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マンガ界の一途すぎる男たち3選 「生きにくいだろうなぁ」「怖い」

マグミクス / 2022年5月2日 15時10分

マンガ界の一途すぎる男たち3選 「生きにくいだろうなぁ」「怖い」

■主人公だけど、実は怖いことを言っている炭治郎

 強い信念で何事にも一途に突き進む人の生き様は美しいものです。マンガのなかにも、それぞれの道を突き進む美しくカッコいいヒーローたちが多く存在しますが、なかには、あまりに一途すぎてついつい「この人、生きにくいだろなぁ」と思ってしまうヒーローたちも。

 今回は一途さゆえに応援したくなり、同時に心配にもなってしまう「一途すぎる男たち」をご紹介しましょう。

●「家族愛」に一途すぎる『鬼滅の刃』竈門炭治郎

 家族を鬼に惨殺され、唯一生き残った妹・禰豆子が鬼となってしまった『鬼滅の刃』の竈門炭治郎。鬼せん滅のために鬼殺隊の一員として厳しすぎるほど厳しい鍛錬を積むのですが、炭治郎の最大の目的は禰豆子を人間に戻すことです。家族愛こそが炭治郎の芯を貫くものなのです。

 家族愛の前には、鬼殺隊の絶対的存在である柱たちにもひるむことはありません。たとえば、妹とはいえ鬼を連れているということで柱合裁判にかけられたときのこと。炭治郎と柱たちの初顔合わせとなった場面です。柱たちは禰豆子を殺すことで意見が一致し、風柱の不死川が禰豆子の入った箱を刀で突き刺すと……炭治郎は叫ぶのです。「俺の妹を傷つける奴は 柱だろうが何だろうが許さない!!」「善良な鬼と悪い鬼の区別つかないなら 柱なんてやめてしまえ!!」と。

 妹への想いにあふれた実にいい場面なのですが、よくよく考えてみると、組織の人間としては冷や汗が出るどころではありません。柱とは会社でいえば専務や常務といった取締役クラスのお歴々。そんな方たちが居並ぶ最高経営会議で入社2年目あたりのペーペーが「取締役だろうがなんだろうが許さない!」「取締役なんてやめてしまえ!」と言っているようなものなのです。……一途って、こわい。

 炭治郎の禰豆子への愛は溺愛と呼んでもいいかもしれません。禰豆子が、珠世に心酔する愈史郎から「醜女」よばわりされた際には、「醜女のはずないだろう!! よく見てみろこの顔立ちを」「醜女は違うだろ絶対」「もう少し明るいところで見てくれ あっちの方で」と決して引き下がらないどころか、最後は懇願してまで美しいと言わせようとするしつこさです。たしかに禰豆子はかわいいけれど、炭治郎に謙虚の二文字はないのでしょうか!?

 炭治郎の家族愛は、無限列車のなかでも爆発します。十二鬼月のひとり魘夢に、家族に口汚くののしられる悪夢を見せられるのですが、炭治郎はそれを振り払い叫びます。「言うはずが無いだろうそんなことを 俺の家族が!!」「俺の家族を 侮辱するなアアアァアアア!!」。家族への絶対的な愛と信頼があればこそのこのセリフ、果たして私たちは迷いなく言えるでしょうか。

■思い込んだら周りの迷惑もおかまいなし!

一途すぎる直角の活躍が爽快な『おれは直角』第1巻(著:小山ゆう/小学館)

●「武士道」に一途すぎる『おれは直角』の石垣直角

『あずみ』や『がんばれ元気』などの作品で有名な小山ゆう先生のデビュー作、『おれは直角』の主人公も並外れた一途さを持っています。その名は石垣直角(ちょっかく)。

 長州藩の下級武士の家に生まれた直角は、幼い頃から父に、武士の心得を教えられてきました。いわく「曲がったことはしてはならぬ! つねにまっすぐな心で行動しろ!!」「たとえば道を曲がるときも 直角に曲がるぐらいの心がまえで生きろ!!」。もちろん武家の男子なら誰しも同じような教えを受けているでしょうが、直角はあまりに素直な性格ゆえ、父の言葉を額面通りに受け取って成長してしまったのです。

 その直角ぶりは筋金入り。たとえ話そのままに道は直角に曲がるわ、父が丹精込めた庭は植木もふみ石も池も直角だらけの四角に直すわ、学校の由緒正しい半月板の看板さえも曲線を断ち切って四角に直すわと、もはや直角の辞書には曲線という文字は載っていないかのようです。ちなみに得意技も、剣の軌道を直角に曲げる直角斬りです。

 さらに、もうひとつの父の教え「武士はつねに戦場の心でいるべし」を胸に、何事にも真剣に向き合う直角は、正しいと思ったことは相手が誰であろうと臆せずもの申します。

 校内を暴力で支配しようとする上級生たちには「あなたがたはそれでも武士ですか!」といい放ち、一日入学した殿様の息子である若君に「腰抜け」といわれた時には「腰抜けとは、武士道にはずれた者のこと!! たとえ若君のおことばでも、許すわけにはまいりません!!」と勝負を挑んでしまうのです。

 あまりにも一途なゆえに周囲からは浮いて見えがちな直角ですが、その真摯さから、やがては周りの心をがっちりつかんでしまいます。ただし、直角に武士道を教え込んだ父親は実は小心者で、直角がいつか大問題を起こして自分も切腹させられるのではないかと、常にビクビクしているのですが。

●「愛する人」に一途すぎる『めぞん一刻』の五代裕作

『うる星やつら』や『らんま1/2』などの大ヒット作をもつ高橋留美子先生の『めぞん一刻』にも、一途な男が登場します。主人公の五代裕作は、自分が住むオンボロアパート・一刻館の管理人さんである音無響子に熱く、熱~く恋をしています。そう、命をかけた戦いや信念だけでなく、恋愛においても一途な姿は美しいのです。

 ただしその恋心はなかなか報われることはありません。若く美しい管理人さんは未亡人で、その心の中には亡くなった夫がいまだに生きているのですから。しかも五代は、誰にでも優しいけれど少し弱気で優柔不断で……というタイプ。今ドキの、散ったら散ったときのこととグイグイいくような人間ではないのです。妄想のなかでは管理人さんに強く迫れても、現実世界では口ごもってしまったりする五代に、読者はモヤモヤさせられることも多々ありますが、それだけに一途な気持ちは痛いほど伝わってきます。

 そんな五代が酔っ払ったときに叫んだ「私こと五代裕作は響子さんが好きでありまーす」は、まさに一途な思いがせきを切った瞬間。しらふの時に言えればいいのにね、と思いつつ、いじらしくなってしまうのです。

※禰豆子の「禰」は「ネ」+「爾」が正しい表記

(古屋啓子)

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