キノピオの性別は男？ 女？ 初期『マリオ』ブームを知る人ほど勘違いするワケ

■「キノピオは侍女」そう思ってしまった理由は…

『マリオ』シリーズの人気キャラクターのひとりであるキノピオ。キノコ王国のピーチ姫に使えるキノピオたちを、「侍女」だと思ってしまっていたことはありませんか？

　筆者はキノピオの初登場作品である1985年発売の『スーパーマリオブラザーズ』をほぼリアルタイムで遊んだ世代ですが、実はキノピオたちのことをピーチ姫の「侍女」だと思っていた時期があります。

　もちろん、この認識は間違いです。同作に登場したキノピオのトップスは、素肌の上にベストを着ているのみというファッションで、女の子がするにはいささかカゲキです。しかも、今日では女の子のような「キノピコ」もいますしね。

　それでも当時の筆者が侍女だと勘違いしてしまった理由は『スーパーマリオブラザーズ』の大ヒットで数多く生み出された攻略本やゲームブック、アニメなどの関連書籍／メディアミックス作品にありました。その中の一部には、キノピオを「侍女」だと明確に描写しているものもあったのです。

　そのうちの1冊が、徳間書店から出版された「スーパーマリオブラザーズ 完全攻略本」です。当時、徳間書店はゲーム雑誌「ファミリーコンピュータMagazine」も出版しており、攻略本の表紙にはその誌名も掲載されていました。それを見て、多くのゲーム少年が本書を購入したことでしょう。それを読めば「キノピオは侍女だよ」派の一丁上がり…というわけです。

　もし、「昔はキノピオのことを侍女だと思っていてさ…」という人を見かけたら「おっ、この人はレアなことを知っているな（レアな勘違いをした人だな）」と温かい目で見てあげてください。昔、同じ勘違いをした筆者も浮かばれます。

■「うん、キノピオは男の子だよね」…実はちょっと違う！

キノピオが主人公となったゲーム『進め！キノピオ隊長』公式サイトより　(C)2014 - 2019 Nintendo

　さて、話はここでは終わりません。それならばキノピオは男の子かというと、実はそれも正確な表現ではないのです。

　その根拠は、YouTubeで2014年に公開されているアメリカのバイラルコメディアン ジャスティン・エザリックさんによるインタビュー動画「Shigeru Miyamoto Interview (Creator of Mario!)」にあります。タイトルの通り、インタビューされているのは『マリオ』の生みの親である任天堂の宮本茂氏です。

　動画の8分44秒頃を見ると、ジャスティンさんは当時発売されたばかりだったWii Uソフト『進め！キノピオ隊長』を「本当におもしろく、そしてとてもキュートなゲーム」と絶賛。さらに「このゲームの隊長は、私たちが知るキノピオと同じキノピオなのですか？」と問いかけます。

　宮本氏はその問いかけに微笑みながら「最初にキノピオを作ったときは、男の子か女の子かも決めていなくて。キノピコが出てきたことで男の子っぽくはなったんですけど…多分いっぱいいるんですよね、キノピオって」と回答しています。

　今から8年前の発言ではありますが、その後、今日にいたるまでキノピオの性別が明言されたこともありません。キノピオは男の子、キノピコは女の子…というよりは、「キノピオたちにはそういう個体差がある」と考えるのがいいのかもしれませんね。

（蚩尤）