『ストリートファイターII』5つの豆知識 リュウとケンが「奈良」を語る幻の映像も?
マグミクス / 2022年2月22日 11時50分
■「格闘ゲーム」の核となる仕様も『ストII』から生まれたが…?
対戦格闘ゲーム(格ゲー)の金字塔『ストリートファイターII The World Warrior』(以下、ストII)は、この2022年2月に生誕31周年を迎えました。本作は1991年2月にアーケード筐体用タイトルとして誕生すると、ゲームセンターを中心に大々的な「格ゲー」ブームを巻き起こし、移植版となる同名のスーパーファミコン用ソフトも爆発的にヒットしました。
シリーズ全体のソフト売上本数は4700万本(世界市場)にのぼり、今もなお最新作『ストリートファイターV チャンピオンエディション』が競技シーンで賑わいを見せています。
今回は、そんな『ストII』にまつわる豆知識を5つ紹介します。意外と知られていない、コンボシステムの起源やキャラクター名の由来なども……?
●「コンボ」は仕様ではなく「バグ技」だった
さまざまな攻撃アクションをつなげて連携技を叩き込む「コンボ」は格ゲーに欠かせない基本システムですが、当初は仕様ではなく「バグ技」として認知されていました。
例えば「リュウ」の代表的なコンボである「ジャンプ大キック→ 立ち強パンチ→ 昇龍拳」はその代表格です。通常ならばスムーズにつながりにくい技も、攻撃が相手にヒットしている最中に次の技コマンドを入力すると、直前の技モーションをスキップして連携が確定します(いわゆるキャンセル技)。バグ技から生まれたコンボはその後、正式な仕様として『ストII』以外のゲーム作品へと普及していきました。
●国内版と海外版で名前が違う敵キャラクター
初代「ストII」には主人公のリュウをはじめ、ライバルの「ケン」や紅一点の「春麗」など、プレイヤーキャラクターと敵キャラクターあわせて12名が登場します。しかし、一部のキャラクターに関しては諸々の事情が原因となり、海外展開時に名前の入れ替えが発生しました。
例えば、パンチ力に定評のある元ボクサー「M・バイソン」(国内版)は「バルログ」(海外版)、美を追求する仮面戦士バルログは「ベガ」という具合に、海外版の発売に際して3キャラクターの名称が変更されました。なお、「ストII」の世界観を踏襲した実写取り込みの対戦格闘ゲーム『ストリートファイター リアルバトル オン フィルム』でも同様で、シャドルー四天王の3名は国内版ではなく海外版の名称が採用されています。
●開発陣の誤解から生まれた「ガイル」
前方へ真空刃を放つソニックブームでお馴染み、アメリカ空軍所属のキャラクター「ガイル」。彼の元ネタは週刊少年ジャンプのマンガ『ジョジョの奇妙な冒険』(以下、ジョジョ)に登場する「ジャン・ピエール・ポルナレフ」(以下、ポルナレフ)だとされていますが、開発スタッフの誤解により、作中の別キャラクター「J・ガイル」の名前にちなんで「ガイル」という名前になったようです。
余談になりますが、同じくポルナレフが元ネタの「ポール・フェニックス」(『鉄拳』)や「二階堂紅丸」(『ザ・キング・オブ・ファイターズ』)、ソウルパワーを駆使して戦う女性キャラクター「ローズ」(『ストリートファイターZERO』)など、別の対戦格闘ゲーム作品にも『ジョジョ』が元ネタされているキャラクターが多数存在しています。
●『ストII』を題材にした教育アニメが上映された
『ストII』はゲーム作品の大ヒットにとどまらず、1994年の劇場版アニメ『ストリートファイターII MOVIE』が話題になったことでも知られています。そうしたメディアミックス展開に沿いつつ、1995年開催の「ロマントピア藤原京’95」では『ストリートファイターⅡ よみがえる藤原京~時を駆けたファイターたち』が上映されました。
これは地方博覧会のために制作された約25分の特別アニメで、「ゲーム内のキャラクターが奈良時代の日本へタイムスリップしている」のが最大の特徴。ゲーム版のように最強の座をかけて争うのではなく、リュウやケンが藤原京を散策しながら当時の文化や風習について学ぶ内容となっています。
「藤原京の体制を事細かに解説するケン」に「奈良時代の外交について明晰に語る春麗」……などなど、有識者顔負けの知識を披露する『ストII』キャラの姿はここでしか見ることができないでしょう。
●海賊版の多さでギネス記録に認定された
対戦格闘ゲームの文化を本格的に根付かせた『ストII』は、人気の高さに伴って海賊版にも悩まされ続けました。その事実は世界的に広く知れわたることとなり、数多の世界記録を集めるギネスワールドレコーズより「最もクローンが作られたゲーム」という認定を受けています。
2008年出版の「Guinness World Records Gamer’s Edition 2008」によれば、ほかにも「コンボを用いた最初の対戦格闘ゲーム」、「ゲーム筐体において最高セールスを達成した対戦格闘ゲーム」の記載があります。『ストII』は合計3つのギネス記録を受けた初の対戦格闘ゲームとして歴史に名を刻んでいるのです。
(龍田優貴)
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