』主題歌「ホール・ニュー・ワールド」以来となる全米シングルチャート1位を記録。さらに、エンドクレジットで流れる「2匹のオルギータス」で歌曲賞のほか、作曲賞にノミネートされています。鮮やかな色彩のアニメーションにラテンポップなど多彩な音楽であふれる、これぞディズニーアニメと言える楽しい作品です。

●『あの夏のルカ』

『あの夏のルカ』ポスタービジュアル (C)2021 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

『あの夏のルカ』はピクサー・アニメーションが北イタリアの港町を舞台に、少年たちのひと夏の冒険を描いた作品です。主人公のルカとアルベルトは10代の男の子。彼らは海底で暮らすシー・モンスターで、大人たちから「陸の人間世界へ足を踏み入れてはならない」と禁じられていますが、好奇心旺盛な彼らは人間の世界へ冒険に行ってしまいます。

「身体が乾くと人間の姿になる」性質を活かして人間の少年として町へ訪れるルカたちですが、少しでも水に濡れると元の姿に戻ってしまうため、雨に当たった部分にカラフルな鱗が見えたかと思えば、水滴を払って瞬時に人間の姿に……と、コミカルな変化やリアルな水の描写は一見の価値あり。イタリアで生まれ育った監督の実体験と撮影チームの現地調査によって、20世紀半ばのイタリアの町並みも忠実に再現されています。

 初めてのパスタ、憧れのベスパ、初めての人間の友達……ルカの温かくて少しほろ苦い夏休みの物語です。

『ラーヤと龍の王国』ポスタービジュアル (C)2021 Disney. All Rights Reserved. (C)2021 Disney and its related entities

●『ラーヤと龍の王国』

 ディズニー初となる、東南アジアのプリンセスが登場する『ラーヤと龍の王国』。舞台となった王国は、信じる心を失い、疑心暗鬼によって人びとが激しく対立しています。そこへ邪悪な魔物・ドルーンが襲い、襲われた人たちは石になってしまいます。聖なる龍の力が宿るという「龍の石」の守護者一族の娘・ラーヤは、500年前に姿を消した最後の龍の力をよみがえらせるため旅に出ます。

 近年のディズニー作品では、従来のプリンセス像や女性の描き方のアップデートを積極的に行っていますが、今作では恋愛要素も男性パートナーも登場しません。戦うプリンセスとしても、ラーヤは拳一つで生き抜いてきた物理戦闘力特化型で、素手ではシラット(東南アジアの伝統武術)、武器を手にした時はアーニス(フィリピン武術)を使います。

 ライバルのナマーリもムエタイの使い手で、マーシャルアーツ好きならふたりの壮絶な格闘シーンは必見でしょう。愛憎入り混じるナマーリとの関係性の変化も闘いのなかで表現されており、アクション映画好きも満足できるような見どころとなっています。さらに、西洋的なミュージカル要素を排除することで、東南アジアの文化や世界観を最大限にリスペクトした描き方をしているように思えます。

 もちろんディズニーらしいかわいいキャラクターも登場します。とにかくペラペラ喋るお調子者の「最後の龍」シスー。すぐに人を信じて騙されてしまいますが、明るくて純粋な心でラーヤをアシストします。ラーヤの唯一の親友、トゥクトゥクはダンゴムシのような動物で、丸くなって乗り物の役割も果たす頼もしい相棒ですが、不思議な生き物も、まん丸つぶらな瞳でだんだんかわいく思えてしまうのは、さすがディズニーマジックです。

 ストーリーは「人間の信じる心」をテーマに描いており、コロナ禍でさまざまな分断が浮き彫りになった今の世界に生きる私たちへのメッセージ性もありつつ、旅のなかで出会った仲間と協力していくドラクエ的な冒険要素もあり、家族みんなで楽しめる作品となっています。

『ミッチェル家とマシンの反乱』キービジュアル (C)2021 Columbia Pictures Industries, Inc. and One Cool Animation Limited. All Rights Reserved.

●『ミッチェル家とマシンの反乱』

 ソニー・ピクチャーズ制作の『ミッチェル家とマシンの反乱』は、今回ノミネートされた作品のなかで唯一のNetflix配信作品です。

 映画オタクの主人公、ケイティ・ミッチェルの家族は変わり者ばかり。特に大自然マニアの父・リックとの関係は微妙で、趣味も違う上にケイティの自作映画も観てくれません。

 大学進学が決まり、家を離れることになったケイティとの壊滅寸前の親子関係を修復させるべく、リックは大学のあるカリフォルニアまで家族でドライブ旅行を決行。そんななか、IT企業の新作ロボットが大反乱を起こし、次々と人類を捕獲していきます。果たしてミッチェル一家はケイティを無事に大学まで送り届けることができるのでしょうか……。

『スパイダーマン:スパイダーバース』『LEGO(R)ムービー』を製作したフィル・ロード&クリストファー・ミラーが新たに手掛けた今作は、ディズニーやピクサーでは作れないハチャメチャで終始ハイテンションなキャラクターがいっぱい。ミッチェル一家はもちろん、反乱を起こしたロボットたちも、一家の愛犬・モンチを犬なのか食パンなのか識別できないなど、憎めない愛嬌があります。

 アニメーションも全編3DCGに2Dアニメーションやイラスト、実写映像を次々と投入していくスタイル。ケイティも同じような手法で映像編集しており、にぎやかでポップな彼女の世界観とともに物語を楽しめるようになっています。

 ちなみに監督・脚本はこれが長編デビュー作となるマイク・リアンダ。彼は「Disney+」で配信中の『怪奇ゾーン グラビティフォールズ』のクリエイティブ・ディレクターを務めていた人なので、ディズニーファンは要チェックです。

 ITの反乱に巻き込まれながらも家族が絆を取り戻す王道のファミリームービーながら、ポップでハチャメチャ。コロナ禍の影響で劇場公開できなかったのが大変もったいなく感じます。

 今回紹介したディズニー・ピクサー作品は、配信サービス「Disney+」で、『ミッチェル家とマシンの反乱』はNetflixで視聴可能です。

 アカデミー賞では劇場公開が有利な傾向にあるといわれ、ディズニー作品が優勢と思われるものの、CG描写に秀でたピクサー作品や、前年度オスカーを受賞した製作陣による『ミッチェル家とマシンの反乱』や、(日本では未公開ですが)ドキュメンタリー映画としての評価も高い『Flee(英題)』も、受賞できる要素を持っています。

 結果は、2022年3月27日(日)にハリウッドで開かれる授賞式で発表されます。果たしてオスカーはどの作品が受賞するのか、授賞式当日までに鑑賞して予想してみてはいかがでしょうか。

(マグミクス編集部)

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