1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

アニメ『鬼滅の刃』は「耳だけで楽しめる説」は本当か? 第1話を聴いたら衝撃だった

マグミクス / 2022年3月16日 12時20分

アニメ『鬼滅の刃』は「耳だけで楽しめる説」は本当か? 第1話を聴いたら衝撃だった

■冒頭10秒でわかる、『鬼滅』音響効果のマジック!

 アニメ『鬼滅の刃』の映像美は、凄まじいものがあります。原作の吾峠呼世晴先生による和モダンな雰囲気を下地に、制作会社ufotableによる演出と作画力の高さが話題を集めました。

 2021年12月から2022年2月まで放送された『鬼滅の刃 遊郭編』でも、映画さながらの作画クオリティに対する絶賛の嵐がSNSを中心に巻き起こりました。実際、隊服の裾(すそ)の揺れひとつとっても耽美的な仕上がりだったのです。芸術の域というよりも、真正面から「芸術」といえるのではないでしょうか。

 さて、それほどまでに作画クオリティの高さに定評のあるアニメ『鬼滅の刃』ですが、近ごろ、変わった説を目にしました。それは、

「アニメ『鬼滅の刃』は、実は耳だけでも楽しめるような作りになっている」

 というもの。説の出どころは明らかではありませんが、理由として挙げられているのが『鬼滅の刃』の丁寧な心情描写。主人公・竈門炭治郎(CV:花江夏樹)はもちろんのこと、一見すると何を考えているかわからない嘴平伊之助(CV:松岡禎丞)もまた、単独行動のときは心の声が語られます。

 なるほど……あながち全くの嘘ではないかもしれません。ということで、実際に目を閉じた状態でアニメ『鬼滅の刃』の第1話を「オーディオドラマ」として聴いてみたいと思います。

●目を閉じて初めてわかる、セリフの構成と音響効果のすごさ

 聴き終わって驚きました。本当にびっくりです。

 想像以上に「オーディオドラマ」として楽しめてしまいました。もちろんすでに『鬼滅の刃』の内容を知っていることは大前提ではありますが、それでもなお驚きを禁じ得ません。

 登場人物たちによる丁寧な状況説明のセリフは、内容はもちろん、情報を出す順番にも工夫のあとが確認できます。例えば物語冒頭、「禰豆子死ぬなよ」「兄ちゃんが絶対に助けてやるからな」というセリフがありますが、このセリフだけで妹を連れた兄が必死に歩いていることがわかります。

 そして明るいBGMで場面転換すると、今度は「炭治郎」と呼び止める……どうやら母親らしき女性の声。さっきの兄と同じ声が返事をするので、ここで「炭治郎=兄」であることがスムーズにつながります。さらに「顔が真っ黒じゃないの」と再び母。炭治郎たちが炭を売って生計を立てている状況説明が入るのですが、「顔が真っ黒じゃないの」のセリフが先にあることで、より細部まで脳内に炭治郎の像を結ぶことができます。

 また『鬼滅の刃』は情景(絵)にセリフを重ねる手法を採ります。例えば日が暮れると「遅くなっちまったな」というセリフが入る……といった具合に。この手法は禰豆子が「鬼化」した際に顕著で、体が巨大化すればすかさず「体が大きくなった」「力も強くなっていく」と、炭治郎がさも実況するかのように説明してくれるのです。

 また炭治郎が冨岡義勇(CV:櫻井孝宏)と対峙するシーンでも、炭治郎の現在位置や戦法の解説を心の声で語ってくれるので、動きが多くとも頭のなかで位置関係を整理することが可能でした。

 そして何よりも驚かされたのが、「音響効果」の技術の巧みさ。先ほどの冒頭シーンだけでも、炭治郎の荒い息遣いに始まり、不安定な足取りで雪道を踏みしめる音、強風が木立の間を吹き抜ける音、そこにBGMがフェードイン……何層にも重なった音像が組み込まれていたことに今さらながら気づかされます。

 炭治郎が弟の頭をなでる音は意識せずとも聞こえていましたが、それに合わせて背中に背負った炭がわずかに揺れる音までしっかり再現されていることは、恥ずかしながら、普通に映像を視聴した時には気づかずにいました。

●細部までこだわった「音響」に、アニメの素晴らしさを再認識

 NHKの「連続テレビ小説」は、家事や食事中でも楽しめるようにナレーションを多く取り入れているといわれています。ともすれば「説明過多」として「行間好き」の人から忌避されてきた状況説明ですが、『鬼滅の刃』が国民的アニメとなった要因のひとつとして、この親切設計があったといっても過言ではないでしょう。

 そして何より、アニメといえば「作画」と「声優の芝居」に多くの注目が集まりますが、これほどまでに作り込まれた音響効果を体感し、今まで音響を強く意識してこなかったことを反省しなくてはなりません。これは『鬼滅の刃』に限らず、アニメ作品全般にもいえることでしょう。

 そして、耳だけでもこれだけ楽しめる作りになっているということは、言わずもがな実際に目と耳で視聴した際の面白さはまた格別なのです。アニメとは、本当にすごいものです。

※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記

(片野)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください