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ヨーロッパ史が学べるマンガを時代別に紹介!戦い、恋愛を通して身につく政治、文化の知識

マグミクス / 2022年3月19日 11時50分

ヨーロッパ史が学べるマンガを時代別に紹介!戦い、恋愛を通して身につく政治、文化の知識

■学習マンガにはない歴史マンガの面白さ

 歴史やテクノロジー、経済など学ぶ目的で作られる学習マンガは文字情報をメインにした書籍よりもとっつきやすく、筆者も少年時代はお世話になりました。しかし、学習マンガには、大人になった今思い返すと不満に感じる部分があります。

 筆者が子供の頃に読んだモーツァルトの学習マンガでは、まるでモーツァルトが純真無垢な人物であるかのように描かれていました。モーツァルトが下ネタが大好きで生活能力が致命的に欠ける奇人変人だったのは有名な話で、名作映画『アマデウス』は歴史的には誤りだらけでも人物像はかなり真に迫っていると思います。また、発明王エジソンは純粋な発明家であったかのように描かれていましたが、エジソンは剛腕なビジネスマンでもあり、独占禁止法違反で訴えられるなど毀誉褒貶の激しい人でした。

 逆に、一般誌の歴史マンガはフィクションを交えつつもそういう汚い部分を隠さず描いています。そんな一般マンガで歴史を楽しむのは、酸いも甘いも噛み分けた大人の特権でしょう。今回はヨーロッパ史を学べる、面白いおすすめ歴史マンガを紹介します。

●古代ギリシャ、ローマが学べるマンガ

ヨーロッパにおける文化の底流は、ギリシャとギリシャから多大な影響を受けたローマにあります。

 まず紹介したい、『オリンピア・キュクロス』は古代オリンピックを中心に、古代ギリシャの文化を描いた作品です。古代ギリシャ人のデメトリウスが古代ギリシャと第一回東京オリンピックの頃の東京を行き来する構成で、東京で見たものを古代ギリシャで(ちょっとズれた形で)再現しようとする時代と地域も超えたカルチャーギャップコメディとしても楽しめます。ローマはギリシャから影響を受けているので、がローマのテルマエ(公衆浴場)文化を描いた『テルマエ・ロマエ』の作者でもあるヤマザキマリ先生が同作を発表しているのは、自然なことと言えるでしょう。『別冊オリンピア・キュクロス』としてアニメ化もされていますが、アニメはシュールギャグになっています。

 また、『アド・アストラ -スキピオとハンニバル-』は共和政ローマ時代に起きた第二次ポエニ戦争を背景に、ふたりの天才軍師を描いた作品です。説明が多めで学習マンガっぽいですが、こちらはさらに残酷描写もてんこ盛りです。『ドリフターズ』でハンニバルがスキピオを「パクリ野郎」と罵っていましたが、同作を読むとその理由がよくわかります。

●中世暗黒時代が学べるマンガ

 中世後期は、世盛期の後に続く14・15世紀頃の時代。相次ぐ飢饉と疫病で社会が停滞した西洋史における暗黒時代です。

 この時代を学べるマンガとしておすすめしたいのは、『ヴィンランド・サガ』です。ヨーロッパ人が北米に本格的に入植し始めたのは17世紀のことですが、先駆けること500年前、すでに北米に辿り着いていたヨーロッパ人がいました。それが同作の主人公・トルフィンのモデルになった、トルフィン・ソルザルソンです。

 この話はただの伝説ではなく、確たる考古学的な証拠があります。こんなおいしい話を、漫画家が放っておくはずもありません。話の中心はトルフィンの成長と冒険ですが、ヴァイキングの文化、ヨーロッパ各国の勢力争いなどバックグランドなども魅力たっぷりで、幸村誠先生のストーリーテリングの巧みさには脱帽です。アーサー王伝説の要素が入っているのも、伝承好きにはたまりません。

 他に紹介したいのが、『乙女戦争 ディーヴチー・ヴァールカ』です。チェコの宗教家ヤン・フスは、ルターに100年も先駆けて、宗教改革運動に乗り出していました。そのフスがだまし討ちで処刑されたのをきっかけに始まったのが、「フス戦争」です。フス戦争で英雄になったヤン・ジシュカは世界史好きでないと出てこない名前ですが、銃を主武装として使い、厳格な軍紀を守らせた時代を先取りした人物。

 それらの時代背景をフィクションを交えて描いた『乙女戦争』はエログロ満載で、中世暗黒時代をどす黒く描いた作品です。作者の大西巷一先生は大学院で西洋史を学んだ本格派で、単行本に挿入された解説記事も大変読みごたえがあります。

■激動の歴史はマンガの格好のネタ

ルネサンス期文化が学べる『アルテ』1巻(コアミックス)

●ルネサンスが学べるマンガ

 中世後期に続くダ・ヴィンチ、ミケランジェロなど人類史に残る大芸術家が生まれた「ルネサンス」期です。「再生」「復活」を意味するこの時代、西洋史は停滞から進化の時代に入ります。

 そんな16世紀のイタリアを舞台に、没落貴族の少女が芸術家として成長していく朝ドラのような爽やかな作品『アルテ』では、ルネサンス文化が活き活きと描かれています。男尊女卑の激しかったこの時代でも、アルテのような女性芸術家は、実際にいました。劇中の描写からアルテは1506年生まれであることがわかりますが、女流画家のレヴィーナ・テイルリンクは1510年生まれ。『アルテ』の設定は、まったくの絵空事ではないことがわかります。そういったリアリティも魅力ですね。

 一方、この時代の文学を描いたマンガだと、『7人のシェイクスピア』が挙げられます。不世出の天才劇作家・シェイクスピアは誰もが知っている超有名人ですが、残した功績の大きさに反して、本人の記録は驚くほど少ない謎の人物です。真面目な学説ではありませんが、シェイクスピア別人説も数多く、同作ではシェイクスピアは7人の人物が成立させていたとの大胆な仮説に基づいて描かれています。宗教弾圧や陰謀などキナ臭い時代背景も、魅力的なエッセンスです。

●フランス革命が学べるマンガ

 フランス革命は資本主義の発展、人権の保障などを確立した近代史の重要事件です。

 そんな時代を描いた『イノサン』はフランス革命で暗躍した処刑人、シャルル=アンリ・サンソンを主人公にした作品です。サンソンは処刑人でありながら死刑廃止論者で、社会から蔑まれる立場でした。ハンサムで教養もあり、死刑囚の遺族からも感謝される優しい人柄だったとの記録が残っています。坂本眞一先生が圧倒的な画力で描いた同作は、エログロでありながら耽美的な傑作です。

●ヴィクトリア朝時代が学べるマンガ

 ヴィクトリア女王統治下のイギリスは、世界の6分の1を支配下に置く全盛期でした。莫大な富は、多くの産業や文化を生み出しています。

 今回紹介する『エマ』は、メイドのエマを主人公に身分違いの恋とヴィクトリア朝イギリスの文化を描いた作品です。当時の風物を淡々と描きながら、階級社会の闇も描いています。身分違いの恋はヴィクトリア朝の古典小説『ジェーン・エア』で題材になっており、そういった古典の息吹を感じるのも素晴らしいです。

 この時代は世界一有名な探偵シャーロック・ホームズの活躍した時代でもあり、ホームズ作品のアレンジでも舞台になります。最近の作品だと、ホームズの宿敵モリアーティ教授を主人公にした『憂国のモリアーティ』、ホームズが「有名人」として劇中に登場する『ノケモノたちの夜』などがその例ですね。

 事実は小説より奇なりと言いますが、歴史上のさまざまな実在の人物、出来事はマンガネタの宝庫と言えるでしょう。

(ニコ・トスカーニ)

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