最凶の兄弟喧嘩を描く『デビル メイ クライ3』 陽気でクールな主人公の爽快アクション

■スタイリッシュアクションに新風を呼び込んだ

　キャラクターの躍動感あふれる戦闘アクションに重きを置いたゲーム。いわゆる「スタイリッシュアクションゲーム」は、プラットフォームを問わず、これまで数々の名作が誕生してきました。

　その代表格とも言えるのが、2001年にカプコンが手掛けた「デビル メイ クライ」（以下、DMC）シリーズ。主人公のデビルハンター「ダンテ」が異形の悪魔と対峙するアクションゲームで、2019年3月に発売された最新作『デビル メイ クライ5』は世界全体で売上480万本の大ヒットを記録しています。

　今回紹介するのは、17年前の今日、2005年2月17日に発売された『デビル メイ クライ3』（以下、DMC3）です。「DMC」シリーズに新たな風を巻き起こし、より華麗で過激な「スタイリッシュクレイジーアクションゲーム」として生まれ変わった同作の魅力を振り返ります。

●若かりしダンテが主役！　すべての始まりを描いたストーリー

　ナンバリングでは3作目に該当する『DMC3』ですが、ストーリーの時系列では『デビル メイ クライ』および『デビル メイ クライ2』よりも前の時代、具体的にはダンテが便利屋「Devil May Cry」を始める直前の出来事を描いています。ダンテの年齢も19歳前後と若く、年相応な無鉄砲さとノリの良さが終始目立っています。

　街の片隅に拠点を構え、きな臭い裏仕事を片付ける便利屋を開こうと準備を進めていたダンテ。そこへやって来た牧師風の男性「アーカム」との邂逅（かいこう）により、周辺一帯に突如として湧き出た無数の悪魔と相まみえることになります。

　悪魔の発生源と思わしき巨塔「テメンニグル」の頂上には、同じ血を分けながらも志の違いで決別した兄「バージル」の姿が。ダンテは容赦のない歓迎を受けたものの、街の悪魔をなぎ払いつつ塔の内部へ進入。アーカムと組んで暗躍を図ったバージルの真意を探るべく、立ちはだかる悪魔を倒しながらテメンニグルの探索に乗り出しました。

　なお、ダンテとバージルの直接対決は後続タイトルでも描かれていますが、2人が矛を交える大々的な戦闘シーン描写は『DMC3』が初めて。シリーズを代表する最凶の兄弟喧嘩はここから始まったと言っても過言ではありません。

●好みに合わせて選択できるアクションスタイル

「DMC」シリーズには第1作目から武器ごとの攻撃技が実装されており、とりわけ戦闘時に爽快感が強く感じられるアクション性をウリにしていました。そして『DMC3』ではシリーズ第1作目より受け継がれたダンテの攻撃アクションを踏襲しつつ、アクションの方向性をガラッと変える新要素「スタイル」を採用したのです。

　剣技に特化した近接戦闘メインの「ソードマスター」に、銃器の真価を最大限引き出す「ガンスリンガー」、回避アクションの手数で悪魔を翻弄できる「トリックスター」など、戦闘を通して性能がアップする成長型スタイルはプレイヤーの好みに合わせて自由に切り替え可能です。

　このほか、回数制限制の消費型スタイル（クイックシルバー・ドッペルゲンガー）や各スタイル共通の基本アクションと組み合わせることで、シリーズ伝統のスタイリッシュアクションにこれまで以上の変化をつけられるようになりました。

●ダンテの名演が光る！　洗練されたイベントシーン

　興味深いストーリーや多彩に進化した戦闘アクションも魅力的ですが、本編中に流れるイベントシーンも本作を語る上で欠かせないファクターと言えるでしょう。「DMC」シリーズ最後のPlayStation2用ソフトとあってか、映像のクオリティも前2作と比べて大幅にパワーアップ。その模様はゲーム開始直後からハッキリと現れており、オープニング映像では斬撃を全身に受けてもなお軽口を叩き、魔剣と2丁拳銃で悪魔を一掃するダンテの勇姿を拝むことができます。

　筆者が個人的に好きなイベントは、ボス悪魔を倒した際の「魔具入手シーン」。戦闘前にジョークを交えて態勢を整えるダンテもさることながら、手に入れたばかりの魔具を軽々と使いこなして見せるダンテがとにかくカッコ良いのひと言に尽きます。カンフー映画ばりにヌンチャクを振り回すダンテ、エレキギターを片手にハードロックを歌い上げるダンテ……いずれも独創的かつ魔具の性能面を期待させるものばかり。ダンテの陽気かつクールな振る舞いと合わさって、繰り返し鑑賞しても飽きないクオリティに仕上がっています。

（龍田優貴）