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『マインドシーカー』は今では許されない怪作? 「超能力開発ソフト」の中身は運ゲー

マグミクス / 2022年4月11日 6時10分

『マインドシーカー』は今では許されない怪作? 「超能力開発ソフト」の中身は運ゲー

■ゲーム史上唯一の「超能力開発ソフト」は運試し?

 ゲーム開発者は「ゲームで何ができるのか」「何がゲーム化できるのか」というゲームの可能性というものを追求し続けてきました。試行錯誤の過程でさまざまなゲームジャンルが誕生し、今に至るわけです。

 さて、ここに後にも先にも同様のゲームがないと言い切れる怪作があります。ファミリーコンピュータ(以下、ファミコン)向けにナムコが発売した「超能力開発ソフト」である『マインドシーカー』です。

 カセット裏に「君が持っているはずの超能力を開発しよう」と堂々と記載されている本ソフトは、コマンドアドベンチャー形式で「超能力開発」を進めていくという内容です。ユリ・ゲラーから始まった「超能力ブーム」の際に、TV番組に超能力者として出演していた清田益章氏が本作の監修を務めており、ゲーム上でも「エスパーキヨタ」としてプレイヤーにさまざまなアドバイスを送ってくれます。

 さて、「超能力開発」とはなんぞや? と早速突っ込まれるかと思いますが、本ゲームには「透視」「念力」「予知」の3つのジャンルに分けられた超能力イベントが存在します。例えば、「透視」は裏に向けられたカードの種類を当てるイベント、「念力」はスプーンを曲げるイベント、「予知」は次に光るランプを当てるイベントです。これらのイベントを成功させると、「サイレベル」という超能力の習熟度を表したレベルが上がっていきます。

 ただ、これらのイベント内容が本作を怪作たらしめる理由となっています。「透視」「予知」はゲーム的には5択のなかから正解を選ぶ問題です。しかし、超能力で当てるというコンセプトゆえに正解のヒントが全くなく、事実上「運」で当てるだけの選択問題です。

「念力」に至ってはボタンを押す以外やることがなく、成功判定は完全にランダム。「○○回中○○回念力を成功させろ」とノルマが下されるのですが、全て「運」にゆだねられています。プレイヤーはひたすら画面上のスプーンの曲がる曲がらないをボタンを押しながら見守り続けることになります。

「サイレベル」を最大まで上げると、ゲームの目的である「最終試練」に到達できるのですが、この試練がとてつもなく難関です。ひとつ目の扉を「念力」でこじ開け、連なる次の扉を「透視」で的中させ、最後の扉もまた「念力」でこじ開けるという内容を連続で成功させる必要があり、とてつもなく低い成功確率ゆえによほど「運」が良くない限り膨大な試行回数が必要となります。逆に言えば「運」でクリアできるので、トライ&エラーを繰り返せば、いずれエンディングを拝めるということでもありますが……。

■開発者は案外本気だったかも…本作の発売が「許された」時代

「超能力開発」でスプーン曲げができるようになったのだろうか?(画像:Photo AC)

 先述したように、本作の実態は超能力がないであろうプレイヤーでも何度もリトライすればいずれクリアできる「運ゲー」です。その内容と「超能力開発」という荒唐無稽なテーマの本作は、プレイしたユーザーの間で長年「ネタ」として扱われてきました。

 しかし、当時のゲーム雑誌を読む限り、紹介記事にゲーム内容を茶化すようなニュアンスは見当たらず、「超能力開発ソフト」として宣伝されています。思えば、ゲーム内容自体も随所に「開発者側は本気なのでは?」という部分が見受けられます。

 ゲーム冒頭で「エスパーキヨタ」から呼吸法やリラクゼーションの指導を受けるのですが、この内容自体は至って真面目です。ゲームクリア後のエンディングメッセージも多分にスピリチュアルなものですが、ふざけている印象は受けません。超能力でゲーム内の乱数を操作できることを想定していたというウワサもあります。

 本作の発売年である1989年は、スピリチュアルやオカルト的なものに関して今より遥かに大らかであったかと思います。そういった時代背景が生み出した産物なのかもしれません。

 もしかしたら、開発側は案外本気だったかもしれない「超能力開発」というコンセプト。どちらにしても、二度と同様のゲームが出ることはないでしょう。機会があったら「運」試しにプレイし、合わせて本作の発売が許された当時の空気感を味わってみるのも一興かと思います。

(Nuruhachi)

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