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『エヴァ』のED曲「FLY ME TO THE MOON」 なぜ何パターンもあったのか? 様々なナゾを解く

マグミクス / 2022年3月1日 6時10分

『エヴァ』のED曲「FLY ME TO THE MOON」 なぜ何パターンもあったのか? 様々なナゾを解く

■庵野監督の好みが雰囲気にもマッチ

 ジャズの名曲「FLY ME TO THE MOON」(私を月につれてって)を聴いて、「『エヴァ』のエンディング曲だ」と思い出す人も多いでしょう。人気アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』は1995年10月’96年3月、全26話放送され、その後何度も再放送されているので、馴染み深い曲かもしれません。ただ、『エヴァ』の「FLY ME TO THE MOON」は、ファンからいろんな疑問が飛び交う曲としても有名です。今回は同曲にまつわる「2大疑問」についてひも解いていきます。

●なぜ「FLY ME TO THE MOON」だったのか?

 単純な疑問です。なぜ古いジャズナンバーのカバーをEDに起用したのか? 実は答えも単純で、「庵野秀明監督が好きだったから」です。……しかし、これだけだとつまらないので少し掘り下げます。

『エヴァンゲリオン』は企画段階から、「月」が特別なキーワードでした。キャラクターデザイン担当の貞本義行さんは、あるインタビューで「ラストに最後の使徒と月面で戦うシーンがあって、それで何年かしたら、その月の表面にメッセージが書かれているというような、そんなトップみたいなイメージかなぁとみんなで話していた」と言っています。それゆえ、庵野監督は作品全体のイメージと話の締めとして、自身がお気に入りの曲である「FLY ME TO THE MOON」をED曲に選んだそうです。また月と儚げな綾波レイのキャラが強くマッチしたことから、映像は月光を浴びながら水中で回転するレイの映像が作られたとされています。

 余談ですがここで質問です。「ED映像の綾波レイは時計回りか反時計回りかどっちだったでしょう?」……正解は「どちらも」です。実は目の錯覚で見る人によって違います。時計回りに見える人は「直感型の右脳派」、反時計回りに見えると「理論型の左脳派」とされるそうです。

■OPも全部変わる予定だった?

CD5枚組BOXに「FLY ME TO THE MOON」が20曲入っている『NEON GENESIS EVANGELION SOUNDTRACK 25thANNIVERSARY BOX』(キングレコード)

●Q:なぜたくさんのバージョンのEDを作ったの? いくつあるの?

 これは多くのファンが思う疑問で、それに正確に答えられる人も少ないでしょう。「FLY ME TO THE MOON」のEDは、全26話で14パターン、Instrumental以外は4人が歌っています。一覧にしました。

・#1~4:Main Version(CLAIRE ※クレア・リトリー)
・#5:Rei #5Version (林原めぐみ)
・#6:Rei #6Version (林原めぐみ)
・#7:4BEAT VERSION(高橋洋子)
・#8:Aya Bossa Techno Version (Aya)
・#9:YOKO TAKAHASI Acid Bossa Version(高橋洋子)
・#10:YOKO TAKAHASI Version(高橋洋子)
・#12:#7と同
・#13:#9と同
・#14:#10と同
・#15:4BEAT VERSION  (Instrumental)
・#16:MAIN VERSION (Instrumental)
・#17:Aki Jungle Version (Aki)
・#20:B-22A (Instrumental)
・#21:#10と同
・#22:#8と同
・#23:Rei #23Version (林原めぐみ)
・#24:#16と同
・#25:Rei #25Version (林原めぐみ)
・#26:Rei #26Version (林原めぐみ)

 もちろんこれだけではありません。映画サウンドトラック、DVD、ゲームなどを含め、約60~70種類も作られています。また、2003年にリリースされたリニューアルDVDの5.1chサラウンド音声では、全26話すべてで異なるバージョンを使用しています。

 なぜTVアニメでは異例の全26話で14パターンも作ったのでしょう? これにはきっかけがありました。庵野監督は「全26話のOPをすべて変えたい」と提案したそうです(※曲か映像かどちらもかは、わかりません)。「毎回変えると視聴者が混乱する」と局側からNGが出たため、「ではED曲をたくさん作らせて」という流れになったとか。庵野監督がなぜそうしたかったのか、意図まではわかりませんでした。

 しかし、アニメ放送当時は5話目で曲調が変わると「また変わる? 楽しみ」といった良いリアクションが多かったそうです。これが長くファンに疑問として語り継がれるほどのインパクトになるとは……庵野監督のシナリオ通りだったのでしょうか?

(石原久稔)

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