理不尽にムズかった「ファミコンのクソゲー3選」 それでも僕らが熱中したワケ
マグミクス / 2022年3月20日 15時10分
■子どもの頃、「クソゲー」はゴロゴロしていた
みなさん最近、いわゆる「クソゲー」で遊んでいますか? そのゲームが面白いかどうかも含めてすぐに内容を調べられる現代では、クソゲーをつかんでしまうことは少ないかもしれません。
しかし、ファミコン世代の子供の頃は違いました。ゲームに重大な欠陥要素があったとしても、インターネットもSNSもないので、クソゲーだと知られないままどんどん売られていました。
誕生日やクリスマスにしかゲームを買ってもらえない……という貴重なチャンスにクソゲーをつかんでしまったり、そもそも情報が少なすぎてクソゲーだと気がつかずに、理不尽な内容につき合いながら遊んだり……といったことがままありました。
また、確かに大きな問題点を抱えてはいるものの、内容全てがダメというわけでもなく、子どもの頃は楽しめていたゲームもあります。今回は、そんな厳しくも楽しかったクソゲー達との日々を振り返ります。
■めちゃくちゃ鬼太郎を殺しに来る『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境』
小学生の頃、誕生日に買ってもらった『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪大魔境』。鬼太郎を操作して妖怪が巣くうさまざまな「魔境」を戦い抜き、最後に妖怪城にいるボスを倒すとステージクリア……というアクションゲームです。リモコン下駄や髪の毛バリが使えたり、ボス戦ではぬりかべやこなきじじいが助けてくれたりと、キャラゲーとしてはとても楽しく、アクションゲームとしても悪くはない出来でした。人によっては「良作」に入れる人もいるのではないでしょうか。
ただし、難易度が高すぎることが難点でした。まず、敵や攻撃にあたると1発でアウト。かつ、鬼太郎の操作はやや慣性が効いて癖がありました。一反もめんに乗る空中戦などはその傾向が強く、急に止まれずにやられてしまうことがよくありました。
各魔境はクリア条件を満たすと「窓」が出現し、そこに飛び込めばクリア……なのですが、窓は複数出現し、間違った窓に入ると地獄に連れていかれます。地獄では上から妖怪が降ってくるなか、上へ上へと上って、頂上にいるバックベアードなどのボスを倒さなければ脱出できず、命からがら窓に飛び込んだプレイヤーを文字通り地獄に落とす仕組みでした。
とにかく鬼太郎が死にまくるゲームでしたが、それでも毎日毎日遊んだ結果、一度だけ全ステージクリアした覚えがあります。しかしエンディングなどなく、すぐにステージ1からやり直しに。大人になった今だったら投げ出しているかもしれませんが、当時はそれでも大事に大事に遊んだ宝物だったのです。
■正義の味方も金が全て!? 『仮面ライダー倶楽部』
日本のファミコン版はジャレコ発売だが、実はアクティビジョンが開発した、いわゆる「洋ゲー」。画像はAmazonより『ミシシッピー殺人事件』パッケージ(ジャレコ)
クリアするのが難しいという意味では、『仮面ライダー倶楽部 激突ショッカーランド』の方が『ゲゲゲの鬼太郎』より難易度が高いかもしれません。とても面白いゲームでしたが、当時の筆者にはクリアはほぼ不可能でした。しかもそれは、アクションが難しいという次元の話ではないのです。
『仮面ライダー倶楽部』は、ショッカーの戦闘員や怪人と戦いながらゴールを目指し、「お金を稼いで納める」ことでステージをクリアしていきます。ボス戦で怪人と対決して倒しても、クリアとならないのです。なぜか一定以上のお金を納めることでステージを進めるようになっています。
敵を倒したり、ブロックを壊したりすることでお金を手に入れられるのですが、だいたい500円とか1000円ぐらい、ひどいと10円、50円なんて場合もあり、運が良くても5000円。それでゲームを全部クリアするまでに必要なお金は100万円以上かかるのです。
実は救済措置があって、ルーレットにお金をかけると、当たれば倍、外れれば半分というバクチがありました。2コントローラーのマイクを使った裏技なども駆使して、なんとかお金を増やして攻略するゲームだったのです。
もし、裏技を知らずにコツコツお金を稼ぐとなると、クリアまでに10~20時間を要します。しかも、ゲームを途中で保存する方法は一切ありません。アクションやミニゲームなどは楽しいゲームでしたが、当時の小学生にとってはほぼクリア不可能なゲームとなっていました。
■自分が詰んでいるかすら分からない『ミシシッピー殺人事件』
さて、最後に紹介する『ミシシッピー殺人事件』は、そもそも面白く遊ぶこと自体が難しいゲームでした。
ニューオリンズに向かうデルタ・プリンセス号に乗った探偵チャールズ卿とその助手のワトソン。挨拶がてら、乗客や乗員たちの部屋を訪ねていくと、死体を発見してしまいます。証拠や証言を集めて推理し、事件を解き明かす推理アドベンチャーゲームです。
『ミシシッピー殺人事件』と言えば、ナイフや落とし穴で主人公が突然殺害されることが有名ですが、この作品がもっとも筆者を困らせたのは、登場人物が同じことを繰り返し話してくれないことでした。このゲームでは、聞き込み捜査をする時に、重要な会話はワトソンにメモしてもらっておいて、他の登場人物に突きつけることでストーリーが進行します。しかし、彼らは、同じ話は2度としてくれないのです。
メモは同じ人から同時に3つまでしか取っておくことができず、メモの取捨選択を誤るとクリアできなくなります。恐ろしいのは、「クリアできなくなっていること」を判断する方法がないことです。
今詰まっているのは、証拠品が足らないのか、調べていない物や場所があるのか、それともメモするべき会話を逃していたのか……。このゲームもプレイ内容を保存する方法が一切ないので、最初から全部やり直す方法でしか、確かめられないのでした。
今の時代は、情報も簡単に手に入りますしゲームの方も難易度調整やチュートリアルなどがしっかりしてますから、紹介した3作品は色々残念な部分の多いゲームだったかもしれません。
しかし、当時は必ずしも「クソゲー」と思って遊んではいませんでした。たくさんゲームが買ってもらえるわけではないなか、すごく難しいゲームを手探りで毎日毎日遊ぶのは、あの頃だけの貴重な楽しい時間だったようにも思います。
(田下広夢)
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