玉石混交だった映画原作ファミコンソフト4選 「ツッコまずにはいられない」珍作も…
マグミクス / 2022年3月4日 11時50分
■ゲーム性に優れた良作の一方、「どうしてこうなった?」な作品も
日本のゲーム史を切り拓いたゲーム機「ファミリーコンピュータ」(以下、ファミコン)が現役だった時代には、オリジナル作品やアーケードゲームの移植に加え、他媒体の版権モノ(マンガ・アニメ・マスコットキャラクターなど)に基づいたタイトルも数多く作られました。今回は、1980年代の映画作品を原作としたファミコンソフトのうち、安心して遊べる名作や、ツッコミどころ満載の迷作(?)など5本を紹介します。
●『スパルタンX』
1984年にアーケード筐体用ゲームとして誕生後、1985年にファミコンへ移植された『スパルタンX』。アクション映画のスターと名高いジャッキー・チェン氏が主演を努めた同名映画のゲーム版で、主人公の「トーマス」がヒロインの「シルビア」を救出するべく、くぐもった笑い声が印象深いラスボス「Mr.X」が待ち構える塔の最上階を目指します。
アクション映画に基づいた作品らしく、ゲーム版もパンチとキックを駆使して敵キャラを蹴散らす肉体派仕様。ただ実際にプレイすると分かりますが、ゲーム化に際して映画のテイストをあまり残さなかったのか、再現度の点で言えばやや物足りない印象でした。それでもアクションゲームとしての内容は秀逸で当時の人気は高く、140万本を超えるソフト売上を記録しています。
●『グーニーズ』
海賊の財宝を求めて少年少女が未知の探検に挑む『グーニーズ』は、1986年にコナミからゲーム版がリリース。ジャンルはステージクリア型の2Dアクションゲーム(全6面)。プレイヤーは主人公の「マイキー」を操作し、ステージ内に囚われた原作お馴染みのキャラクターたちを助け出すことになります。
ゲーム開始時のステージ(屋根裏部屋)をはじめ、敵キャラとして立ちはだかる「フラッテリー・ギャング」の面々など、映画の内容を丁寧に再現しているのが特徴。また、コナミが手掛ける別作品のキャラクター(ビックバイパーやツインビーなど)が登場するお楽しみ要素も盛り込まれていました。
第1作目の人気が功を奏したのか、1987年にはオリジナルストーリーを組み込んだ続編『グーニーズ2 フラッテリー最後の挑戦』が発売されています。
●『バットマン』
実に80年以上の歴史を誇り、2022年3月には新作映画の公開も控えたDCコミックスのヒーロー「バットマン」。その映画作品(1989年版)をファミコンへ落とし込んだのが、サンソフトの手掛けた『バットマン』です。本作におけるプレイヤーの分身はバットマン。彼を操り、全5面のステージを駆け抜けてゴッサムシティを統べる悪役「ジョーカー」の打倒を目指します。
特筆すべきは、ファミコンの性能をフル活用して描き出された「バットマン」シリーズの世界観です。緻密に打ち込んだであろうドット絵のバットマン、そしてオープニングシーンのバットモービル操縦シーンは一見の価値あり。プレイ中のBGMもアップテンポな曲調を軸にクオリティ十分で、演出面やバランスを含めて評価の高い一作です。
余談ではありますが、開発元のサンソフトは他にも「バットマン」シリーズのゲームソフトをいくつか制作しています。PCエンジン版のものはは、なぜか『パックマン』のようなドットイートゲームへジャンルが変更されました。
●『ランボー』
ファミコン版の『ランボー』はツッコミどころが満載ゆえ、思わず「どうしてそうなった?」と言わずにはいられない作品です。原作はシルベスター・スタローン氏の熱演が光るアクション映画『ランボー/怒りの脱出』(以下、怒りの脱出)ですが、肝心のゲームは意図的ではないにしろ、おかしな部分が多く目立ちます。
人間の兵士を差し置いてひっきりなしに襲いかかってくる猛獣や訳のわからないロボット。軍用ズボンがタイツにしか見えないランボー。ダメージを受けるたびに「頭でっかち」になっていく敵兵など、原作のストーリーに沿った内容だけに、ゲーム部分の違和感がどうにも拭えません。
極めつけは、自らを裏切った司令部へランボーが報復を試みるラストシーン。映画版は雄叫びとともにマシンガンを掃射していましたが、本作では銃弾の代わりに巨大な「怒」マークを発射します。
「怒りの脱出」をモチーフとしたゲーム(家庭用ゲーム機やアーケード筐体ゲームなど)は他にも見られますが、それらのなかでも本作はとりわけ異彩を放っている1本といえるでしょう。
(龍田優貴)
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