読み切りから生まれたジャンプ人気マンガ4選 連載版にはない驚きの設定も振り返る
マグミクス / 2022年4月27日 11時50分
![読み切りから生まれたジャンプ人気マンガ4選 連載版にはない驚きの設定も振り返る](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/magmix/magmix_88525_0-small.jpg)
■読み切り版には、本編にはない設定やアイテムが登場する
ジャンプ作品のなかには、以前より「好評だった読み切りをもとに連載をスタートさせた」というケースが見られます。大ヒット作『ONE PIECE』も、かつては「ROMANCE DAWN」という読み切りとして掲載されており、無法に略奪する海賊「モーガニア」と、モーガニアをカモとする海賊「ピースメイン」の2種類が存在する……という設定の物語が描かれていました。
そんなジャンプのヒット作とプロトタイプとなる読み切り版は、比較するとさまざまな違いが確認できます。今回は、そんな読み切りと本編の違いに注目しました。
●本編にはないアイテム「デスイレイザー」の効果とは?『DEATH NOTE』
名前を書くだけで死んでしまうノートを巡る頭脳戦を描いたマンガ『DEATH NOTE』。緻密なシナリオと美麗なイラストが魅力的な同作は、国内外で複数回にわたって映像化され、今なお人気を誇っています。
そんな『DEATH NOTE』は、2004年1月号で本編連載が始まる少し前の、2003年36号で読み切り版が掲載されていました。読み切り版の主人公・鏡太郎は平凡な男子中学生。ある日、道端に落ちていた謎のノートに、日記として自分をいじめていたクラスメイトの名前を書き込むところから物語が始まります。
連載版『DEATH NOTE』の主人公といえば頭脳明晰すぎる天才・夜神月でしたが、鏡太郎は英語が苦手で、ノートの名前すらもわからない状態でした。さらに意図せずクラスメイトをノートによって殺してしまったことに動揺するなど、月に比べて年相応の少年として描かれています。
そんな鏡太郎に、リュークはノートに書かれた名前を消すことで対象者を蘇生できる消しゴム、「デスイレイザー」を渡します。もし本編にもデスイレイザーがあった場合、物語は大きく変わっていたかもしれません。
●大人の事情で名前が変更!『地獄先生ぬ〜べ〜』
学園ドラマにホラーやコメディ、バトルとさまざまな要素が詰まったマンガ『地獄先生ぬ〜べ〜』。アニメ化や実写ドラマ化もされた同作の読み切り版は、なんとタイトルが『地獄先生ぬ〜ぼ〜』でした。
主人公の名前や職業は連載版と変わりませんが、あだ名が「ぬ〜ぼ〜」であること、髪がより短いという点が異なります。あだ名については、当時販売されていた森永製菓のチョコレート菓子と名前が同じだと指摘され、「ぬ〜べ〜」へと改題されたのだとか。
また、読み切り版や連載初期でのぬ〜べ〜は、除霊率が30%程度(子供たちを守る際には100%)という設定でした。しかし、本編ではだんだんと、悪霊や妖怪を次々と倒す腕利きの霊能力者として描かれるようになっています。それでも普段は万年金欠でドジなキャラとして描かれており、そんな主人公が恐ろしい悪霊や妖怪には勇敢に立ち向かえるというギャップが、人気につながったのかもしれません。
■読み切り版の設定やキャラクター造形が、本編にも引き継がれていることも
●読み切り版の主人公は虚弱体質の会社員!『僕のヒーローアカデミア』
ジャンプの看板作品のひとつ『僕のヒーローアカデミア』にも、プロトタイプとなる読み切り版『僕のヒーロー』(「赤マルジャンプ2008 WINTER」に掲載)がありました。『僕のヒーロー』はヒーローが日常に存在し、それぞれのヒーローが事務所に所属しているという設定の物語ですが、これはそのまま「ヒロアカ」にも引き継がれています。『僕のヒーロー』の主人公は、虚弱体質のサラリーマン・緑谷弱(みどりや・ジャック)。本編の主人公、「デク」と苗字と髪型だけでなく、「体質が原因でヒーロー免許を取得できなかった」という点が共通しています。
作者の堀越先生は、過去の連載作品が短期間で終了したことから創作意欲が落ちていたものの、描きやすかった『僕のヒーロー』をもとに『ヒロアカ』の構想を作成。自身の好きなヒーローものを描くという原点に回帰した結果、大ヒット作が生まれたという背景があります。『僕のヒーロー』がなければ、『ヒロアカ』も生まれなかったと考えると、非常に重要な作品といえるでしょう。
●2度の読み切りが本編連載につながった!『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』
実写版も大ヒットしたマンガ『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』にも、プロトタイプとなる読み切り作品『るろうに -明治剣客浪漫譚-』が本編連載前に掲載されていました。
『るろうに -明治剣客浪漫譚-』では恵と薫と弥彦が姉弟であるほか、薫の父が維新志士で「抜刀斎」と顔見知りであるなど、本編と大きく設定が異なります。92年に掲載された読み切り版は好評となり、翌93年にも同名のタイトルで掲載されることとなりました。
2作目となる読み切り版は不平士族「回天党」に攫われた令嬢・来迎寺千鶴(らいこうじ・ちづる)を剣心が救い出すというストーリーであり、設定は本編の1年前の出来事です。そして、『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』へと改題され、連載開始となりました。
本編と設定が異なる連載前の読み切り作品は、誰もが知る人気作となった今読み比べてみると新たな発見があるかもしれません。
(田中泉)
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