残業中、部長に怒られてると思いきや？ 1Pマンガに「理想の上司！」

■部長の声が小さくて、ネガティブな言葉にだけ反応してしまう部下！

　会社で残業中の吉田くんのところへ、部長が「いつまでやってるの！？」と登場。続く部長の言葉に、「怒られてる」と思った吉田くんですが、よくよく聞いてみると……？

　根田啓史さん（@dorori_k）がTwitterおよびpixiv FANBOXにて1ページマンガ『ネガティブな単語にしか反応できない部下と、声が小さい優しい女上司』シリーズを投稿中です。部長の言葉が、怒られているように聞こえてしまう吉田くん。でも実は部下思いの優しい部長なのです。

　読者からは「好き」「優しい」「理想の上司」「うれしいけど心臓に悪い」「ネガティブな部分しか聞き取れないのめっちゃ分かる」「部下になりたい」「続きが楽しみ」などの声があがり、Twitter投稿には3万いいねを超える反響がありました。

　作者の根田啓史さんに、お話を聞きました。

ーー『ネガティブな単語にしか反応できない部下と、声が小さい優しい女上司』シリーズのお話はどのようにして生まれましたか？

　かれこれ1年ほど前になりますが、Twitterの仕様変更でサムネイルの表示方法が変わりました。具体的に言うと、1枚イラストが大きく表示されるようになり、4枚パネルの自動トリミングが停止されました。4ページマンガより、1枚絵の方がタイムラインの専有面積が大きくなるという状況です。

　それってそもそもタイムラインの画像枚数自体が減ることにもなるので、Twitterマンガ界にとってはとてもネガティブな変更だったと思います。ただ、環境に文句を言って何もしないのは性格的に嫌なので、逆に仕様に合わせてみようとずっと思っていて、やっとその時間がとれたのが今でした……（汗）。

　だから、ネタよりも「1ページマンガ」ありきで始まった企画です。1ページマンガをTwitterで自分がやるならどんなのがいいのかな？　というところと、最近クリエイター支援サービスのFANBOXに力を入れているので、そこへの導線が引きやすい企画を……という、ガチガチに事情先行のマンガになってしまいました……。

　創作物としてはあまりいい姿勢ではないかもしれませんが、でも結果的にわりと気に入っているので続けてみています。

遅刻した部下に、部長の言葉は？（根田啓史さん提供）

ーー1ページで上司と部下の特徴が分かりやすく表現されていますね。ふたりの描写で工夫なさった点を教えて下さい。

　これに関しても事情先行なのですが、1ページマンガはタイムライン上で読めてしまうので、画像やプロフィールをクリックする前に流れてしまうなと思っていて……。目をとめて「こんなすごい絵いったい誰が描いたの！？」って思えるくらいすごい1枚絵を描ければいいのですが、自分はそういう作家タイプではないと思うので、何か仕掛けを作ってちゃんとマンガを読んでもらいたいなと思っていました。

　方法として、見切れていることと、拡大しないと見えないってのが、手を止めるきっかけになるかなと思って、自分は後者を選びました。

　初め、タイトルを『叱られてると思ったら褒めてくれてた女上司』にしてたのですが、意図があんまり伝わってないなと思ったので、タイトルを変えたり、フォントに差をつけたりして、だんだんしっかりさせていきました。自分はいつも詰めが甘いので、読者や周りの人に助けられて細部を詰めています。

　でも一応結構キャラ設定もあって、主人公たちは社内SE、システム保守・運用部署。給料はそれなりに良くて、国の指導とかで社内のホワイト化が大きな目標のひとつになっている大企業。部長は帰国子女。社内DX化のため、若い彼女が社外から部長として配属された。10人程度の部署で、40〜50代の部下もいる。言葉のチョイスがおかしく、ところどころ声が小さいので怒られてる気分になるが本当は優しい。

　……これは一部ですが、メモ書きとしてストックしてあります。いつかそこらへんにも触れられるくらい続けられたら面白いかもなとは思うのですが、「いいね」数次第ですね……。

ーーたくさんの感想が寄せられています。特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

　いろいろ事情先行でお話しましたが、読者さんの反応に関しては、「こんな上司欲しい」って言ってもらえるのが素直に一番うれしいです。結局目的はマンガを読んでもらいたいだけで、そのための仕掛けを自分なりに考えているだけなので。ただ、マンガの仕掛け自体にも気付いてくれている人もいて、それはそれでうれしくもあります。

ー−Twitterではさまざまなタイプの創作マンガを発表なさっていますが、今後の創作活動でやってみたいことについて教えて下さい。

　自分はひとつのことに全く集中できないタイプで、結果的に効率が悪かったとしても、いろいろやっていないと先に進めません。

　だから、その性格を逆に強みに変えられるような座組を考えていて、いろんなタイプの人にマンガを読んでもらったり、いろんなタイプの作家さんのインスピレーションになる活動ができたらなと願っています。

（マグミクス編集部）