『ドラゴンボール』ピッコロ、意外と知られていない2つの特徴 心変わりの真相とは
マグミクス / 2022年2月24日 11時50分
■ピッコロの邪悪さが薄れていった理由とは?
2022年4月22日(金)公開予定の映画『ドラゴンボール超(スーパー) スーパーヒーロー』。その劇中で活躍が予定されているという「ピッコロ」についてクローズアップしてみようと思います。
ピッコロは、もともと幼い時にナメック星から地球に流れ着いた龍族のナメック星人が、神様になるために分離した悪の心でした。その悪の心がピッコロ大魔王となり、孫悟空との戦いに敗れた際に自分の分身として生み出した卵から誕生したのが現在のピッコロです。マジュニアと名乗っていたこともありました。
以上の流れから、ピッコロとピッコロ大魔王は親子でありながら同一人物とされています。しかし、性格的に異なっている部分が多いため、実質的には別人と言っても過言はないでしょう。劇中では改心したとされていましたが、それだけでは説明のつかない部分も多々あります。
たとえば他者に対しての接し方についても違う点が多くありました。人間を平然と殺す大魔王と比べて、ピッコロは無駄な殺りくは避けています。天下一武道会に参加して悟空を倒そうと考える時点で無駄な争いを回避していますし、悟空を殺すと言ってもルールの範囲内の戦いに徹底していました。もちろん必要とあれば容赦がなく、ラディッツにとどめを刺していますし、バビディも殺そうとしています。
こういったピッコロが大魔王とは違った部分を察したからこそ、悟空も仙豆を与えて再勝負を約束したのかもしれません。
これはなぜかと考えたとき、ひとつの考察ができます。それは大魔王が生んだ卵が先祖返りのようにナメック星人に近い特性を持っていたこと。さらに記憶や能力は引き継がれても、その性格は大魔王とは別人格だったことです。大魔王は卵により魔族を生み出していきました。この魔族とナメック星人の違いはいまだ不明ですが、いくつかの相違点があります。
ひとつは皮膚の色以外共通点の少ない外見のデザイン。もうひとつは成長した大人として生まれること。大魔王の分身として生み出されたピッコロはデザイン的にナメック星人と同じ点はともかく、他の魔族と異なり子供として生まれています。この点だけでも大きく違いました。
可能性として、大魔王の分身とするために魔族というより、ナメック星人としてという部分に重点を置いたものだったのかもしれません。そのため、魔族としての邪悪さは最初から薄く、後天的な環境で本体である神様に近い存在に変化していった可能性が考えられます。
もっとも通常のナメック星人とは違い、3年で身体が大人になっているので純粋のナメック星人とも違うのは一目瞭然。これは神様と同じく、龍族の天才児だからできたことかもしれません。
こう考えていくと、成長するにつれてピッコロの邪悪さが消えていったのは悟空や孫悟飯との関係構築もあるでしょうが、ナメック星人の本能が徐々に邪悪な魔族の心を静めていったとも考えられます。
振り返ってみれば悟飯を修行する際に、「恨むんならてめえの運命を恨むんだな……このオレのように……」と言っていました。これは自分の意志とは裏腹に、邪悪な魔族として生きることを強いられていたからと、とらえることができないでしょうか?
■ピッコロがサイヤ人よりも優れた部分とは?
映画『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』ビジュアル (C)バード・スタジオ/集英社 (C)「2022 ドラゴンボール超」製作委員会
戦闘民族と呼ばれるサイヤ人と比べると、どうしても戦闘力で劣るナメック星人。それでも作中でふたりに分裂しなければ、ピッコロはサイヤ人にも負けなかっただろうと最長老は言っていました。また、同時に超サイヤ人には及ばないとも思っていたようで、そう考えると周囲に超サイヤ人ばかりの状況はピッコロにとって不幸なことかもしれません。
しかし、何も戦闘力の高さだけがピッコロの価値を決めるものではないでしょう。ピッコロの真骨頂とも言うべきところは、その頭脳にあるからです。
ピッコロの相手の裏をかくという戦法は作中でも何度か見られました。悟空との初対戦時にダウンを装って奇襲を仕掛け、最初の人造人間戦ではベジータが現れるまではやられたふりをしています。セルとの初対戦時でも片腕をなくしたことで油断を誘って、貴重な情報を聞き出していました。
戦うことが好きなサイヤ人とは違い、ピッコロの戦う目的は最終的には勝つことでしょうから、その戦闘スタイルが大きく違うのは当然でしょう。それゆえ、ピッコロには他のキャラにはない重要な役割があります。それは「戦いの司令塔」という役割。個々での戦闘ではサイヤ人に劣るピッコロですが、戦い全体を見渡すという部分は優っているように思います。
このピッコロのサポート役としてコミュニケーション力の高いクリリンと、戦闘力の高い攻撃役の悟飯とのチームはバランスの取れたいいチームでした。実際、ナッパとの戦いでは悟飯の経験不足からくる怯えでチャンスを逃しましたが、悟空以外で一番追い詰めたのもこのチームの連携です。
もっとも本作はいかに連携が巧みなチームでも圧倒的なパワーで押し切られる……という展開が多いため、残念ながらチーム力はあまり高評価にはつながりません。しかし、武道家という個々の強さを極めているためか、連携力が低く単体の力で押し切ることの多いメンバーのなかで、ピッコロの頭脳を生かした戦略プランは飛びぬけていることは間違いないでしょう。
皮肉なことに作中でそれをもっとも評価していたブウがピッコロを吸収の対象にしたことでそれを証明されています。ブウが切れた頭部をそのままにして、悟飯を吸収したこともピッコロの得意とする戦法でしょう。
『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』では、果たしてどんな活躍を見せてくれるのか今から楽しみです。
(加々美利治)
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