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4月6日は「ジムの日」 悲運のMS、「ジャブローに散る」のイメージが強すぎた?

マグミクス / 2022年4月6日 6時10分

4月6日は「ジムの日」 悲運のMS、「ジャブローに散る」のイメージが強すぎた?

■やられ役だと思っていても、意外な実力を見せるジム

 本日4月6日は、数字の語呂合わせで「ジムの日」。『機動戦士ガンダム』に登場した地球連邦軍量産型MS「RGM-79 ジム」の記念日となっています。そこで、このジムについていろいろと紐解いてみましょう。

 ジムはGMとも表記されますが、「Gundam type Mass-production model」(ガンダム型量産機)の頭文字の略というのが一般的な説です。ほかにも解説によって、「General Mobile-suit」(一般的なモビルスーツ)、「Gundam Model」(ガンダム型)という表記もありました。

 いわゆる試作型MS(モビルスーツ)である「RX-78 ガンダム」の量産型というポジションでありますが、正確には少し違います。試作型として地球連邦軍の技術力の粋を集めたガンダムは高性能ゆえにコストを度外視していました。これをそのまま量産してもコスト的な問題で大量生産できません。そこで徹底的なコストダウンをし、性能よりも大量生産を念頭に置いたのが本機ジムというわけです。

 そうはいっても、基本となったガンダムの性能の高さから、コストダウンしてもジオン軍のMSに優る部分が多く備わっていました。特にロールアウト時にはジオン軍では実戦配備されていなかったビーム兵器を標準装備していた点だけでも、コストパフォーマンスが高いMSだったといえるでしょう。

 しかし、ジムにはどうしても「やられ役」というイメージがぬぐえません。それは当たり前で、主役と戦う敵を強く見せるため、その敵に簡単にやられる役というものが物語に必要です。その役をジムが担っているわけですから、やられ役というのはむしろジムの誇れるポイントなのでしょう。

 やられ役としてのジムがもっとも有名なのが、シャアのズゴックに胴体を貫かれるシーン。いわゆる「ジャブローに散る」です。多くのモデラーたちによって再現されたこのシーンは、誰もが目にしたことがあるでしょう。この初登場から活躍の場が与えられず、やられ役に徹したジムの心意気は多くの人の目に留まりました。

 こういった場面が記憶に残っているので、ジムは弱いと勘違いされていますが、けっしてそうではありません。前述した通り、もともとはガンダムの系譜なのですからむしろ高性能なMSでしょう。その証拠に、ジムはいくつかの媒体のガンダム作品で「主役」となったことがあります。

 たとえばゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』の第一章である『機動戦士ガンダム外伝1 戦慄のブルー』では、主役機もラスボスもジムでした。この他にも『機動戦士ガンダム外伝 コロニーの落ちた地で…』でも終始、主役機として活躍しています。

 ゲーム以外で印象深いのが、富士急ハイランドにあったアトラクション『GUNDAM THE RIDE ‐宇宙要塞A BAOA QU‐』で観客の乗るランチを護衛するという設定で活躍したジャック・ベアードとアダム・スティングレイの乗ったジムでしょうか。

 単なるやられ役としてだけでなく、時には主役になることもできるジム。ジオン軍のMSとはまた違った魅力のあるMSだと思います。

■70年以上にわたる「RGM」の歴史

一年戦争で活躍したジムを改修した「ジムII」は、主に『機動戦士Zガンダム』で活躍した。画像は「HGUC 1/144 RMS-179 ジムII (機動戦士Zガンダム)」(BANDAI SPIRITS)

 ジムの活躍は「一年戦争」だけにとどまりません。「RGM」の型式番号を継承した改良型や派生機が、後の宇宙世紀でも多く活躍しているからです。

 まずは「グリプス戦役」で多く登場した「RGM-79R(RMS-179) ジムII」。諸説ありますが、一年戦争で生きのびたジムを改修したジムIIがRGM-79R。それとは別にグリプスで新たに生産した機体がRMS-179 とも言われています。

 おもな改修点は全天周囲モニター・リニアシートの導入だったようで、武装の追加ではなく、装備の近代化が目的でした。そのため、ティターンズとエゥーゴの戦いが激化して新型MSが随時投入されるようになった状況についていけず、序盤の早い段階で戦場から姿を消してしまいます。

 このジムIIにさらなる近代化を施して延命させたMSが「RGM-86R ジムIII」。ジムIIのようなマイナーチェンジでなく、「ガンダムMk-II」などの技術を転用することで外見から大幅に変わっています。しかし、あくまでも改修前はジムIIだったことから、すでに当時の「第一次ネオ・ジオン抗争」では力不足だったことは否めず、生産数もそれほど多くありません。

 ちなみに雑誌企画『ガンダム・センチネル』に登場する「ヌーベル・ジムIII」は、完全な新規製造機だったそうです。つまり本来のスペックを持ったジムIIIが、ヌーベル・ジムIIIということになるでしょう。

 こうしてみると、ザクに付けられたI、II、IIIは何代目を表しているのに対して、ジムはバージョンを示しているという微妙な違いがあります。その代わり、ジムには名前こそ継いでいませんが、後継機がその後にわたって作り続けられている実績がありました。

 たとえば、グリプス戦役でエゥーゴ側が主力とした「MSA-003 ネモ」。ジム系列では珍しい重厚感を持つデザインで、見た目からジムのパワーアップタイプというイメージがあります。もっとも「RGM」でないことから、直系とは言いづらいかもしれません。

「第二次ネオ・ジオン抗争」から30年近くの間、前線で活躍した長寿の機体が「RGM-89 ジェガン」。細身でジム以上にシンプルな作りですが、それゆえに改良型が多く登場しています。まさに量産型らしい基本に忠実なMSかもしれません。

 このジェガンと同時期に「RGM-88X/RGM-90 ジェダ」というMSがあります。当初はリ・ガズィ以前にアムロ・レイが搭乗していたジェガンのプロトタイプのひとつとされていましたが、最近では設定変更によりジェガンより高性能だったが、コストの問題で正式採用が見送られたということになりました。

 やはりジェガンと近い時期に製作されたのが「RGM-96X ジェスタ」。本来はユニコーンガンダムのサポートをするために開発されたジェガンの上位機種です。ジム系列とは思えない重厚感のあるデザインで、ラー・カイラム所属のトライスター小隊で使用されていました。

 MSが従来よりも小型化された時代にもジム系列は登場しています。それが「RGM-109 ヘビーガン」。従来のMSの問題点だった戦闘継続時間延長、コスト削減効果など、小型MSの性能として一定の評価は得ましたが、満足いくものではなかったと設定されています。

 この後、「ザンスカール戦争」で見ることになる「RGM-119 ジェムズガン」や「RGM-122 ジャベリン」など、ジムが登場した一年戦争から70年以上の時が経ってもなお、その後継機は戦場で運用されていました。

 主役機であるガンダムの陰に隠れがちですが、ジムもまた後続の機体に影響を与えた名機だったと言えるかもしれません。

(加々美利治)

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