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『鬼滅の刃』妹・弟らしい言動4シーン 「ざるそば早食い」は本能なのか!?

マグミクス / 2022年4月3日 13時10分

『鬼滅の刃』妹・弟らしい言動4シーン 「ざるそば早食い」は本能なのか!?

■「ムー」だけでも通じるのが兄と妹

『鬼滅の刃』では、家族、兄弟姉妹の絆が描かれているため、炭治郎の「俺は長男だから我慢できた」という発言など、兄弟姉妹としての立場が表れているセリフなども多くあります。

 主要キャラクターを見ても、禰豆子、蟲柱・胡蝶しのぶ、「遊郭編」に登場した上弦の陸・堕姫が「妹」です。また、男性キャラクターにも「弟」である個性的な面々がそろっています。

 この記事では、『鬼滅の刃』に登場する「妹と弟」に着目。妹らしさ、弟だからこその言動とそこから見える思いを探っていきます。

●禰豆子の場合

 禰豆子は炭治郎の妹ですが、家族で暮らしていた頃は下の子供たちの面倒をよく見るしっかり者の「姉」という面が強かったようです。

 ところが、鬼にされた禰豆子は幼い子供に戻ったように、炭治郎に甘えたり、頭をなでてもらいたがったりします。「刀鍛冶の里編」でも、遊んでもらって小さな子供のように楽しそうにしているシーンが描かれます。

 竹をくわえているという事情もあって、禰豆子は「ムー」としか言えませんが、この「ムー」という一語で喜怒哀楽すべてを表現するしかありません。「頭をなでて」「かまって」「大声でびっくりした」は、それぞれ若干のバリエーションがあるとはいえ、「ムーッ」とか、「ムムー」で表し、それを炭治郎がしっかり分かるのが、さすが「兄」です。当の禰豆子は、「お兄ちゃん(=炭治郎)は、私の言いたいことが分かって当然」だと思っているようですし、「お兄ちゃんなら、私の言うことをきいてくれて当然」とも思っているように見られ、「妹らしさ」を感じます。妹である禰豆子から兄、炭治郎への絶対的な信頼があるからこそでしょう。

 原作マンガのおまけページでは、そんな禰豆子の姿が、「ムーねずこ 略してムーコ」として描かれています。

●堕姫の場合

「雪の日に起こった、人生を一変させる悲惨な事件」「妹思いの兄」など、炭治郎と禰豆子の兄妹と共通点がいくつもあるにもかかわらず、立場がまったく逆なのが、下弦の陸・妓夫太郎と堕姫の兄妹です。炭治郎本人も、妓夫太郎の姿に自身の姿を重ねていました。

 堕姫の生前の名前は梅といいます。遊郭の最下層と言われる羅生門河岸で生まれ育った彼女は、「大人がたじろぐほど綺麗な顔」をしており、醜い兄・妓夫太郎にとっては、このうえない自慢の妹でした。梅にとっても、強くて、何があっても自分を守ってくれる兄は、絶対的な信頼を寄せるかけがえのない存在。彼女は人間だった時も、鬼になってからも、兄に守ってもらって生きてきたのです。

 非情で、やりたい放題、わがままこのうえない堕姫ですが、自分の気に入らないことや手に負えないことが続くと、泣いて兄に頼ります。音柱・宇髄天元に頸を斬られた堕姫も、まさにその状態。

 斬られた頸を抱えたまま、「わーん」と駄々っ子のように声をあげて泣き、「ほんとうにアタシは上弦の陸だもん 本当だもん 数字だってもらったんだから アタシ凄いんだから」と天元が唖然とするほどのギャン泣きぶりでした。

 そして、兄が登場すると、ボロボロと涙を流しながら、「アタシ一生懸命やってるのに 凄くがんばってたの 一人で……!! それなのにねぇ 皆で邪魔してアタシをいじめたの!! よってたかっていじめたのよォ!!」と、自分に都合のいいチクリをします。

 絶対に自分を裏切らない、兄の優しさを知っている「妹」だからこその言動がもっとも表れているシーンです。

※ここより先、この記事では、まだアニメ化されていないシーンの記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。

■義勇が「ざるそば早食い」に応じた理由が読み取れる?

●水柱・冨岡義勇の場合

 言葉が少なすぎて、人間関係がギクシャクしがちな義勇ですが、本人がそれを気にしているそぶりはあまり見られませんし、「俺は嫌われてない」とキッパリ言えるのは、彼が姉を持つ弟だったからなのかもしれません。

 義勇の姉は彼をかばい、鬼に殺されました。姉にとって義勇は、命をかけてでも守りたい存在だったのです。「だから自分は愛されるべき存在であり、嫌われるはずがない」とまで義勇が確固たる自信を抱いているのかどうかは分かりませんが、姉からたっぷり愛を受けて育ったのはたしかでしょう。

 そんな義勇の弟らしさが感じられるのが、柱稽古のお願いに来た炭治郎とのやり取りのなかでのことです。昔かわした大切な約束を思い出して硬直していた時、突然、炭治郎にざるそばの早食い勝負を挑まれ、引き受けてしまったシーンです。

「なんで?」と思いつつも、炭治郎の誘いに乗った義勇。それは、姉を持つ弟によくある、「姉のおぜん立てに素直に従う弟」の姿です。姉が「小さなママ」となって弟の世話を買って出るのはよくあることで、弟は人に世話をしてもらったり、おぜん立てしてもらったりするのは自然なことと刷り込まれます。

 炭治郎は義勇にとっては弟弟子ではありますが、長男としての意識は人一倍強く、フリーズした義勇に対して、「傷つけてしまった! 何とかしなければ!」と焦って出したのが、ざるそばの早食い勝負の提案でした。義勇がその提案に乗ったのは、そんな炭治郎の心に「弟」としての本能の部分でうっすら気付いていたからかもしれないという深読みもできます。

●不死川玄弥の場合

 玄弥の場合、もともと兄弟仲がとても良かったところ、母が鬼になって家族を襲うという惨劇のせいで仲に亀裂が入ってしまいました。しかしその後、玄弥は兄の実弥を追って鬼殺隊に入ります。

「刀鍛冶の里編」に続く「柱稽古」では、玄弥は兄と再会を果たしますが、お互いの気持ちがすれ違い、炭治郎も巻き込んでの大ゲンカになってしまいます。善逸が玄弥をケンカの現場から引き離そうとする際、善逸が言った兄の悪口に玄弥はブチ切れ……。「俺の兄貴を侮辱すんな!!」と鬼の形相で助けに入ってくれた善逸にパンチをさく裂させたのでした。兄にやられて逃げているのに、兄を悪く言うやつは許せないという、玄弥の分かりやすい「弟」らしい言動です。

※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記

(山田晃子)

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