懐かしの「ゲームブック」の思い出 ズルして遊ぶ、激ムズ『ドルアーガの塔』で挫折…
マグミクス / 2022年4月16日 6時10分
■本1冊で「ファミコンのゲーム」が遊べた!
1980年代前半――日本でファミコンが発売されて一大ブームを巻き起こす少し前に、イギリスで「ゲームブック」が産声を上げました。
ゲームブックは数十、数百以上の数字がつけられたパラグラフ(段落)で構成されている書籍で、各パラグラフの末尾に記された数字のパラグラフを読み進めることで、さまざまに分岐する物語や結末を楽しめます。
巻頭や巻末に付属する専用のシートに装備や持ち物、キャラクターの強さなどを適宜記入し、作品によってはサイコロの目で行動の成否や敵に与えるダメージなどを決定します。
双葉社の「冒険ゲームブックシリーズ」からは、ファミコンのブームにあやかった大ヒットタイトルのゲームブックが続々とリリース。『ゼルダの伝説』や『ドラゴンクエスト』などのファンタジー作品はもちろん、『スーパーマリオブラザーズ』や『がんばれゴエモン』など、ストーリー要素が強いわけではないアクションゲームを扱ったゲームブックも発売されました。
筆者も小学校低学年の頃にゲームブック『スーパーマリオブラザーズ マリオを救え!』や、『ドラゴンクエスト 蘇る英雄伝説』を遊んだ覚えがあります。『マリオを救え!』は現代に生きる普通の少年がゲームの世界に飛び込んでマリオを助けにいくという物語になっており、今風にいうなら「異世界転移」の一種でしょうか。
『蘇る英雄伝説』は、それに比べるとファミコンの版『ドラクエ』に忠実な物語でしたが、当時の筆者はタイトルの「蘇る」が読めず、漢字の読み方を親に教わるところからのスタートでした。今思うと、そんな状態でよく遊んだものだと自分のことながら感心します。
■ゲームブックなら「セーブ」や「ロード」、はては「チート」も思いのまま!
ゲームブックの巻頭や巻末に付属するキャラクターシート(アドベンチャーシート)と筆記具とサイコロ。ゲームブックを遊ぶときの三種の神器です
本を手にひとりで遊ぶという性質上、ゲームブックはちょっとしたズルも簡単に行えました。分かれ道でどちらに進めばいいか迷ったらそのページに指を挟んでおいて、両方の選択肢をチェックしてしまう、戦闘ではサイコロでいい目が出たことにしてしまう、まだ所持していないアイテムも持っていることにしてしまう……。やりたい放題です。
ビデオゲームで例えると、難度を「イージー」にして遊んだり、データのセーブとロードを駆使して複数の選択肢を全部試してみたり…という感じでしょうか。これらは今日のビデオゲームにはあって当然の機能ですが、当時のファミコンタイトルではむしろないのが当然でした。一部のタイトルで、パスワード入力によるデータのセーブ・ロードができたくらいです。
成否の判定や戦闘の勝敗をごまかす遊び方にいたっては、今でいうなら「チート」でしょうか。とはいえ、ソロプレイ専用の非電源ゲームでやる分には、誰にはばかる必要もありません。
しかし、ゲームブックのなかにはそんな小手先の遊び方では歯が立たないほどしっかり作り込まれたものもありました。そのひとつが、1986年に東京創元社から出版された全3巻のゲームブック「ドルアーガの塔」です。
ゲームブック版で主人公のギルが挑む塔もビデオゲーム版と同様に全60階で構成されており、各巻で20階ずつ踏破する構成になっています。筆者は方眼紙を用意して自分なりにマッピングしながら挑みましたが、あえなく第1巻で撃沈しました。ほろ苦い思い出です。
そんな本格派激ムズゲームブック『ドルアーガの塔 悪魔に魅せられし者/魔宮の勇者たち/魔界の滅亡』全3巻はKindleで電子書籍化されています。かつてゲームブックに触れていた方、歯ごたえのある冒険を望む方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか? 筆者も再挑戦したくなりました。さすがに今ならクリアできるはず…!?
(蚩尤)
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