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『シャーマンキング』のハオは「究極のかまってちゃん」? ラスボスの内面を読み解く

マグミクス / 2022年4月9日 12時10分

『シャーマンキング』のハオは「究極のかまってちゃん」? ラスボスの内面を読み解く

■ハオの孤独を理解していた麻倉葉

 2022年4月7日放送のTVアニメ『シャーマンキング』第50話。いよいよ放送も残り2話となりました。それだけに、重要な情報が凝縮しています! 今回は筆者がこれまで数回にわたって記事で取り上げてきたことの集大成と言ってもよい回で、さまざまな答えが示されていました。

 まず、ハオが持つ「心を読む能力」について。「いつも誰かの顔色ばかりうかがって生きてきた」乙破千代(おはちよ)の能力をハオが身につけられた理由は、ハオもまた同じ内面を持っていたからでした。そしてオパチョが葉たちと同行するのを許していたのは、ハオが「究極のかまってちゃん」だからだと、ホロホロがズバリ言っています。

 つまりアンナが言う「臆病で執念深い、かわいい小者」であるハオは、自分を理解して欲しい、受け入れて欲しいと願っているものの素直に言えず、同じ能力を持つオパチョを葉たちに預けて擬似的な仲間にすることによって、遠回しにメッセージを送っていたということになるのだろうと思います。

 ハオ組はハオが不幸な境遇にある者たちを集めて作りましたが、本当に彼が求めていたのは上下関係ではなく「仲間・友達」だったのでしょう。しかし彼の素直になれない性格や根底にあった強すぎる復讐心、絶対的な力の差はそれを許しませんでした。心を読む能力も、知られれば誰もが去って行くと思えば言えませんでした。その寂しさを吐露したこともあります(第44話)。

 そんななか、自己を確立していたラキストや同じ能力を持つオパチョは、ハオの能力をまったく恐れないので離れていかない……だから信頼できて好きだということになるのでしょう。ここまでハオの内面を理解できれば、彼がシャーマンキングになるのを阻止できるかどうかはともかく「執念という魔王」からは救い出せそうな気がします。そうなれば、ハオが普通の人間への恨みから望んだ「シャーマンキングダムの建国」も阻止できることになります。

 なお麻倉葉が、ハオのシャーマンキング即位を止めることと、ハオの野望を阻止することのどちらを重視しているかと言えば、恐らく後者です。葉はハオの代わりのシャーマンキングには誰がなっても構わないと言っていました(第46話)。

 それでは次に、第48話でチョコラブが知りたがっていた道蓮(タオ・レン)の強さの理由など、仲間たちについて掘り下げたいと思います。

■ホロホロと道蓮が受け入れた「想い」とは?

アニメ50話では、ホロホロの過去と力の原点が明かされた (C) 武井宏之・講談社/SHAMAN KING Project.・テレビ東京

 前回の記事で筆者は「本作はずっと想いを受け入れることの大切さを説いていた」と書きました。今回のホロホロは「自分を縛っていた後悔の念」を受け入れたと言えるでしょう。

 ホロホロの本名・碓氷ホロケウは何度か劇中に登場していますが、彼がその名を嫌う理由は謎でした。第40話でハオは、神の名をもらったホロホロはその名に宿る言霊(ことだま)によって高い潜在能力を持っていると評価していますし、その片鱗はガンダーラ戦でも見せているのに謎は残ったまま……。今回その名前にダム子の死が紐付いていたとわかったことで、納得できましたね。そしてホロホロはその時よりも心が成長しており、カリムの愛ある挑発で全てを受け入れることができたと思えるのです。

 次は道蓮です。突如新技「エレキBANG(バン)」を生み出した彼に何があったのか。筆者の解釈では、蓮は憎しみの連鎖を断ち切り「不迷(まよわず)」の誓いを実践する具体的な方法に思い至り、それを心に刻んだ(受け入れた)ことで大きく成長したのです。

「方法」とは「向けられた恨みを受け止めきれるほど強くなること」と「憎しみの想いから逃げずに悩みきること」です。蓮らしく真正面から向き合おうという結論です。ただ彼にもまだ未熟な面があり、それは「仲間と愛」の存在が忘れられている点です。

 蓮はニクロム戦の前に葉の考えを代弁する形で、ハオを倒す唯一の手段は助けること、それがシャーマンファイトの真の意味だと言っています。これを素直に解釈すると「シャーマンキングを裸の王様にしないために、愛情で繋がった物申せる強い仲間が必要だ」「自分たちがそうなるべきだ」となり仲間の大切さを述べていると思われるのですが、ニクロム戦の後、蓮は自分に向けられた憎しみは全部ひとりで受け止めなければいけないと思っていて、葉に諭されます。蓮の生い立ちを考えれば無理もなく弱音を吐くだけでも十分な成長ですから、微笑ましい場面でもありますね。

 なお蓮が成長した直接のきっかけは、アイアンメイデン・ジャンヌによる蘇生だったと筆者は考えています。ジャンヌ離脱の原因を作ったひとりとして彼女の想いを受け止めようとした際に、「誰かのために強くなる、勝つ」ことを強く意識したのではないでしょうか。

 それでは今回はこの辺で。またよろしくお願いします!

●タシロハヤト 
美少女ゲームブランド「age(アージュ)」の創立メンバーで、長らくシナリオ、演出、監督等を務める。代表作は「君が望む永遠」シリーズ、「マブラヴ」シリーズ。現在はフリーで活動中。『シャーマンキング』の作者、武井宏之氏と旧知の関係である縁から、同作の20周年企画に参加している。

(タシロハヤト)

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