『ミステリ』だけじゃない!田村由美先生の名作4選 サバイバルSFの金字塔も
マグミクス / 2022年3月27日 8時10分
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■田村由美先生といえば!欠かせない作品群
ドラマ『ミステリと言う勿れ』の原作者である田村由美先生は、これまでも数々の名作マンガを手がけてきました。田村先生の作品はハイ・ファンタジーや設定が凝った作品が多かったのですが、『ミステリと言う勿れ』は現代的でとっつきやすく、かつ先生の感性と雰囲気、ストーリー性などが見事にマッチした名作と言えるでしょう。
2022年3月28日(月)にいよいよ最終回を迎えるドラマ版は、オリジナルの要素も取り入れつつ原作の良さとキャストの名演技が上手く噛み合った作品になっています。
今回は他にもおススメしたい、田村由美先生のその他のおすすめ作品をご紹介します。
●田村先生過去作品最長の超大作!『7SEEDS』
田村由美先生を語る上でこれはまず外せないと思うのが、『7SEEDS』です。先生の過去作品のなかでも一番の長期連載であり、2001年から2017年までの連載で、全36巻で完結を迎えました。
引っ込み思案で引きこもりがちな女子高校生・岩清水ナツが主人公。ある時、いつも通りに眠ったはずの彼女は、目が覚めると荒れた大地に放り出されていたのです。過酷な環境のその場所は、何百年も先の未来で、隕石が衝突し人類が滅亡した後の世界だったことが判明します。
ナツは、7人1チームで健康状態や病歴など事細かに調べた子供たちを選び、コールドスリープで未来に送る国家の極秘プロジェクト「7SEEDSプロジェクト」に選ばれていたのです。チームは季節ごとに4つ選ばれ、優良な人間だけでは破綻するかもしれないと作られたのが、ナツが選ばれた夏のBチームでした。そんな頼りない主人公が徐々にたくましく成長していく姿も、見どころのひとつです。
構成が練りに練られた大作で、子供たちが人間関係で衝突するサスペンスに、隕石衝突の前にシェルターに逃げ込むことができた人びとの話や、さらに政府の思惑までストーリーに絡み、最後まで目が離せません。
●色にちなんだ会話劇コメディ『イロメン−十人十色−』
こちらは全4巻で完結の短い作品で、気軽に読めて軽いテンポのコメディマンガです。十色商事という会社に勤める青木と緑川は、「色」を意識して生きる男。そこに「赤木」と「桃栗」と「枯枝」(響きがカレーなので黄色扱い)がやってきて、彼らのにぎやかでカラフルな日常が描かれます。
何かと色に固執する彼らの世界は、モノクロで描かれているのにどこか色づいて見える鮮やかさがあります。会話劇中心で、田村先生の独特のセリフ回しが存分に楽しめる作品です。
■これを外しては田村先生は語れない!ファンタジーの名作も
田村先生によるファンタジーの名作『BASARA』第1巻(小学館)
●息子を探す親子の切ない物語『猫MIX幻奇譚とらじ』
現在も連載中のファンタジーな世界観で描かれた、猫MIXと呼ばれる猫獣人と王の勇者の冒険譚です。ねずみが知性を持ち人間を襲うようになって2千年。人とネズミとは戦いを続け、勇者であるパイ・ヤンはねずみにさらわれてしまった息子を探すため、もともと飼い猫だったとらじと旅に出ることになります。そして、とらじと過ごすうち、家庭を顧みずに戦いに明け暮れ子どもの顔すらわからないパイ・ヤンは、自身の過ちに気がついていくのです。
猫と人間がねずみの魔法で混じった猫MIXがふわふわで可愛らしく、他にもさまざまな動物も出てきて楽しめます。しかし、ストーリーはかなり重厚な本格ファンタジー。ハイ・ファンタジーが読みたい、親子愛の物語が読みたい、という方、猫好きさんにもおすすめの一作です。
●運命に翻弄された少女の、強くて優しい物語『BASARA』
最後にご紹介するのは、田村先生といえば絶対に外せないファンタジーの代表作『BASARA』です。運命の子と予言された双子の兄、タタラ。文明が荒廃し砂だらけになった日本で、いつか国を救うと予言されますが、そんなタタラは国を脅かすとして王の軍勢によって父とともに殺されてしまいます。
村の支えでもあったタタラを失い動揺し、自死すら考える村人を鼓舞するため、妹の更紗(さらさ)は自分が死んだものとして、兄の「タタラ」のふりをして名乗り出るのです。そして彼女は、村の宝であった剣を携え旅に出ます。
しかし、兄と父の仇である「赤の王」朱理(しゅり)もまた運命の子と予言されており、お互いの正体を知らぬまま彼女たちは出会ってしまいます。そして少しずつ、互いに惹かれあっていくのです。
過酷な運命とすれ違う恋心、そこにさらなる試練が続く、壮大な物語。涙なくしては見られない作品です。最後のシーンは特に涙を誘います。更紗のどんな状況でも前を向き生きていく強さに、心打たれました。
以上、田村由美先生の過去作品をご紹介しました。『ミステリと言う勿れ』の原作も、まだまだこれからが本番というところ。今後のストーリーも、メディアミックス展開もさらなる飛躍が期待できそうです。
(綿貫)
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