武器は充実、防御はスカスカ…『ボトムズ』の「スコープドッグ」は非情な戦場の象徴?
マグミクス / 2022年3月20日 8時10分
![武器は充実、防御はスカスカ…『ボトムズ』の「スコープドッグ」は非情な戦場の象徴?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_83363_0-small.jpg)
■使い捨ての大量生産品
1983年の放送当時から多くの視聴者の心をつかみ、現代まで続編が作られている『装甲騎兵ボトムズ』(以下、ボトムズ)のOVA『装甲騎兵ボトムズ ザ・ラストレッドショルダー』がBS12で放送されます。この機会に、『ボトムズ』の設定や世界観を象徴する「メカ」について振り返りたいと思います。
ATM-09-ST スコープドッグ。
ギルガメス軍正式アーマードトルーパー(以下、AT)。
全高は約3.8メートル。重量は6トンを超える人型の鉄の塊。足裏部に備え付けられたローラーダッシュ機構が生み出す最高速度は80km以上を超えており、人間の2.5倍から3倍程度の大きさの戦闘マシーンに、絶大な機動力を与えています。
主兵装は30mm口径のGAT-22 ヘビィマシンガン。120発入りの大型弾倉は高い継戦能力を保証し、さらなる破壊力を必要とするなら、銃砲身上に備えられた単発のグレネード発射機が要望に応えます。
さらにSMAT-38 ショルダーミサイルガンポッド、SAT-03ソリッドシューター、ハンドガンであるGAT-49mmペンタトルーパーなど、さまざまな火器を使用可能であり、熟練者が使用するならば、圧倒的な火力を戦場に振りまく力を備えています。
しかし、スコープドッグの装甲は極めて薄く、最も厚い部分で14mm、薄い部分で6mmしかありません。重火器に対する防御力はないに等しく、作中でもしばしば銃弾が貫通する場面が描かれてます。
加えて、ATは内燃機関を装備しておらず、代わりにマッスルシリンダーと呼ばれる一種の人工筋肉により四肢を駆動させています。しかしながらマッスルシリンダーは気化性と引火性が高いポリマーリンゲル液と呼ばれる液体に満たされており、ATはわずかな被弾でも引火爆発しやすいという、悲惨な特性を持っています。
戦場に投入されれば高い機動性と火力を発揮し、反撃を受ければ搭乗者の命もろともあっさりと散っていく、戦場の主役にして儚(はかな)い存在、それがスコープドッグなのでしょう。
なお、スコープドッグには原型機として「ATM-08ST スペンディングウルフ」と呼ばれる機体が存在しています。基本性能に大差はないのですが、生命維持装置や自動消火装置など、パイロットを保護する装備が備えられているのが特徴です。
その分コストが高騰したため、軍の上層部はパイロットの保護機能をオミットし、スコープドッグとして量産した経緯があります。スコープドッグのドッグ(犬)はウルフ(狼)に劣るという皮肉が込められているという説もあるほどです。
■多種多様なバリエーションが登場
「スコープドッグ ターボカスタム」は、過激なスピード性能を備えたバリエーションだった。画像は「装甲騎兵ボトムズ スコープドッグ ターボカスタム ST版 色分け済みプラモデル」(ウェーブ)
スコープドッグはトータルのバランスと拡張性及び汎用性の高さ、生産の容易さから数千万機がロールアウトしたとされており、事実上の標準型ATとして認知されています。
投入された戦場の多様さから、地形・用途に応じたカスタマイズが施されたバリエーションモデルも多数存在するのも、スコープドッグ系列の特徴です。
TV本編では第2クールの「クメン編」に、湿地戦闘対応型の「ATM-09-WR マーシィドッグ」が登場し、主人公のキリコ・キュービィが乗り込み多大な戦果をあげています。
マーシィドッグは水中でも使用可能なハイドロジェットを搭載し、機体から水分や空気を追い出すエアバージ機能を備えています。脚部ホイールも下部ではなく側面に取り付けられるなど、水地での機動性を確保するための改装が施されていますが、気密性は下半身に限られており、上半身からは容易に浸水する欠陥を抱えているのも、スコープドッグ系ATらしさなのかもしれません。
その他にも、雪上専用モデルの「ATM-09-SNC アバランチドッグ」、警察任務用「ATM-09-STR ライアットドッグ」など多くのバリエーションモデルが登場しますが、最も重要なカスタム機として挙げられる機体といえば、ATM-09-STTC スコープドッグ・ターボカスタムに他ならないでしょう。
OVA『装甲騎兵ボトムズ レッドショルダードキュメント 野望のルーツ』に登場したこの機体は、脚部裏に大型ブースターを追加したジェットローラーダッシュ装置を備えており、熟練兵でなければとても扱えない加速性能を備えています。しかしながら安定性と操作性は劣悪であり、事故が多発、正式量産化は見送られました。
今回放送されるOVA『ザ・ラストレッドショルダー』でキリコ・キュービィをはじめ元レッド・ショルダー隊員が使用した機体は、スクラップから作り上げたターボカスタムのレプリカであり、「アテにならねえ部品がざっと50ほどある」状態ながらも、敵対するレッド・ショルダー隊員が駆る新型AT「X・ATH-P-RSC ブラッドサッカー」を多数撃墜しています。
時代が進み、新型が多数登場する状況となっても、多数が現役で活躍しているスコープドッグ。彼らの活躍が終わる日が来るのは、まだまだ先の話なのかもしれません。
(早川清一朗)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
脱走した方が生き残れそう? 『ガンダム』一年戦争時の「ボールより乗りたくない」MS
マグミクス / 2024年7月18日 6時25分
-
「ピーキーすぎる」エース専用機って? 実在した“ほぼワンオフ機”を愛用したパイロットとは
乗りものニュース / 2024年7月14日 14時12分
-
「装甲騎兵ボトムズ」より「スコープドッグ ターボカスタム」が本日7月4日11時に予約受付開始!7連ミサイルポッドなど、数々の特徴的な武装が付属
インサイド / 2024年7月4日 10時15分
-
「ガンダム」リアルに振ったシリーズで登場する「黄金のMS」はなんなのか?
マグミクス / 2024年6月26日 6時25分
-
「ガンダムSEED」シリーズより「ストライクノワール」がROBOT魂で立体化!大型の「ノワールストライカー」を始め、多数の武装をセットにした豪華仕様
インサイド / 2024年6月24日 14時0分
ランキング
-
1【海のはじまり】元カレが「クズすぎる」と非難殺到 トドメの「お大事にね」で怒り爆発「なにこいつ」
スポーツ報知 / 2024年7月22日 21時55分
-
2やす子「24時間」マラソン曲解され拡散「アンチという言い方してません…過激な発言をする皆さんが怖い」
スポニチアネックス / 2024年7月22日 18時43分
-
3サンド伊達みきお 大物歌手を2度呼び捨てにしたフワちゃんを注意「頼むから敬称つけてくれ」
スポニチアネックス / 2024年7月22日 19時53分
-
4《円満離婚なんてない》田中美佐子、格差婚から“仮面夫婦”と言われて29年「生じていた3年前の異変」「突然消えた結婚指輪」元夫は女性ファンとラブホデート
NEWSポストセブン / 2024年7月22日 16時15分
-
5「海のはじまり」弥生(有村架純)・水季(古川琴音)の“残酷対比” 対照的な描写に「心がえぐられる」「容赦ない」の声
モデルプレス / 2024年7月22日 22時21分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)