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アニメ化40周年の『パタリロ!』 誰もが一度は踊った「クックロビン音頭」が誕生

マグミクス / 2022年4月8日 7時27分

アニメ化40周年の『パタリロ!』 誰もが一度は踊った「クックロビン音頭」が誕生

■ファンから「アニメ化はない」と思われていた理由とは?

 本日4月8日は、40年前の1982年に『パタリロ!』がTVアニメとして放送された日です。当時、人気マンガとして有名な作品でしたが、アニメ化は期待されながらも「できない」と、ファンにも危惧されていた問題が作品にありました。

 本作はギャグマンガとして、少女マンガ雑誌「花とゆめ」(白泉社)で1978年から連載を開始しています。しかし、その内容はギャグにとどまらず、スパイアクションやオカルト、推理ものミステリーなど、さまざまなジャンルを「笑い」という形でまとめた秀逸な作品でした。

 この作品のアニメ化が不可能と言われていた最大の要因は、レギュラーキャラであるバンコランとマライヒが男同士のカップルだったことです。さらに、その熱愛シーンもふんだんに描かれており、当時の比較的ゆるい倫理規定でもアニメ化は実現不可能だと誰もが思っていました。

 ところが、その問題作がTVアニメ化され、しかも家族が視聴するゴールデンタイムの木曜19時に放送が決まります。当時のファンのほとんどが、TV化にあたって大幅な改変をされるだろうと考えていました。もちろん筆者もです。

 しかし、スタッフはこのむずかしい問題から目をそむけず、ほとんど原作マンガにそった作品としてアニメを制作しました。当時の流れ的にはアニメ化でマイルドにするといった手法も少なからずありましたが、あえて原作マンガの持つテイストをそのままアニメ化するといった方向に、ファンは喜びます。

 もっとも、スタッフにも試行錯誤はありました。実はマライヒ役は男性声優で最初は決まりかかったそうです。ところが、原作者である魔夜峰央先生によると、これが不評だったので一休さんなどの男の子の声でも定評のある藤田淑子さんを起用したと語っていました。藤田さんも当初は少年のような声を試したところ納得できず、少女の声に落ち着いたと語っています。

 この他にも、バンコランと恋に落ちる美少年役が本作には多く登場していますが、「女性に間違えられるような美少年役の声優は女性にする」というスタッフの考えで、すべて女性声優が演じていました。余談ですが、初登場時のヒューイットもムーミンママなどで知られた谷育子さんが演じていましたが、ロリコンネタがひどくなるころには男性声優に代わっています。

 こうした人気マンガをそのままTVアニメにするといった方向性が、シュールなイメージな本作の雰囲気をそのままお茶の間に届けることになりました。その結果、本作はアニメからも多くのファンを生み出すことになります。

■誰もが踊ったクックロビン音頭

1983年に公開された劇場版『パタリロ! スターダスト計画』DVD(東映ビデオ)

 本作でもっとも印象に残るのは、やはり「クックロビン音頭」ではないでしょうか?

 このクックロビン音頭は、連載中から人気のあった定番のギャグ。どんなシリアスな空気も一瞬で変えてしまう威力がありました。いわゆる人気ギャグマンガで定番と言われる決めフレーズのひとつです。アニメ化される前からファンには、人に聞かせることはしませんでしたが、それぞれ自分の考えた曲調があったことでしょう。

 それがTVアニメ化で正式に作曲されて、和風の音頭として形になったわけです。もっとも、アニメスタッフも試行錯誤があり、序盤のアニメではアカペラでゆっくりとした曲調のクックロビン音頭が何度か披露されていました。

 アニメでは時間帯が土曜日19時半からになり、タイトルが『ぼくパタリロ!』と改題された3クール目以降からエンディング曲として使用されています。タイトルから察せるように、やや子供向けの方角に舵を切りました。

 もともとクックロビンとは、英語圏の童謡であるマザー・グースの一篇で、よくミステリーで「見立て殺人」などに使われているもの。これをギャグに転化する魔夜先生のセンスは素晴らしいと思います。

 ちなみに、この歌を歌うのはパタリロ役の白石冬美さんと、当時の人気男性声優グループのスラップスティックでした。そのメンバーはバンコラン役の曽我部和行さんや、タマネギ部隊を演じた野島昭生さん、古川登志夫さん、古谷徹さん、三ツ矢雄二さんという豪華声優陣です。

 本作はその後、また番組改編期である4月に金曜19時の放送枠に移動しました。これは局側の番組編成上の都合だったようで、本作の人気とは関係ありません。むしろ視聴率はどの枠でも一定評価以上で、その人気には陰りがなかったそうです。

 その証拠に、本作の終了後、劇場用アニメ『パタリロ! スターダスト計画』が1983年7月10日に公開されました。むしろ惜しまれて番組を終了した作品と言えるでしょう。

 連載は現在も続いており、掲載誌はいくつか変わりましたが、現在は電子書籍の『マンガPark』にて連載中。その連載期間は少女マンガ界のギャグマンガとしては最長で、コミックスの巻数では少女マンガ最長を記録中です。近年にはミュージカル作品として舞台化され、そのキャストをスライドする形で実写映画化もされました。こういった事情を考えると、本作には一定層の固定ファンが多いと思われます。

 アニメ放送当時の爆発的な人気もスゴかったですが、現在まで長期連載を続けるほどの浸透力はさすが一時代を築いた人気作品ならではのもの。ちなみに筆者は、今でもクックロビン音頭を聞くと条件反射で踊ってしまう自信があります。

(加々美利治)

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