初代『モンハン』手間がかかる、難易度高すぎ…なのに「駄作」ではない理由とは?
マグミクス / 2022年3月11日 6時10分
■全世界で2700万本を売り上げる人気アクションゲームの原点
カプコンが手掛けるハンティングアクションゲーム「モンスターハンター」(以下、モンハン)は、2022年3月11日で生誕18周年を迎えました。同シリーズはPlayStation 2(以下、PS2)用のオリジナルタイトルとして登場後、プラットフォームを股にかけて約20作品を展開(派生タイトルを除く)。最新作『モンスターハンター ライズ』(以下、ライズ)と前作『モンスターハンター:ワールド』を合わせた累計ソフト売上は約2700万本(世界)を記録し、2021年3月にはミラ・ジョヴォヴィッチ主演による実写映画が日本で公開されました。
今回は、すべての「モンハン」シリーズタイトルのいしずえとなったPS2用ソフト『モンスターハンター』(以下、初代)にフォーカス。ゲームシステムや初代特有の難しさに焦点を当てつつ、その魅力を振り返ります。
今でこそ「モンハン」シリーズと言えばアクションゲームを代表する人気タイトルという印象ですが、2004年の誕生当時は決して前評判も高くなく、「実験的な意味合いの強いオリジナルタイトル」といった位置づけでした。しかし、大小さまざまなモンスターと渡り合う緊張感や自らの手でモンスターを討伐する高揚感が話題を呼び、ユーザーのクチコミ効果で約20万本を売り上げるヒット作へと成長したのです。
肝心のゲームシステムも、「クエスト受注→フィールド散策→モンスター発見→戦闘の末に討伐 or 捕獲」という流れ自体は『初代』の時点で一通り完成済み。シリーズを代表するモンスター(イャンクックやリオレウスなど)もこの頃から登場しており、ハンティングアクションゲームとしての土台はある程度できていたように思えます。
また、昨今のシリーズタイトルと比べてストーリー性は皆無に等しい作りでしたが、マルチプレイモード(2011年6月にサービス終了)を利用すれば複数人でモンスター討伐に勤しむことが可能になるなど、「仲間と共闘する楽しさ」は『初代』からシリーズ最新作の『ライズ』まで一貫して受け継がれていると言えるでしょう。
ただし、『初代』は「モンハン」シリーズの始祖にして非の打ち所のない名作であったかと言えば、答えはNOと言わざるを得ません。と言うのも、数多くの面で煩雑さが目立つ「荒削りなゲーム」だったからです。
■手間だらけだった『初代』それでも挑みたくなる魅力
Nintendo Switch『モンスターハンターライズ』(カプコン)
ハンティングアクションゲームという新境地を切り開いた『初代』ですが、多くのユーザーから関心を引いたと同時に、その煩雑さと高難易度(モンスターの強さを含む)に戸惑う声も数多く上がっていました。
例えばハンター生活に欠かせない「アイテムボックス」を例に出すと、「ボックス内で素材やアイテムを一括整理できず、手動で位置を変えなければならない」、「ボックスを拡張できないため、どんなにアイテム数が潤沢でも最大100枠までしか保存できない」……といった具合。さらに装備品を制作する際はアイテムボックスから使用素材をポーチに入れ替える手間が生じ、場合によってはボックスと武具屋を何度も往復することもしばしば。アイテム調合も当然ポーチに入れ替えて行わなければならず、複数所持が前提の調合アイテム(ボウガンの弾など)も、1個ずつボタンを連打して生成する必要がありました。
アイテム関連と同様、各武器カテゴリー(計5つ)においてもバランス調整、もとい攻撃モーションの少なさゆえに不遇な位置に甘んじる武器も見受けられました。特に「ハンマー」はその代表格で、高火力な攻撃モーション(振り下ろし→打ち上げ)が存在せず、リーチの短さもあいまって「大剣の劣化版」という見方が少なくありませんでした。
上述を踏まえて必ずしも快適にプレイできるアクションゲームと言えなかった『初代』。ところが決して駄作ではないのは売上本数やクチコミ人気が示している通りで、本作には一連の煩雑さを乗り越えた先に光る、唯一無二の魅力が秘められていました。
とりわけ筆者が個人的に大変だと感じたのは巨大モンスター戦。『初代』を象徴する飛竜種「リオレウス」の業火に何度も焼かれつつ、現地調達した回復アイテムを使い切ってまでギリギリの攻防を繰り広げ、瀕死の状態で討伐できた際の達成感と心の叫びは十数年経った今でも忘れられません。
最新作『ライズ』がシリーズ初心者も快適に楽しめるように工夫されているからこそ、荒削りな『初代』の存在感が際立つ今日このごろ。アイテム関連の取り扱いにはじまり、ペイントボールを使ったモンスターのマーキング、ピッケルや虫あみを片手に走り回る日々、カメラワークの悪さを我慢しながら挑むモンスター討伐など、進化の過程で消えていった部分が少し名残惜しく感じました。
(龍田優貴)
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