【ZガンダムのMS】「使い勝手がよかった」3つの汎用機、ネモ、ジムII、ガルバルディβ
マグミクス / 2022年4月2日 19時10分
■エゥーゴを支えたワークホース
『機動戦士Zガンダム』では、「ガンダムMk-II」や「リック・ディアス」のように、主役やメインキャラの乗機としてスポットが当たる機体ではなくとも、大量に配備されて戦線を支えたモビルスーツ(MS)たちが活躍しています。
●「MSA-003 ネモ」
「MSA-003 ネモ」は、エゥーゴが主力機として運用したモビルスーツです。一見するとカラーリング以外は「RMS-179(RGM-79R) ジムII」に近い形状をしていますが、当時の量産機としては最新鋭の技術が多数取り入れられた高性能機として開発されています。
本来、エゥーゴでは「RMS-108(MSA-002)マラサイ」を主力量産機として採用する予定でしたが、リック・ディアスの開発を行ったと嫌疑をかけられたアナハイム・エレクトロニクス社が追及をかわすために同機はティターンズへと供給されたため、代替機としてネモが採用されました。
本機の性能で特筆すべきは、リック・ディアスや百式で培った技術をもとにコストダウンされたムーバブル・フレームが採用されている点であり、「ジムII」をはるかに上回る汎用性と機動性を獲得しています。装甲材についてはガンダリウム合金が使用されていますが、大量生産のためにリック・ディアスに使用された「ガンダリウムγ」を使用している説だけではなく、「α」や「β」を採用しているとする資料もあり、詳細な仕様は不明となっています。
ただし本機はエゥーゴの資金難問題により、ビーム・ライフルはジムIIのものをそのまま採用しており、攻撃性能に若干の問題を抱えています。
量産機としては革新的な性能を持つネモでしたが、『機動戦士Zガンダム』本編では基本的にやられ役として描写されており、さほどの活躍は見られませんでした。作中に登場するエースパイロットたちには恐竜的進化を続けた高性能モビルスーツが優先的に配備されており、いかに高性能とはいえ量産機に搭乗する速成教育を受けたパイロットたちでは、練度の面で太刀打ちできなかったことも大きな理由としてあげられるでしょう。
事実、強化人間であるロザミア・バダムが搭乗した際にはハイザックの撃墜に成功しており、基本性能は高いことが見て取れます。
グリプス戦役終結後には地球連邦軍に接収されたため、『機動戦士ガンダムUC』のトリントン基地襲撃のシーンにも登場しましたが、「一年戦争」時代の骨とう品であるジュアッグにさえ不覚をとっています。どこまでも報われない機体ではありますが、「なんかこういう機体が好き」という方にとっては、たまらない魅力を放つモビルスーツなのではないでしょうか。
■一年戦争時代の機体を改修したモビルスーツ
「ジムII」は一年戦争で活躍した「ジム」を改装したもので、『Zガンダム』作中でもさまざまな戦線に配備された。画像は「HGUC 1/144 RMS-179 ジムII (機動戦士Zガンダム)」(BANDAI SPIRITS)
●RMS-179(RGM-79R) ジムII
「RMS-179 ジムII」は、一年戦争を地球連邦の勝利に導いた立役者である「RGM-79ジム」に改装を施したマイナーチェンジ機です。原型機と比較して推力、ジェネレーター出力、索敵能力など基本的な能力が向上しており、メイン武装についてもビーム・スプレーガンからビーム・ライフルへと更新されています。初期の改装では全天周囲モニター及びリニアシートは装備されておらず、0085年以降に改修を受けた機体には採用されています。
当初は既存の機体を改修するプランだったため「RGM-79R」の形式番号が割り当てられていましたが、新鋭機である「RMS-106 ハイザック」の開発にトラブルが発生し、安定性に優れたジム系の再生産が行われることになり、新造機には新たに「RMS-179」の形式番号が割り当てられています。
地球連邦軍に大量配備されていた関係上、ティターンズとエゥーゴ双方で使用されていますが、グリーン・ノアへと侵入したシャアたちが操るリック・ディアスの前に10機以上が行動不能とされるなど新鋭機との性能差は大きく、あまり目立った活躍はありませんでした。
●RMS-117 ガルバルディβ
「ガルバルディβ」はジオンの技術を継承して開発され、連邦側で運用された。画像は「1/100ガルバルディβ(機動戦士Zガンダム)」(BANDAI SPIRITS)
地球連邦軍所属のパイロット、ライラ・ミラ・ライラ大尉の愛機「RMS-117 ガルバルディβ」は、ジオン軍の兵器開発計画「ペズン計画」により開発されたモビルスーツ「ガルバルディ」を、地球連邦軍が接収し改修を加えたものです。全天周囲モニター及びリニアシートが導入されており、装甲も軽量化され機動力も向上。防御性能こそ低いものの凄腕のパイロットからは好評を得ています。
作中ではライラ・ミラ・ライラ機含む4機が登場し、ジェリド・メサ率いるハイザック部隊と共同でサラミス改級巡洋艦「モンブラン」を撃沈する戦果をあげるなど、エゥーゴを苦しめました。
しかし最終的には1機がクワトロ・バジーナのリック・ディアスに撃墜され、残りはライラ機含めカミーユ・ビダンの「ガンダムMK-II」と交戦し、全機が撃破または撃退されています。
(早川清一朗)
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