1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. アニメ・コミック

武器は充実、防御はスカスカ…『ボトムズ』の「スコープドッグ」は非情な戦場の象徴?

マグミクス / 2022年3月20日 8時10分

武器は充実、防御はスカスカ…『ボトムズ』の「スコープドッグ」は非情な戦場の象徴?

■使い捨ての大量生産品

 1983年の放送当時から多くの視聴者の心をつかみ、現代まで続編が作られている『装甲騎兵ボトムズ』(以下、ボトムズ)のOVA『装甲騎兵ボトムズ ザ・ラストレッドショルダー』がBS12で放送されます。この機会に、『ボトムズ』の設定や世界観を象徴する「メカ」について振り返りたいと思います。

 ATM-09-ST スコープドッグ。
 ギルガメス軍正式アーマードトルーパー(以下、AT)。

 全高は約3.8メートル。重量は6トンを超える人型の鉄の塊。足裏部に備え付けられたローラーダッシュ機構が生み出す最高速度は80km以上を超えており、人間の2.5倍から3倍程度の大きさの戦闘マシーンに、絶大な機動力を与えています。

 主兵装は30mm口径のGAT-22 ヘビィマシンガン。120発入りの大型弾倉は高い継戦能力を保証し、さらなる破壊力を必要とするなら、銃砲身上に備えられた単発のグレネード発射機が要望に応えます。

 さらにSMAT-38 ショルダーミサイルガンポッド、SAT-03ソリッドシューター、ハンドガンであるGAT-49mmペンタトルーパーなど、さまざまな火器を使用可能であり、熟練者が使用するならば、圧倒的な火力を戦場に振りまく力を備えています。

 しかし、スコープドッグの装甲は極めて薄く、最も厚い部分で14mm、薄い部分で6mmしかありません。重火器に対する防御力はないに等しく、作中でもしばしば銃弾が貫通する場面が描かれてます。

 加えて、ATは内燃機関を装備しておらず、代わりにマッスルシリンダーと呼ばれる一種の人工筋肉により四肢を駆動させています。しかしながらマッスルシリンダーは気化性と引火性が高いポリマーリンゲル液と呼ばれる液体に満たされており、ATはわずかな被弾でも引火爆発しやすいという、悲惨な特性を持っています。

 戦場に投入されれば高い機動性と火力を発揮し、反撃を受ければ搭乗者の命もろともあっさりと散っていく、戦場の主役にして儚(はかな)い存在、それがスコープドッグなのでしょう。

 なお、スコープドッグには原型機として「ATM-08ST スペンディングウルフ」と呼ばれる機体が存在しています。基本性能に大差はないのですが、生命維持装置や自動消火装置など、パイロットを保護する装備が備えられているのが特徴です。

 その分コストが高騰したため、軍の上層部はパイロットの保護機能をオミットし、スコープドッグとして量産した経緯があります。スコープドッグのドッグ(犬)はウルフ(狼)に劣るという皮肉が込められているという説もあるほどです。

■多種多様なバリエーションが登場

「スコープドッグ ターボカスタム」は、過激なスピード性能を備えたバリエーションだった。画像は「装甲騎兵ボトムズ スコープドッグ ターボカスタム ST版 色分け済みプラモデル」(ウェーブ)

 スコープドッグはトータルのバランスと拡張性及び汎用性の高さ、生産の容易さから数千万機がロールアウトしたとされており、事実上の標準型ATとして認知されています。

 投入された戦場の多様さから、地形・用途に応じたカスタマイズが施されたバリエーションモデルも多数存在するのも、スコープドッグ系列の特徴です。

 TV本編では第2クールの「クメン編」に、湿地戦闘対応型の「ATM-09-WR マーシィドッグ」が登場し、主人公のキリコ・キュービィが乗り込み多大な戦果をあげています。
 
 マーシィドッグは水中でも使用可能なハイドロジェットを搭載し、機体から水分や空気を追い出すエアバージ機能を備えています。脚部ホイールも下部ではなく側面に取り付けられるなど、水地での機動性を確保するための改装が施されていますが、気密性は下半身に限られており、上半身からは容易に浸水する欠陥を抱えているのも、スコープドッグ系ATらしさなのかもしれません。

 その他にも、雪上専用モデルの「ATM-09-SNC アバランチドッグ」、警察任務用「ATM-09-STR ライアットドッグ」など多くのバリエーションモデルが登場しますが、最も重要なカスタム機として挙げられる機体といえば、ATM-09-STTC スコープドッグ・ターボカスタムに他ならないでしょう。

 OVA『装甲騎兵ボトムズ レッドショルダードキュメント 野望のルーツ』に登場したこの機体は、脚部裏に大型ブースターを追加したジェットローラーダッシュ装置を備えており、熟練兵でなければとても扱えない加速性能を備えています。しかしながら安定性と操作性は劣悪であり、事故が多発、正式量産化は見送られました。

 今回放送されるOVA『ザ・ラストレッドショルダー』でキリコ・キュービィをはじめ元レッド・ショルダー隊員が使用した機体は、スクラップから作り上げたターボカスタムのレプリカであり、「アテにならねえ部品がざっと50ほどある」状態ながらも、敵対するレッド・ショルダー隊員が駆る新型AT「X・ATH-P-RSC ブラッドサッカー」を多数撃墜しています。

 時代が進み、新型が多数登場する状況となっても、多数が現役で活躍しているスコープドッグ。彼らの活躍が終わる日が来るのは、まだまだ先の話なのかもしれません。

(早川清一朗)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください