ヘタレ・臆病キャラが勇気を振り絞った、マンガの名場面5選 姑息でも借りは返す!
マグミクス / 2022年4月10日 13時10分
![ヘタレ・臆病キャラが勇気を振り絞った、マンガの名場面5選 姑息でも借りは返す!](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_85807_0-small.jpg)
■自分で「無能」だと思っていたけど部下からの信頼は厚かったペンウッド卿
マンガで精神力の強い主人公やメインキャラが誇り高く戦う姿は、読者の心を熱くしてくれます。その一方で、普通の人間に近い「臆病」「姑息」な一面を持つキャラが精一杯の勇気を見せる場面も、その結果はどうあれ感動を与えてくれます。今回は極限状態で意地を見せた5人のキャラを振り返ります。
●『ONE PIECE』……Mr.3(ギャルディーノ)がルフィに「借りを返す」
王下七武海・クロコダイル配下の秘密犯罪組織「バロックワークス」で、「Mr.3」として暗躍していた男・ギャルディーノ。「蝋」を体から出して操る「ドルドルの実」の能力を持つ彼は、「姑息な大犯罪」をモットーに活動し、アラバスタ編ではクロコダイルに見捨てられたのちに逃げ出します。その後の扉絵連載では、海軍から逃亡している最中に、捕まったミス・バレンタインを見捨てようとしました。
そんな卑怯者なMr.3は、インペルダウン編で本編に再登場。ルフィが起こした騒動に乗じて逃げ出そうとするのですが、かつて敵だったルフィの優しさに触れて、彼はだんだん良心が痛むようになっていきます。そして、インペルダウン署長のマゼランが「ドクドクの実」の「ヒドラ」でルフィを攻撃した際、ついにMr.3は強靭な蝋の壁を作ってルフィを守るのです。
「今の内に行け!私の諦めは早いぞ!借りの作りっぱなしはゴメンだガネ!」
典型的な姑息キャラだったMr.3の男気と名言に、感動した人も多かったのではないでしょうか。その後、ボン・クレーの捨て身の犠牲を受けてみんなと一緒に涙を流したMr.3は、「頂上戦争」にも同行。大一番の場面で蝋のカギを作り、ルフィのエース奪還に協力する活躍を見せています。
●『HELLSING』……シェルビー・M・ペンウッド卿の最後の「仕事」
カルト的人気の吸血鬼バトルマンガ『HELLSING』には、敵も味方もクセが強すぎるキャラがたくさん登場します。そんななかで、ごく平凡な男として描かれていたのが、英国安全保障特別指導部の提督を務めるシェルビー・M・ペンウッド卿です。家督で地位を継いだ人物で気弱な中年男性の彼は、インテグラらから内通者と疑われたこともありました。
しかし、物語中盤で「最後の大隊」がロンドンを襲った際は、自分のことを「無能」「臆病者」と言いながらも、勇気を振り絞り基地に残って最後まで指揮を執ります。部下たちには自分を置いて退却するように言いますが、部下たちも「コンソール一つすら動かせないでしょ」と軽口を叩きながらその場に残り、運命をともにしました。
最期は吸血鬼たちとともに自爆し、「人間」として散ります。インテグラに「この仕事だけは全うしなきゃならんと思う」と語る場面も、名シーンとして有名です。
■カイジに大きな影響を与えた石田さん
石田さんがカイジに遺志を託し無言で落ちていく『賭博黙示録カイジ』8巻(講談社)
●『花の慶次-雲のかなたに-』……慶次たちを見て大きく成長した村井陽水
戦国一の傾奇者(かぶきもの)、前田慶次の活躍を描いた『花の慶次-雲のかなたに-』では、慶次の生きざまに惚れた人間の成長も見どころでした。そんな同作で初期に大きな成長を見せたのが、前田家家臣・村井若水の息子・陽水です。口だけは達者な臆病者として登場し、初陣の末森城救援の途中で逃げ出そうとして、慶次にも父にも殴られます。
しかし、その後陽水は若水から自分もかつていくさから逃げたことを聞かされ、慶次にっも「いいさ!」と逃げることを促されるのですが……。翌朝、陽水は戦いを前に踊っている慶次たちのもとに、「みんなバカだよ」「そんなんじゃ…おれ…行けねえじゃねえかよ!!」と号泣しながら戻ってきます。
その後、慶次の活躍と利家の率いる軍の加勢で末森城は救われます。しかし、もともと利家の軍令に背いていた慶次は、利家と一戦交えようとしていました。若水はそんな慶次を救おうと、切腹を決意。すると陽水は、利家のもとへ喧嘩に向かう慶次を引き留め、酒の飲み比べを挑みます。超酒豪の慶次には当然敵いませんが、それでも慶次を助けたい父の気持ちを尊重してほしい彼は、死にかけながら酒を飲み続けました。そんな陽水の心意気は慶次や助右衛門らを動かし、村井親子の命は救われます。精一杯の男気と父への愛を見せた陽水の成長エピソードは、涙なしでは読めません。
●『GANTZ』……ラストミッションで覚醒した稲葉光輝
SFバトルマンガ『GANTZ』の終盤、大きな成長を遂げたのが、新宿で和泉に殺されたのちにチームに加わったデザイナー・稲葉光輝です。臆病な性格でミッションでは逃げ回ってほとんどポイントを取れず、リーダーでレイカに好かれている玄野に嫉妬して訓練もサボり続けるなど、ずっと情けない姿をさらしていました。
しかし、ガンツのラストミッションとして送りこまれたイタリアで、稲葉は覚醒します。それまでの敵の強さをはるかに上回る美術品の姿をした星人たちを前に、ずっと自分を気にかけてくれていた鈴木が瀕死状態にされ、稲葉は彼を助けようと別人のような奮闘を見せるのです。明らかに強そうな巨大星人も撃破しますが、最後はダヴィデ星人に踏みつぶされ死亡。しかし、彼が最後に見せた意地は、玄野の心に残り続けました。ほとんどネタ要員のような扱いからのまさかの大活躍で、大きく印象に残るキャラです。
●『賭博黙示録カイジ』……お人好しで臆病な石田光司の最後の勇気
ひと癖もふた癖もある『カイジ』の登場人物のなかで、典型的なお人好しとして描かれていた中年・石田光司。エスポワールで行われた「限定ジャンケン」ではあっさり別室送りになりますが、カイジに見せた優しさもあって、ギリギリ救われることになります。
優柔不断かつ、その後スターサイドホテルでカイジを見つけた際も、彼がライバルという自覚なく普通に再会を喜ぶなど、明らかにギャンブルに向いていない人間でした。しかし、迎えた究極のゲーム、地上74メートルの「電流鉄骨渡り」で、石田の人間性が大きく光る名場面がやってきます。
ひとりが恐怖に負けて鉄骨から落ちたことで、挑戦者たちは連鎖的に落下。石田も足の震えが止まらなくなります。しかし、彼は一時的に体勢を立て直すと、自分の1000万円券を目の前のカイジに託し、自分の家族を救ってくれと頼むのです。そして、石田は自分の一生を無駄だったと卑下しながらも、カイジを「勝てる人間だから」と鼓舞します。
その後、最後にカイジが言葉をかけようと振り返ると、石田の姿はいつの間にか消えていました。カイジを動揺させないように、最後に必死で悲鳴をこらえて落ちていったのです。最後の最後に自分以外の人間を案じて行動した石田さんの矜持はカイジを覚醒させ、その後も強い影響を与えています。
(マグミクス編集部)
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