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「親ガチャ」で見る、5人のガンダム主人公 不幸な出自でもまっすぐに育ったのは?

マグミクス / 2022年3月16日 17時10分

「親ガチャ」で見る、5人のガンダム主人公 不幸な出自でもまっすぐに育ったのは?

■裕福でも、両親との隔たりを感じたアムロとカミーユ

 昨年、2021年の新語・流行語大賞のトップテンに選出された「親ガチャ」。子供は親を選べないという意味の言葉ですが、これをフィクションの世界、ガンダムシリーズに当てはめて考えてみると、さまざまな親子関係が見えてきます。

 まずは、シリーズの元祖主人公のアムロ・レイ。アムロが主人公になりえたのは、偶然からガンダムに乗り込み、そのパイロットになったことです。しかし、それは父親であるテム・レイがガンダムを開発し、アムロを連れてサイド7に住んでいたことが前提にありました。つまり、アムロが主人公になれたのは父テムのおかげだと言えるかもしれません。

 しかし、アムロは幼少期からの人格形成に関して、テムの行動に大きな影響を受けています。メカに興味がある内向的な性格は、片親で忙しいテムの影響であることは間違いないでしょう。母親のカマリア・レイがもしも一緒ならば、もう少し社交的な性格になっていた可能性もあります。

 逆説的にいえば、一年戦争で両親と心理的な決別をしたことで、アムロは「英雄」といわれるほどの活躍をすることになりました。そう考えると「親ガチャ」的には微妙でも、早いうちに独立することでアムロは大きな一歩を踏み出せたのかもしれません。

 裕福な家庭を持ち、両親が一緒にいても不幸な境遇におちいったのが『機動戦士Zガンダム』の主人公のカミーユ・ビダンです。父親のフランクリン・ビダン、母親のヒルダ・ビダンはどちらもに仕事に没頭して、家庭をかえりみない性格だったことから、カミーユは幼いころから孤独な境遇にいました。

 両親に強い不満をいだいていたカミーユの悩みのひとつに、自分の名前が女性的であるという思い込みがあります。そのため、カミーユは男性的な趣味に没頭するようになり、小型飛行機であるホモアビスやジュニア・モビルスーツを操縦し、空手部に入るなどしました。

 こうした環境から、カミーユが感情の起伏が激しい性格になったのかもしれません。エゥーゴ入りしてからは良好な人間関係を築き、徐々に感情に左右される部分は減り、戦闘以外では次第に穏やかになっていきました。逆に、グリプス戦役終盤までに積み重なった人の死というストレスが精神崩壊のきっかけでしたから、いかにカミーユの心が他者とのコミュニケーションに左右されていたかがわかります。

 このように、他者との関わりがカミーユの精神に強い影響を与えてしまうという点は、幼いころから家庭的にはコミュニケーション不足だったこと、つまり他者との付き合いになれていなかったことが原因かもしれません。

■幸せの形は人それぞれだと思わせる、ガンダム主人公たち

『機動戦士ガンダムZZ』主人公のジュドー・アーシタは、妹のリィナとの関係性に大きな影響を受けていた。画像は「機動戦士ガンダムZZ 3」DVD(バンダイビジュアル)

『機動戦士ガンダムZZ』の主人公であるジュドー・アーシタは、富野由悠季監督作品では珍しく、両親が登場しない主人公でした。設定では父親は行方不明、母親は出稼ぎで不在であるとされています。

 しかし、ジュドーには妹であるリィナ・アーシタという家族がおり、このリィナの存在がジュドーの行動原理の根幹にありました。親が不在という境遇が、ジュドーとリィナの双方に自覚をうながすわけです。真っ直ぐなリィナに比べて、若干いい加減なところがあるジュドー。それぞれの考え方に微妙な違いが出るのは兄妹あるあるですね。

 しかし、妹に対して良い兄でありたいという気持ちが、貧困な境遇にあってもジュドーが大きく曲がらなかった要因だったのでしょう。親のしつけが子供に与える影響は、絶対ではないということです。

 前述のアムロやカミーユと比べて家庭の裕福さとは無縁でしたが、妹リィナの存在が何よりもジュドーにとって宝だったのでしょう。そう思うと、家族の絆は時として金銭よりも重要だと感じます。

 同じく妹のいる『機動戦士ガンダムF91』の主人公、シーブック・アノーも、欠点の少ない少年でした。母親は研究に没頭して不在でしたが、その代わりに父親がしっかり家庭を守るという、整った環境で育っています。

 母親に対してのわだかまりは皆無というわけではありませんが、納得することができる心の余裕があり、それも家庭が円満だったからとも考えられるでしょう。もしも戦争がなければ普通の暮らしをしていた。……そう思わせる普通の家庭だったと思えます。富野監督が「いい子」と評してることからも、ガンダム主人公のなかでもトップクラスの人格者かもしれません。

 一方、人によって評価が変わるのが『機動戦士Vガンダム』の主人公ウッソ・エヴィンです。

 作品開始時にウッソはひとりで暮らしていました。父親のハンゲルグ・エヴィン、母親のミューラ・ミゲルはともに、侵攻を始めたザンスカール帝国に対抗するため、レジスタンス組織リガ・ミリティアに参加していたからです。

 ほとんどひとりで過ごしていたウッソでしたが、幼馴染のシャクティ・カリンや、憧れの人であるカテジナ・ルースの存在もあり、孤独感をあまり感じずに育っていました。また、家には大量の書物やコンピューターがあったことから独自に勉強に励み、その精神年齢も若干13歳とは思えない論理思考を持っています。

 完璧と思えるほどの13歳の少年を見た周囲の大人たちは、ウッソを「スペシャル」と呼んで可愛がりました。特に年上の女性陣には受けがよく、敵であるルペ・シノに「恐ろしい拷問」を受けることにもなっています。

 しかし、このスペシャルな部分は両親の英才教育によるもの。ナイフ投げなど、戦士として育てていたことに起因します。洗脳というと聞こえは悪いのですが、子供のころから親の価値観で教育された完璧な子供といえるかもしれません。はたして、それが正常な家庭かと考えると、疑問を感じずにはいられませんね。

 以上、宇宙世紀の富野監督作品にしぼった親子関係を見てきました。富野監督の作ったキャラを見ていくと、現実にも当てはまることが多く秘められていて、思わず深読みしたくなります。

(加々美利治)

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