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3月9日は「ザクの日」 やられメカなのに、ガンダムの「宿敵」として活躍できたワケ

マグミクス / 2022年3月9日 6時10分

3月9日は「ザクの日」 やられメカなのに、ガンダムの「宿敵」として活躍できたワケ

■期待されなかった「ザク」が出世できた理由は?

 いつからか3月9日は、数字の語呂合わせで「ザクの日」と呼ばれています。やられメカとして最弱というイメージのあるザクですが、その生い立ちには歴史あり。リアルな現実世界での歩みと、ガンダム作品における宇宙世紀での設定の両面から、ザクについて紐解いてみましょう。

 みなさんご存じの通り、ザクは『機動戦士ガンダム』に登場した敵側の人型兵器。劇中ではMS(モビルスーツ)と呼ばれる存在です。当時のロボットアニメでは珍しい「量産」された機体で、劇中では何体ものザクが登場していました。

 また、ライバルであるシャア・アズナブルの乗るザクは赤色に塗られた特別仕様で、この点も従来までのロボットアニメにはなかった設定です。なぜ赤かというと、当時のスタジオでもっとも残っていた塗料だったと言われていました。

 この「ザク」という名前の名付け親は富野由悠季監督で、「雑魚」と靴音の「ザクッザクッ」から取ったと言われています。作中では後述する「MS-05 ザク」もザクと呼ばれていますが、設定書では「旧ザク」となっていました。

 やがて『機動戦士ガンダム』劇場版第1作の際にザクの型式番号を正式に「MS-06」とし、1981年9月発行の「ガンダムセンチュリー」で「旧ザク」を「MS-05 ザクI」、通常型の「ザク」を「MS-06 ザクII」と記載され区別されるようになります。

 もっとも当時はまだ、こういった区別は一定の年齢以上に浸透しただけで、小学生程度の子供はザクと旧ザクといった区分が普通でした。「ザクI」、「ザクII」というような区分が浸透するのは、『機動戦士ガンダムZZ』で「AMX-011 ザクIII」が登場したあたりからです。

 このザクのデザインは、言わずと知れたメカニックデザイナーの大河原邦男さん。主役機などのオモチャになるデザインではスポンサーなど複数の意見を取り入れなければいけないため、自分の自由にできないデザインになりますが、敵側のやられメカということもあって、ザクは自由にデザインできたそうです。

 ザクより後にデザインしたMSは作画監督の安彦良和さんの手が入り、富野監督の指示とデザインが描かれた通称「トミノメモ」に従うなど、やはり大河原さんが自由にデザインできない事情がありました。そう考えると、ザクだけが『ガンダム』のなかで大河原さんが自由にデザインできたメカだったかもしれません。

 そして『ガンダム』は大ヒットとなり、「ガンプラ」という立体物が販売されたことでザクが注目されることになります。その理由は、ザクが「量産型」であること。作中でシャアが専用カラーで乗っていたことで、ガンプラの作り手が「自分用のカスタマイズ機が想像できること」が大きかったのではないでしょうか? 主役機は主人公のものですが、量産型ならいくらでもあるがゆえに、想像の幅は無限大ということです。

 この点が、ガンプラブームに再度火をつけた『MSV』でさらに広がります。アニメ本編に出てこないジョニー・ライデンやシン・マツナガの登場は、自分もエースパイロットになれるという妄想をふくらませ、それがガンプラの改造など、アニメ本編とはまた違った遊び方を提供しました。

 そういう点では、ザクの存在は現在のようなガンダムのコンテンツ化に大きく貢献してるといっても過言ではないと思います。

■汎用性の高さからバリエーションが開発されていく

『ガンダム』作中でも活躍したシャア専用ザクは、ガンプラで「自分だけのカスタマイズ機」を作り上げる楽しみ方も喚起した。画像は「RG 機動戦士ガンダム MS-06S シャア専用ザク 1/144スケール 色分け済みプラモデル」(BANDAI SPIRITS)

 ザクと呼ばれるMSはMS-05からですが、設定では前述した「ガンダムセンチュリー」で「MS-04」がプロトタイプザクとして製作されたことになっています。ただし『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、MS-04に「ブグ」という名前がついていました。

 このMS-05 ザクIはジオン公国初の量産型MSとなるわけですが、性能的に欠点が多く、この機体をもって開戦を始めるには疑問が残る仕上がりだったのです。そこで性能を全般的に底上げし、満足のいく性能にまで引き上げた機体が「MS-06 ザクII」でした。

 大きな外見上の差異は動力パイプの有無。ザクIでは被弾性などを考慮して内蔵されたため、運動性が落ちてしまったので、ザクIIではあえて外付けにします。この点は技術的に解消することで、後期の量産型MSは内蔵式に戻りました。

 ちなみに型式番号が変わり、名前に「II」がつけられたのはザクIから外見が大きく変更されたからと設定されています。

 このザクIIの完成で、ジオン公国は後に「一年戦争」と呼ばれる戦いに踏み切りました。その性能は地球連邦軍の30分の1の国力しかないジオン公国が初戦を圧倒したことで証明されます。そして、MSの重要性を地球連邦軍に理解させ、ガンダムを生み出すことになる「V作戦」を本格的に始動させました。

 ザクIIの優秀な部分は汎用性に富み、手持ちの武器の有無であらゆる戦場に対応できる点です。これを逆に生かしたのが、それぞれの戦場に対応したバリエーション機でした。

 A型、C型を経て大量に生産された基本型の「F型」。おもに指揮官用としてバージョンアップして生産された「S型」。宇宙用の装備を取り払い、軽量および低価格化を実現した地上用の「J型」が、アニメで登場した機体といわれています。そのため、デザイン的に大きな差異はありません。

 ここから砂漠用の「D型」。砲撃支援用の「K型」。水陸両用の「M型」。宇宙用の高機動型の「R型」。偵察用の「E型」が生み出されました。この他に既存の機体を再利用した作業型の「W型」。下半身をマゼラベースにしたザクタンクこと「V型」。サイコミュ試験用の「Z型」などがあります。

 こういったMSVに加えて、F型の後期仕様の「F2型」。ザクII改と呼ばれる最終生産型「FZ型」など、後年のアニメに合わせたリファイン版もありました。この他にもマイナーなものから公式的にはグレーなものも合わせれば、そのバリエーションはご紹介しきれないほど存在しています。

 これに加えて、先述した後継機にあたるザクIII。さらに昨今、マンガ『機動戦士ムーンガンダム』には「AMX-116 ザクIV」という更なる後継機も登場していますから、ザクのバリエーションは年々増え続けていくことでしょう。

 前述した「ガンダムセンチュリー」では、一年戦争でのザクの総生産数はザクIを含めて約8000機、そのうちF型は3246機と設定されていました。しかし、解説していったように次々とバリエーションが公式化されているので、やがてこの数字以上の機体数になりそうです。

 ガンダムは時代とともに設定がアップグレードしていくので、つねにアンテナを立てておかないと情報から取り残されることでしょう。特にザク関係は注意しないと、いつの間にか設定変更がされていることが多いので要注意です。

(加々美利治)

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